二十七話
私は道の中央へ出ると、アーサーと距離を取って対峙した。開始の合図はアリスがやるらしい。
変な奴に開始の合図をやらして、勝負にケチがつくような事は避けたかったのかな。
アーサーと私は同時に剣を抜いた。
「始め!!」
アーサーの抜いた剣は、かなり長い。懐に入り込めば私が勝てるだろうけど、簡単には入れさせてもらえないよね。
アーサーは剣を頭上に構えた。上段の構えだね。絶対的な強さが無ければ上段を使うのは無理なんだけどなぁ。
私は中段に構える。但し、体を斜めにして剣の後ろに体を隠すんだ。これで剣は攻撃の武器にして体を守る盾にもなる。
私はアーサーとの間合いを微妙に外して様子を見る。が、しかしアーサーの剣は通常よりも長い。
間合いを外してるつもりが、いつの間にか入られていた。私が間合いの読み合いに負けちゃうなんてね。
アーサーの長剣が猛烈な速度で私の頭上に落ちる。
それを避けて私は片手突きを撃つが、アーサーは振り下ろした剣を地面に叩きつけるような無様な真似はしてなかったんだ。
アーサーは腰の高さで剣を止めていて私が避けたと見るや、剣を跳ねあげていた。
跳ねあげた剣は私の片手突きを巻き上げる形となった。剣を遥か頭上の彼方へ飛ばされ無手となった私を見て、勝負ありと叫ぶ見物人もいた。
まだ負けてないよ!
しかし、それはアーサーも承知してるらしく最後の一撃を放った。それは私の体を貫く鋭い突きだった。
でも、実はそれは私の幻影だったんだよ。私は剣を真上に飛ばされてから、すぐに幻影を残して上に飛び上がってたんだ。
跳ね飛ばされた剣を空中で掴んで、真上からアーサーの頭上へ一撃を叩き込もうとしたけど、アーサーも幻影だと分かった瞬間に、剣を頭上に構えて防御の姿勢を取った。
アーサーが目で私を確認してから構えていたら、私の一撃の方が速かったんだけどね〜
残念だわ。
アーサーは頭上で私の一撃を受け流してから剣をくるりと回して、再び私の頭上に一撃を見舞おうとする。
私は剣を下から上へと振り上げて迎え撃ち、何とか鍔迫り合いへと持ち込む事に成功した。
しかし体格の差は大きくて、私はアーサーに押し飛ばされた。ただ飛ばされたなら、バランスを崩した私は絶好の標的となったに違いない。
でも、その瞬間は私もアーサーの体を蹴る事で自分から飛んだんだよ。
いちはやく私は態勢を整えていた。
そして万全の態勢から刺突・千手の型を使った。数十、数百の突きをアーサーに向けて撃つ。
アーサーは私の突きに対応していたが、次第に対応しきれなくなり、ついに敗北を認めた。
こうして私は娘と共に、出場権利を勝ち取る事に成功したのだ。
やったね!




