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三十一話

 大会は64人のトーナメント方式で、1回戦が終ったら全員で抽選して2回戦目の相手を決める方式らしいわね。何で一回毎に対戦相手を決めなおすのかって言うと、昔に八百長があったらしくて、それが出来ないようにするためらしいけどさ。

 八百長なんてしないよ。全員倒すもの。


 「あんた、場合によっては初戦でアリス、2回戦目でアレスなんて事もあるかもしんないよ? 可愛い我が子と戦えるの?」


 シーナ、獅子はね、千尋の谷へ我が子を突き落とし、這い上がって来た子を更に蹴り落とすんだよ。

 可愛い子供を強くする為なら、私は獅子でも鬼にでもなるよ!


 「なぁにが獅子よ。ネコみたいな顔してるクセに」


 ニャ~

 見てくれで私を語るにゃ~

 でまぁ、1回戦の結果なんだけどね。ちゃちゃっと語ると、私、アレス、アリス、シーザー、シード、ニコ、ランスロー、ガレス、全員勝ちました!

 祝! ベスト32!

 アーサーが優勝候補だったんだけども、他にはいないのかなってランスローに聞いたんだよ。


 「パーシヴァルとローエングリン、トリスタンは強いですよ」


 なるほど! 全員、私が倒してあげよう。

 だけど残念な事に2回戦も、強い人とは当たらなかった。残るは16人だけど、ここからは身内同士でも潰しあいだね。


 いよいよ3回戦の抽選が行われる。

 観客も私達、参加者も緊張がギリギリまで高まっていく。

 その時、緊急事態を告げる叫び声が競技場に響いた。

 

 「国王陛下! クロヴィア王国に魔物が侵攻を開始、援軍の要請が来ております!」


 私は小さな声でランスローにクロヴィアとは、どこにある国かと聞いてみた。


 「このカレドニア大陸とエドリアル大陸を繋ぐ橋のような土地ですね。以前はスラール王国と我が国に挟まれた小国でしかなかったのですが、スラール滅亡後はスラールの残党を吸収して強力な軍を組織してます」

 「また我が国も、クロヴィアを魔王からの盾とするために、多額の資金を援助してますよ」


 ランスローの説明を補足するように、アレスと同世代の若い騎士が教えてくれた。ちなみに凄いハンサムだ。確か、ローエングリンって子だね。


 「教えて下さって、ありがとう」

 「いえ、出すぎた真似を致しました」


 ふふん、赤くなってるな? 可愛いなぁ、おい。弟子のニコなんざ、私らの胸を揉むことしか考えてなかったからなぁ。今は、そんな事はないけど、魔王軍を倒してハーレム作る計画に夢中になってるからだしさ。


 「陛下! クロヴィアが滅べば、次は我が国ですぞ!」

 「しかし、我が国には勇者が現れておらぬ」


 また勇者か。

 私は、この世界へ来て思った事があるんだ。何故、皆は立ち上がらない。何故、勇者のみに頼る。

 世界によって理は違う。だから私は黙ってたし、本来は男性であったのに、アルスの子供を宿して勇者の血筋を残す事に協力した。

 でも勇者ってのはさ、力を与えられるから勇者じゃないだろ?

 例え、その辺の木の棒でもいい。家にある包丁でも、ナタでもいい。

 それを持って害悪と戦うから、その心意気を持つから勇者なんじゃないのか?

 そんな気持ちを持てない奴は、どれほどの名剣、魔剣を持とうともスライム一匹倒せはしない。 


 「では、クロヴィアを見捨てるのですか?」

 「そうは言わぬ。だが、カレドニア大陸の南部には島沿いにエドリアル大陸へ渡るルートがあるだろう。クロヴィアは陽動で、そちらから我が国の中枢を襲ってくる可能性は無いのか?」


 なるほどね。南端にあったと言っていい勇者の村が魔物に襲われて滅びたのは、そっちのルートを使ったのか。だとすると、魔王軍の中でもトップクラスに強力な奴が選びぬかれて来たのかな?


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