表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
126/133

百二十六話

 魔王の城の入り口付近を制圧したところで、私も城へ入ることにしたのよ。子供達も、私と一緒に入るみたいね。母さん一人にしておけないから、なんて言ってるんだけど、子供のくせに生意気だよね。それとも、「あの小さかった子供達が立派になって……」とか言えばいいのかな?

 やっぱり、やだ!

 そんなことを言ったら、一気に老け込みそうだもの。


 ニコは「俺の見せ場を取るんじゃねーぞ」って言ってるけどさ。世界を脅かすような元凶なんか、誰でもいいから倒せばいいんだよ。手柄を競うなんて、まだまだ青いなぁ。

 なんて、ついポロッと言ったらさ。


 「魔王を倒したら、この地を俺が支配しても良いんだろ? すべての種族が平等に暮らせる国をつくるのが、俺の夢だけど、まずは支配者として舐められないように強さを見せないと、あとで反乱でも起こされたら大変じゃねーか」


 ああ、そうなの。結構色々と考えてたのね。ごめんね、単純馬鹿だと思ってて。これからも、この認識を変えるつもりはないけど、ほんのちょっとだけ、見直してあげるよ。


 「俺は、そこまで考えたりしてねーよ。ルージュが心配性なだけなんだ」


 なんだよー、全部ルージュの考えかよー

 やっぱりニコは馬鹿なんだ。


 などと、喋ったり考えたりしながら城内へ侵入したんだけどね。

 内部は拍子抜けするほどに敵がいなかった。入り口付近の獣人族が主力だったのかしらね?

 時々、巨人族とか敵が出てくるけど、それらも子供達が倒してしまうのよ。


 「まだまだ、城の中で強い抵抗をしてくると思ってたんだけどね~」

 「有力な種族を次々と寝返らせてるし、よっぽどの偏屈者しかいないんじゃねえかな?」


 と、私の独り言に返事をするアリマ。


 まぁ、そんなもんかなぁ?

 負け戦に最後までつきあう奴はいないか。


 「だったら謁見室を、さっさと探し出して突入しちゃおうか」

 

 私が提案すると、アレスとアリスは反対するんだよ。

 どこかに伏兵がいるかもしれないんだってさ。

 ま、私達を討取っちゃえば、魔王の勝ちって気もするけど、それをやれるだけの兵力があるなら、篭城なんかしなくていいんだよね。


 ヴァルキリーズが手際よく城内を探索して、地下から一階、そして二階へと進んでいく。

 奥へ、そして上層階へと進んでいき、ついに謁見室らしき場所を探し当てたんだよ。


 「長かったなぁ……」


 私の隣にいたアリマが呟いている。前の世界で魔王を倒すまでに5年だっけ。

 そこから、この世界へ来て子供を育てながら、アルスの敵討ちのチャンスを狙って20年くらいかな?

 まぁ私達も歳を取ったもんだよ、本当にね。


 そして私は謁見室の扉を蹴り開けた。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ