表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/133

十二話

 カエル夫人から、2〜3年は遊んで暮らせるお金をもらったんだけどね。

 こういうのは、たくさんあるように見えても、使うとすぐに消えてしまうんだ。

 まだまだ頑張って働くよ。


 そんなこんなで、村を出て来て一ヶ月以上が過ぎたんだけど、最近調子が悪い。

 なんかもー、すんごい眠い。

 しかも風邪でも引いたのか、身体が熱っぽい。

 おまけに胸が張って仕方がない。乳首も敏感になって触ると痛いくらい。

 夜は寝苦しいし、どうなってんのよ。

 何より困ってるのは臭いなんだよ。

 今までは気にならなかったけど、最近は違う。

 酒場のタバコと酒の臭いが、たまらなく嫌なんだ。こんな状態じゃ働けないよ。


 職場の同僚に愚痴ったら

 「アルマ、もしかして妊娠してんじゃないの?」

 と言われた。

 そうなのか、これが妊娠なのか。

 こんなに鬱陶しい症状が出るとは知らなかった。

 つわりだけかと思ってた。

 だけど、やったね、アルス!

 お前の子供ができたよ。

 勇者の血筋は生き残るんだ。


 じゃあ無理しないで、赤ちゃんを産むまで仕事を休もうかな。

 いや、もう少しだけ働きたい。


 そんな時、あのカエル富豪が来襲してきたんだ。

 「先日は済まなかったね。ワシも反省して、今は仕事に集中しとるよ」

 あ〜、美人の奥さんが愛人を整理するって言ってたよな。

 「聞いたが妊娠で難儀しとるそうじゃないか。ワシの屋敷で出産すれば良い。産むまで全てワシが面倒を見ようじゃないか」

 「それは奥様も同意なさってるのですか?」

 「えっ!?・・・も、勿論だとも!」


 この狼狽ぶり。奥様に内緒で来たな?

 危ないな。

 カエルめ、妊娠した人妻を手篭めにしようと狙う変質的な願望か、それとも出産直後の弱った所を狙う気か?


 ちなみに人妻ってのは私だぞ。

 黙って考える私を見て脈ありと思ったのか、カエルが一生懸命に口説いてくる。

 くぉら!

 私の両手を握るんじゃない!

 距離をつめてくるなってば!


 カエルの体臭はタバコに酒と、今の私が一番嫌いな臭いを発散してる。オマケに太ってるからか汗臭い。そしてそれを誤魔化す為に香水だと思うけど、バシャバシャと体に吹き付けてやがる。


 汗臭い臭いと、強烈な香水の香りが私に襲いかかる。加えてタバコと酒の臭いも、私の胃袋を締め上げた。


 私は目が回ってカエルに抱きついてしまった。カエルが私を逃がすまいと、強い力で抱き返してきた。


 もう・・・ダメ・・・


 「おうええええええっ!!」


 ごめん、吐いちゃった。

 カエルの服がゲロまみれ。

 これ、つわりかな?

 このシーンがアニメだったなら、光の粒子が口からこぼれ落ちるんだろうね。


 カエルが逃げ帰って頭痛がするほどの悪臭は消えた。

 あ〜、スッキリした。

 多少、床を汚したの掃除しなきゃ。吐瀉物はカエルの服についたので、床はほとんど綺麗!

 ありがとうカエル!

 私は心の底から感謝するよ。できれば、もう来ないで欲しいけどね。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ