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十八話

 ウチの子供達は十歳になった。体も大きくなって基礎体力もついてきた。

 そろそろ技も基本から応用に入っても大丈夫かな?

 ウチの塾と道場を出てから、上級の学校に入った子も何人か出てきた。

 続け!シーナの子供達と共に!!

 え?

 ウチの子?

 奨学金を出すから、ウチへ進学させないかって話だったら何回も来たよ。

 ウチの子だって優秀なんだよ、本当だよ。

 だけど、私は断っている。

 理由は勇者の証だ。

 私自身が見た事がないし、証が現れた場合、子供達にどのような変化が出るのか読めない。

 勇者の血筋と証について教えたくて仕方が無いんだけどね。

 ウチの子は聡いんだけどさ、まだ子供でしょ?

 話を誰かに言ってしまうかもしれない。

 それが魔王に知られたら?

 まだ言えない、まだ。


 明るい材料としては、シーナの長男と長女が帰ってきた。

 シーザーは類稀な戦闘力と優れた頭脳、そして人間性から騎士に抜擢されたらしい。

 もちろん、騎士に相応しい武勲も立てたようだ。

 王都で近衛兵に選ばれたのに辞退したとか。

 勿体無いよって言ったんだけどさ。


 「先生、近衛兵は貴族の子弟がなるんですよ。私は一般人ですから居場所が無いでしょうね」

 「実力もない奴を首都防衛に置くなんて国家滅亡の始まりだと思うけどねぇ」

 「辺境には実力者が大勢いますから大丈夫ですよ」

 「そうなんだ?私は意外と世界を知らないんだよ。まぁそれはいいわ。久しぶりにシーザーの剣技を見たいから相手しなさい!」

 「了解です!」


 いやぁ、最近は子供の相手ばかりしてたから勘が鈍ってるかなって思ったけどさ。そんな事も無くてシーザーと思う存分に戦えたよ。この子ってば強くなったわよ。でも!私が勝ったけどね!

 でも、20代になるかどうかって年齢で、ここまで強くなれば十分だね。この先、更に強くなって対魔王戦で活躍するだろうな。

 私は御褒美にシーザーの頭を撫でてあげた。昔はよく撫でてあげたもんだよ。

 シーザーは、くすぐったそうな顔してたけど私の手を取って跪き、手の甲にキスをした。

 ひゃあああああああああああああ!?

 女の体になって長いせいか、こんな真似をされても以前ほど嫌悪感を感じない。

 心は肉体の影響を受けるのだと実感してしまう。

 やだなぁ、もう赤面しちゃうじゃんか。


 「先生、私は王都に行って剣術の大会に出ました。優勝はできませんでしたが3位に入りました」

 「それは凄いわね!先生は嬉しいよ!」

 「優勝したランスローとガレスは英雄と呼ぶに相応しい騎士ですが、先生ほどの強さは無い、と思います」

 「えぇ?いやぁ……そんな事はない、んじゃないかな?」

 「先生、私を傍に置いて下さい。学校の手伝いも勤務の合間にやりますし、私はもっと強くなりたいのです!」

 「分かったわよ、よろしくね」

 「はい、先生!」


 シーナは微妙な顔してたなぁ。でも私は給料出さないからね?騎士の仕事の片手間に手伝うだけなんだし、私は剣術の稽古相手もしてやるんだしさ。


 「アルマ。あんた、また女のフェロモンをぶわ~っと出してたね?」

 「出してないってば。シーザーは息子というか歳の離れた弟みたいなもんだし」

 「いいんだよ、あの子も年頃だしね。あんたが女を教えてやってよ」

 「イ、イヤだよ!そりゃ手の甲にキスされた時は、かな~りキュンときたけどさ。私はアルスだけなんだよ。それに私よりも弱い奴はダメ、絶対にダメ」


 あとでニコが教えてくれたけど、シーザーは私よりも強くなるのだと力強く語っていたそうだ。

 次の大会で優勝したいからなのか、それとも私に女を教えて欲しいからなのか。

 どっちなのか分からないのが困るよねぇ……


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