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三十話

 パチッと音がするかのように私は目を開けた。気持ちのいい朝だ。昨日は良い夢を見た。アルスに可愛がられる夢だ。

 アレスめ、アルスを演じきるとは、やるなぁ。

 途中、シータに出会って狼狽したのだけは、まぁ仕方がないね。目を瞑ってあげるとしよう。

 私はベッドから身を起こす。二人の子供達は、まだ眠っている。

 アレスのベッドに潜り込んでみようかという誘惑に駆られるけど、アレスが本気で嫌がるだろうからやめておこう。


 宿屋の外へ散歩に出るとシータが歩いてたので声をかける。


 「あ、先生。おはようございます」

 「おはよ! 昨日はアレスを借りて悪かったね。デートの予定くらいあっただろうにね」

 「いえ、先生の中に潜む闘神を沈める儀式なら仕方がないです。それに先生とアレスは親子だから浮気の心配も無いですし」


 闘神を沈めるって、アリスはどんな説明をしてんだ。

 それと浮気の心配は無いって言うけど、もしアレスがアルスを演じきったら、私は全部許しちゃうかもしれないよ? 最近、アルス絡みになると、どうにも歯止めが利かないんだよね。

 心が女性の体の影響を受けてるからなのかな、思い出補正でもあるのかしらね?

 ネコにマタタビ、アルマにアルス。

 まぁシータに余計な心配させたくないから黙っておこう。

 私に歯止めが利かなくても、アレスは母親相手なんてイヤだろうからね。そこは安心だろう。


 「昨日は兄さんとシードは、大騒ぎだったんですよ。私と姉さんは、もう何が何だか分かりませんでした」

 「シーザーまで騒ぐなんて、めずらしいね。何があったんだろ? アレスは知ってんのかな?」

 「大会の優勝候補が出場権利を奪われたんだって言ってました」

 「へ〜、負けた人の名前は?」

 「アーサーって名前だったと思いますよ、確か」

 「倒したの私だわ。アリスは、マーシュってタコを倒したのよ。二人とも出場するわ」

 「先生ならやるかもって思っていましたが、さすがですね」

 「皆を驚かせたいから内緒ね」

 「先生が黙ってろと仰るなら、黙ってますけど、すぐにバレますよ?」


 黙ってりゃバレないわよ。

 そう思っていた時期もありました。

 だけど、後刻に会ったシーザーは確信を持って、私を問い詰めてきたんだよ。


 「先生!! アーサーを倒したんでしょう!?」

 「なんで、そう思うのよ?」

 「よく似た若い姉妹がアーサーとマーシュを倒したって、噂になってますよ」

 「ふ〜ん、だから何なのよ?」

 「可愛い姉妹で巨乳、ロリっぽいのがアーサーを倒したと聞けば、それはもう先生しかいないでしょう?」

 「わあったわよぅ! 私がやりましたぁ! せっかく驚かしてやろうと思ったのに」

 「アーサーを負かしただけでも、十分に驚いてますよ」


 サプライズは無くなったけど、まあいっか。大会は私が勝つんだ、

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