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五話

 アルスは村長の家の奥へ行くと、剣を持って戻ってきた。そして俺に剣を放ってよこした。

気がきくな。そういや、俺は武器も何も無かったんだよ。

受け取った瞬間、俺は前のめりによろけた。なにこれ?こんなに剣って重かった?


「やっぱり・・・アルマは体力が普通の女の子と同じになってるよ」


なんだと!?

確かに武器が重くて持てないけどさ。

これは体を鍛え直すしかないな。


「なるほど、これは気がつかなかったよ。アルス、俺は鍛え直すぞ」

「アルマは強いね。少しは落ち込むかと思ったのに」

「 体力と腕力は無くなったけど剣技は覚えてるから大丈夫だよ」


でも女性としてのハンデがあるかもしれないし、魔法を使えると便利だよな。そのうち試し撃ちしてみるか。


「アルス、明日から剣の練習に付き合えよ」

「いいよ」


俺はアルスの家に寝泊まりして、体力と腕力の増強に務めた。三ヶ月ほど鍛錬してみたが、やはり男性の頃みたいな力は無理だと分かった。

仕方ないので、細身の剣を使う事にした。

この剣で手数を増やして攻撃すれば強くなれるだろう。

アルスを連れて、魔法の試射をしたら危うく山火事を起こしかけたのも良い思い出になるよな。

この世界に来て一年間が過ぎる頃には、男だった頃の俺と結構良い勝負が出来るんじゃないかと思うようになった。

不思議なのはアルスで、こいつは相当に強い。男の俺に匹敵するんじゃないかな。

アルスが剣の稽古相手になってくれたおかげで、俺の剣技も更に上達したんだ。


ただ最近、困った事もある。アルスがこんな事を言ってきた。


「アルマ、最近ボク達が何て言われてるか知ってるかい?」

「いや、知らないな?何て言われてるんだ?」

「夫婦だと思われてるよ」

「本当かよ!?」

「本当。ボクは近所のおばさん達から、子供はまだかって聞かれたよ」

「お、俺は、お前と子作りする気はないぞ!!襲ってきたら、魔法で消し炭にするからな」

「大丈夫だよ。そんな気は絶対に起きないからね」

「なんで?」

「意外そうな顔するね。ボクはアルマと暮らして、本当に君の中身は男なんだって思い知らされたんだよ」

「どこが?」

「君、歩き方に品がないよ、ガニ股だし。それにボクがいるのに下着姿でウロチョロするだろ?」

「それはアルスを信頼してんだよ」

「じゃあ、それは100歩譲って良しとするけど、欠伸しながらお尻をボリボリかいてただろ?ああいうのを見ると100年の恋だって一発で冷めるね」


ちくしょう!

好き勝手言いやがって!


「よくもそこまで言いやがったな!見てろよ、すっげぇ可愛くなってやるからな!」

「今だって黙って静かにしてればアルマは世界一の美少女だよ。黙って静かにしてるのが難しいんだけどね」


村長に行儀作法を教えてくれる人を紹介してもらおうかな・・・。

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