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五十五話

 子供達を送りだしてしまえば、あとは待つしかない。できれば覚醒して魔王をぶちのめして帰ってきてくれると手間が省けて良いんだけどね。


 「無事に旅立っていきましたぜ」


 スレッジは戻ってくると、そう報告してくれた。


 「それで、その通路は使えそうなの?」

 「と、言いますと?」

 「つまり、外への連絡に使う分には問題ない? それとも食料や武器の補給にも使えそう?」

 「さすがに補給の為に、人が大勢出入りしたら魔族側にばれると思いますぜ。外への連絡に使う分には、まぁ大丈夫だと思いますが、ただし隠密に行動できる者の方が好ましいですな」


 なるほどね、補給までは無理か。この城は数年分の備蓄があるっていうのが幸いだけど、その年数は城に篭城する兵士や将軍達だけで計算してるんじゃないかな?

 だとすると、一般市民まで逃げ込んでる現状じゃあ、篭城できる期間は一年以下かな?


 「スレッジ。姫様のところへ行くよ」

 「まだ早朝ですぜ? お姫様は寝てなさるんじゃ?」

 「首都は城を残して全部制圧されてるんだよ。こんな緊急時に、いつまでもクカークカー寝たりしてないわよ」


 若干遠慮気味のスレッジを連れて、寝所近くまで行くと騎士に止められた。


 「姫様は起きてる? アルマが至急の用件で来たと言いなさい!」

 「姫様は執務室におります。どうぞ、お通り下さい」


 執務室に入ると、お姫様は疲れた顔をしていた。それでも私達を見ると微笑む事を忘れない。


 「いい娘よね。私にもう一人息子がいたら、ぜひ嫁に欲しいわよ」

 「アンタもいい度胸してますな。仮にも一国の姫を捕まえて嫁にしたいとは」

 「独り言に反応しないでよ」

 「私もアルマ様の娘になってみたいと思いますよ」

 「あら失礼。聞こえてたのね」

 「アルマの姐さん、声がでかいんですよ。姐さんは密談とか絶対に出来ない方ですな」

 「でも、そこがアルマ様の裏表のない人徳だと思いますよ」


 なんか、ごめん。本当に。

 とりあえず気を取り直して、私は姫様に聞きたいことがあるのだと告げた。


「それはちょうど良かった。私もアルマ様に相談したい事があったのです。ですが、まずはアルマ様からどうぞ」

「いつだったか、この城には数年分の備蓄があるって聞いたのよ。だけど、それって篭城してるのが兵士や将軍、王族や貴族だけの時かな? それとも今みたいに一般の民衆まで含めての話かな?」

 

 すると姫様は驚いた顔をして言った。


 「私が相談したい事も、まさにその話なのです!」

 「一般民衆まで入れたら、長期間は篭城できないって事ですかい?」


 スレッジの問いに姫様は青い顔をして頷く。


 「アルマ様、どうしましょう!?」

 

 いや、どうしようって言われてもね。姫様もスレッジもそんな頼り切った目で見ないでよ。

 

 「で、姫様。具体的には、どれくらいまで篭城できそうなの?」

 「ギリギリまで切り詰めて半年くらいでしょうか。普通に消費したら三ヶ月くらいです」

 「スレッジ!!」

 「なんですかい?」

 「姫様から身元を証明するモノを預かって、カレドニア方面の町へ行きなさい。援軍を要請してくるのよ!!」

 「姫様はスレッジに援軍を要請する手紙を渡して下さい。スレッジが信用してもらえなかった時に備えて用意した方が良いと思うのよ」

 「分かりました」


 姫様は援軍要請の手紙を作成するといって席を外した。

 三十分後、蝋で封をした手紙を預かりスレッジが出かけていった。



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