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五十三話

 深夜、クロヴィアのお姫様と、スレッジを面会させた。王家と盗賊ギルドの取り決めは、私がスレッジに言った内容を、ほぼそのまま使った。

 姫様が追加したのは、王家や貴族が内戦を始めた時は中立を守れ、だった。


 「あとは、何かあったら決めれば良いわよ」

 

 私の言葉に姫様が同意する。スレッジは「これで我々は王国の犬か」と溜息をついてる。割り切れない部分もあるのだろう。


 「犬なんて考えんじゃないわよ。これで騎士団と盗賊ギルドは、王国を支える両輪となったのよ。そう考えなさい」


 姫様も頷いている。


 「そういえば、アルマ姐さん。仲間を勇者の探索に出すと言ってましたが、周囲は敵だらけですぜ? 城から脱出させる手筈は整ってるんですか?」


 美女二人に睨まれた気まずさを誤魔化す為か、話題を変更してきたね?

 しかも、私には分が悪い質問だよ。


 「それで困ってんのよ。姫様に囮部隊を出してもらって、その隙に強行突破するしかないと思ってるわ」

 「勇者様が出現しない理由を探る為なら、喜んで協力致しましょう」

 「でしたら、我々が作った地下道を利用しますかね?」


 驚いた! そんなモノがあったとはね!


 「あんた達、そんなもん作ってたの?!」

 「いやいや、作ったっていうか見つけたっていうか。あったんですよ」


 私はお姫様を見た。お姫様は知らなかったと言わんばかりにブンブンと首を振る。


 「たぶんですがね、王家の方々がいざって時の為に作った通路なんじゃないですかね?」

 「我が王家も、暗殺や急な病死などで何度か代替わりしてますから、引継ぎ出来ずに忘れられたのかもしれませんね」

 「スレッジ達が悪さする為に掘ってたら、通路を見つけたわけね」

 「勘弁して下さいよ。アジトの拡張をしようとしてただけなんですから」


 苦りきった表情でスレッジは弁解する。姫様は割り切ったようで、内々にギルドへ依頼する時は、通路を使えますね、などと言っている。この娘は武術の腕も肝っ玉の太さも一級品だね。世界の危機って時には、どの階級だろうと規格ハズレがウヨウヨと出て、そいつらが世界を救うんだろうね。

 良い傾向だと思うよ!


 「スレッジ、私は今から子供達を連れてくるよ。早速外へ案内してやってよ」

 「わかりました」

 「それと念のために聞いておくけど、あんたらのアジトと繋がったって事は、町の中へも通じてるって事でしょ? 魔族達に知られたりしないでしょうね?」

 

 その通路から侵入されて、内部から攻撃されたら城は確実に落ちてしまうよ。


 「建物が壊されてしまいましたから、地下への入り口も瓦礫に埋まってます。だから大丈夫だと思いますよ。それに私の仲間が数名ほどアジトの地下にいますんで、異変があれば連絡してくるはずです」

 「オッケー、それでいいわ! さすがスレッジ抜かりはないわね」

 「お褒めに預かり光栄ですな」

 「それで王家の脱出口は、どこへ繋がってるか確認してる?」


 勿論です、とスレッジは頷いた。場所は首都の城壁の外にある兵士訓練所の井戸だそうだ。

 

 「こっそりと周囲の様子を伺ってきましたが、魔族は首都へ進撃していて誰もいない訓練所には関心は無いようでした」

 「じゃあ子供達を呼んでくるわね」


 私は寝室へ急ぎ足で向かった。 

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