四十四話
首都を包囲する魔族とどうするか。まずは一戦してみるのか、カレドニアからの増援を待つのか。
それを会議で決めるのだとグズグズ言って埒が明かないんで困ってたんだけど、そんな私の悩みを見抜いたかの如く、魔族のほうが攻めてきたんだよ。
それを叩き潰した勢いで、まずは攻めてみる事に決まったの!
その代わりに内力の凄さを見た冒険者達から、教えてくれと頼まれたのでシードとサラを置いていく事になったわけ。まぁ仕方ないよね。皆が強くなってくれたら、私達も楽だしね。
そして見えて来たのよ、首都の城門が……
う~ん、十重二十重っていうのは、こういうのを言うのかしらね?
クロヴィアの首都は、昔大国に挟まれていただけあって町が城壁に囲まれてるのね。
その町の東西南北に城門があるんだけど、その近辺に魔族が1000体くらいいるんじゃないかな。
町全体を4000体か。しかも、これは遠目から見て大型の魔族の数がってことだから、実際は小さいのを数えたら倍くらいはいくかもね。
確かにこれは戦うのを躊躇するかなぁ。
あ~、隊長さん、もう逃げ腰か。
「本格的に、あの魔族を追い払う為にはカレドニアの増援を待つしかないかもね。でも、他国の増援に頼ったら勝っても厳しい現実が待ってるよ?」
ションボリすんなよぅ!
今、士気を落としてどうすんだ!ってアリマとアレスに小声で怒られたじゃないか。
「だ、だから、アンタ達はシードとサラに内力を教わって強くなりなさいよ。その後は城門の前に陣取る魔族どもに奇襲をかけて戦力を削るのよ。その間に首都が落ちないように私達が中で頑張る。中でも内力を教えて内と外から挟撃できれば、勝ち目は見えてくるわ。そしたらカレドニアからの増援が来た後も、大きな顔ができるってワケよ」
す、少しは元気が出たかしらね?
冒険者の諸君は、もっと内力で強くなれるってんでハイになってるなぁ。
ノリが良くて助かるわね。
アリスが両手を前であわせて目を潤ませながら、「皆さん、頑張りましょうね」とか言ったらクロヴィアの兵士諸君も盛り上がってきたよ。
「今日の戦いで一番の戦果を上げた奴には、こちらの美少女のキスと脱ぎたてのパンツをプレゼントすんぜ! てめぇら! 男なら、このチャンスを逃すんじゃねぇぞ!?」
ニコが私を指差して、そんな事を言いやがった!?
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
うぉい!! そんな事くらいで盛り上がってんじゃねぇよ、このヘンタイどもが!!
「どうよ、先生! 今のコイツらは死も恐れないぜ?」
「キスはいいけどパンツは余計でしょ!?」
「先生が地の底まで叩き落とした士気を上げるには、これしかなかったんだよ。自業自得じゃん」
「えぇ!? だ、だけどさ、カレドニアから遠征してきて、洗濯もままならないし」
「お前ら喜べ!! もらえるパンツはシミ付きだぁ!!」
うおおおおおおおおおおおおおお!!!!
大歓声が轟く。いやもう私もビクッと驚くほどにね。そんなにパンツが欲しいのかよ。
「ニコ、アンタって子は……」
「先生、俺も分別はあるんだぜ? さすがにシーラ姉妹やアリスのパンツはダメだと分かる」
いや、そこは私も入れようよ。アンタの師匠だよ?
私のパンツはいいのかよぅ!?
「先生、ちゃんと可愛いパンツをはいてるだろうな? ババァがはくようなパンツじゃないよな?」
「アリスとお揃いのを買ってるし」
「よし!!」
よし、じゃないよ。エラソーに。




