二十三話
今やウチの道場は王国でも屈指の規模となった。弟子の数は少ないよ?
ただ、出入りしてる連中が、王国でも凄い連中ばかりでね。
王国の剣技大会で優勝したランスロー、2位のガレス、3位のシーザー。こいつらが弟子達をガンガン鍛えていくものだから、弟子達も強くなるのが早いったらないんだ。
ウチの子供達も頑張っちゃいるんだけど、この三名がいるもんだから、なかなか道場一位になれない。
他にもシーザーの弟のシード、これもウチの子供達と競って強くなってる。
あとは剣技レベルは大した事ないんだけど、徒手格闘術で腕を上げているのがサラかな。
この子は鎧など着ないで、軽装のまま敵陣へ入り込み縦横無尽に暴れまわってくる。そんな戦いをさせたら天下無双になるだろう。
そしてニコ、こいつはとにかくタフだ。最近、ランスローの言葉で身内へのセクハラは減った。
うん、あくまでも減っただけ。
ランスローに何を言ったのか聞いてみたんだけど
「魔王に蹂躙された土地で活躍すれば感謝した女の子が、ハーレムに入ってくれるかもしれないよ」
と、言ったんだそうだ。
これはニコには目からウロコだったらしく、実力をつけるため上位三名に積極的に教えを請うているようだ。魔王を倒す為じゃなく、ハーレムを作るためってのがニコらしい。
もう、コイツには何も言うまい。ニコの強さの秘密は煩悩なんだね。
こんなライバルに囲まれているから、子供達に稽古をつけてくれと頼まれるんだ。
あいつらに負けられない。
そう思えるライバルがいるのは幸せだよね。
「くそぅ!母さんから一本取るどころか、かすりもしないのか!」
悔しさに歪むその顔、イイネ!
アレスの顔は、アルスにそっくりだ。
あの余裕をかました表情で、私を叩きのめしたアルスが悔しさに顔を歪めてる。
そう思うと、もう楽しくて仕方が無い。
ごめんよ、アレス。
母さん大人気ないね。
自覚してるんだけど、その悔しさいっぱいの顔を見たくてさ。
つい、本気を出しちゃうんだ。
ウチの子供も十六歳。
あと1~2年で、私よりも強くなるんじゃないだろうか。
私の天下も、もうすぐ終るよ。
「どきなよ、アレス。次は私だよ」
あら、アリスに代わったのね。
アリスは私に似てるから、意地でも負けないって感情は湧かないんだ。
「さぁ、姉さん!今日は私が勝つわよ!」
「え?」
「あ、ごめん。さっき、君の姉さんを紹介してよって頼まれてさ。姉って母さんの事だったんだよね。母さんと姉妹だなんて面白くて、姉さんって言って遊んでたら、つい、言っちゃった」
娘と姉妹に見えるのか。そりゃ私は若くして二人を産んだし、今だって十分に若いつもりなんだけどさ。十代に見えるのか、そうか、見えるのか~、困ったなぁ顔がにやけるよ。
「うへへ」
「スキあり!母さん敗れたり!」
あぶない!?
アリスの剣が私の髪の毛を数本ほど斬り落とした。それほどにギリギリの差で避けたんだ。
こいつめ、私の喜ぶつぼを攻めてくるとは侮れないなぁ!
アリスは剣を水平に構えると、私に突きを繰り出してきた。
それも一撃ではなく、三段突きだ。
二撃目までは避けたけど、最後の一撃は避けきれない。
それでも体のど真ん中への直撃は避けた。腹部へめり込む刹那に体を回転させて、さらに剣を完全に避ける。
密着させた状態では剣は使えないので私は投げ捨てた。
剣を捨てることを躊躇したアリスは、それが致命的になるんだよ。
女の子に教えたニコ対策の技、これは本来はこういう時に使うんだよ。
私はアリスの腹部に手をあて一撃を放つ。
アリスは吹き飛んで倒れた。
「アリス、あんな手で一本取っても強いとは言えないよ?」
ダメージが残ってるのか、アリスは小さく頷くだけだった。
「なるほど、あの手を使えば母さんを倒せるのか!」
倒せてないってばよ。
同じ手で来るなら、ちょいと痛い目にあってもらおうかな。
やっと子供達の年齢が一話の年齢に並びました。




