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十三話

 私のお腹も大きくなってきた。

 女ではなく母親の体に日々変化していくんだね。

 お金に不自由してないので仕事は辞めたんだ。店長からは産んだら、また来てくれと頼まれた。

 給料は安いけど、賄い食が美味しかったのよ。私としても、ぜひ働きたい。



 仕事を辞めて家で大人しくしてると思うんだよ。

 酒場で働いていて魔王を倒せるのかってね。

 ここに飛ばされる前は、自分で倒しに行ったもんね。

 分かってる。私は心のどこかで焦ってるんだ。

 私は妊娠で身動きできないのに、強い魔王がいる事にね。

 でも、これは私の戦いじゃない。

 アルス達の、この世界の勇者の血筋の戦いなんだ。

 私はお腹を貸してるだけだ。

 そう思おう。



 何ヶ月かして、つわりも落ち着いてきた。ご飯も美味しい。お腹の勇者の為に栄養を、しっかり取らないと。

 さらに何ヶ月かすると、お腹の赤ちゃんも自己主張するようになってきたよ。

 お腹を蹴るんだ。

 ところでさ、お腹を蹴られる感触って、どんな感じか分かる?

 知りたい?教えて欲しい?

 よし、教えてあげよう。

 お腹の中にガスが溜まって、オナラしたいんだけど人がいるから我慢したことってない?

 その時、お腹の中を我慢したオナラのガスが動き回るよね?

 あれ、あのオナラのガスが動き回る感覚が、赤ちゃんがお腹を蹴る感じと同じだよ。

 今度オナラを我慢したら、赤ちゃんが動いてるって言うといいよ。

 ただし

 「赤ちゃんと屁を一緒にすんな!」って怒られるかもしれないんで、自己責任でよろしくね。



 そろそろ出産を意識するようになった頃、私は産婆さんを通して妊婦仲間が出来た。

 一人は私と同じ初出産のニナさん。

 もう一人は、もう6人も産んだというシーナさん。

 この二人は、私にとっては心強い出産仲間だ。とくに6人も産んだというシーナさんは、頼りになる大先輩で、色々と相談してる。


 「アルマ、アンタは尻も大きいし安産体系だね!」

 「シーナさん。やっぱり、子供を産むのは大変でしょう?」

 「例えて言うなら、かなり大きいウンコするようなもんだよ。ふんっ!と力めばスポンと産まれるよ」


 ホントかよぅ!?

 シーナさん、豪快すぎるよ。

 ちなみに、このウンコの例えのおかげで、私は出産するまで、力んだ弾みで子供まで出るんじゃないかと密かに心配するようになった。

 出産後にシーナさんに言ったら大爆笑された。

 このウンコ女め。


 最初に出産したのはニナで、相当な難産だったようだ。

 奴は話し上手で、私は話を聞いた事を死ぬほど後悔した。

 青ざめる私を見て、さらに出産恐怖体験を語ろうとするので、たまらずに逃げ出した。

 聞かなきゃ良かった。

 怖くなっちゃったじゃないかよ〜。


 シーナさんは安産の生きた見本のようだったらしい。それでも、ぐったりしてたんだから大変なんだよね。



 そして私の番が来た。

 何が大きなウンコだよ。

 全然違うじゃん。

 本当にもう、大変だったよ。

 これを知ったからには、女性を性的に暴行する奴は斬り刻んでやろう。

 出産の大変さは半端じゃねーんだよ。

 ですわ。


 ちなみに私は子供を産む時

 「子供なんざぁ、でかいウンコだあ!!」

 と叫んで産み落としたらしい。

 覚えてねーってばよ。ですわ。

 おかげで産婆さんに、可愛い我が子をウンコたぁ、なんて言い草だ!

 と説教された。

 なんでだよ。

 シーナが言ったんだぞ。


 そうそう、子供は男女の双子だったよ。

 うっかり

 「ウンコが二つだったか」

 と口走ったら、また説教された。


 アルスみたいな強い奴になるように、男の子にはアレス。女の子にはアリスとつけたんだ。

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