十五話
近所の子供を集めて武術を教えることにした。シーナの子供達を助手にして、 基礎から叩き込む。
それとシーナみたいな母親が多いと思って、子供達には読み書きと計算も教えることにした。
この学問とセットが受けて生徒は集まった。最初は武術はいらないと、読み書き計算の時だけ子供を寄越す親もいたのだけど、不思議とそういう子の成績は悪かった。
きっと両方やった方が、バランスよく効率よく覚えられるんだろうね。それに気がついた親のクチコミで、文武両道を目指す子が増えた。
シーナの子供を助手に使ったのは経費削減の為だったんだけど、これは年長の子供が年少の子供の面倒を見るという伝統へと繋がった。
アレスとアリスも三歳から塾と道場で遊んでる。多勢の仲間を作るんだよ。そしてアルスの仇をぶちのめしてやんな。
シーナの長男シーザーは優秀だったので上級学校から誘いが来て、そちらへ入学した。
シーナは
「アルマに安月給でこき使われて、一生うだつの上がらない人生を送るかと心配したよ」
なんて言われた。
信用ないな〜
シーナの長女のシーラは得意の回復魔法を見込まれて、魔法学校へ入学する事になった。
二人とも帰ってきたら、また手伝うと言ってくれた。センセーは嬉しいよ。
二人が手伝うと言った時に、小さく首を振って目でヤメろと合図してたシーナ。
あんたのせいで感動が半減したぞ。
そういや、シーザーは顔は似てないんだけど、優しくて面倒見の良い部分がアルスに似てるんだよね。
懐かしいアルスを思い出してシーザーを見てたら、女のフェロモン出しまくって誘惑すんなとシーナに怒られた。
出してねーよ、そんなもん。
性教育の実施は、まだ早いと釘を刺された。
だから、やらねーってばよ。
シーザーが血迷って、むしゃぶりついて来たら、優しく目を覚まさせてやるよ。
そう言ったらイヤな顔された。
私にどうしろってんだよ。
ともかく、シーナの子供のおかげで上級学校から視察が来るようになった。時々は無償で特別な授業もやってくれる。
その代わりに優秀な生徒はくれって事なんだろうね。
貧しい家庭の生徒には奨学金も出すと言ったし、ウチとしては良い条件じゃないかな?




