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百十五話

 精鋭500名を連れて私達は魔王の城へと向ったのだけど、ヤツは城の周囲に結界を張ってやがったんだよね。トシュウさんか誰かに言われてたってのに、すっかり忘れてたよ。城の周囲に位置する集落に結界の装置があるんだって。


 

 「どうする? ランスローやガレス達に攻撃してもらうか?」

 「だけど強い部族だったら、俺達の方も消耗しちまうんじゃないか?」

 「それならコボルト族の人に、どんな部族か聞いてみましょうよ」



 アリマの提案に私の子供達が答えていた。闇雲に攻撃して痛い思いをするのもイヤだよね。



 「ちょっと待てよ。主力は俺の可愛い部下達なんだぜ! それにこの地の民は、俺の可愛い国民になるんだ。何でもかんでも叩き潰すような真似は止めて欲しいもんだぜ」


 

 むぅ、一理ある。ニコのクセにまともな事を言ってやんの。となると話し合いか。まぁ戦国時代だって戦争ばっかりしてたのかって言えば、地味に相手の家臣なんかを調略して勢力を広げたりしたんだしさ。



 「説得してみようか? 戦うかどうかは、相手の反応を見て決めよう」



 私が言うとニコも納得して頷いた。それじゃあ、トシュウさんを呼んでもらおうか。この地で最初に私達に味方すると言ってくれた人だもんね。一緒に味方になるように説得してもらえば心強いってもんだよ。トシュウさんに至急来てくれるように使者を出してから、相手がどんな部族か、まだ知らない事に改めて気がついた。



 「ねぇ、ちょっと集落まで行って、どんな部族が生活してんのか見てきてくんないかな?」



 ほんの軽い気持ちで頼んだんだけど、コボルト族の伝令係は青い顔して、と言っても顔は体毛に包まれてるから本当は見えないんだけどさ。なんか怯えた感じなんで、人間だったらって事でね。青い顔して言うんだよ。



 「偵察などしなくても分かりますよ。あそこは竜族の集落です。魔王に従う部族の中でも巨人族と並んで強大な力を持ってるんです。そんな所へ見に行くなんて勘弁して下さい、勘弁して下さい。ニオイだけでもボクは死にそうです」


 

 や、やだなぁ、もう。まるで武闘派バリバリのヤクザの組長の家にピンポンダッシュしてこいって、いじめで後輩に無理強いしたかのような、この罪悪感。



 「オッケー、ありがとう。竜族か。なんかもー、すでに交渉決裂する未来が見えてるよーな気がするわね」

 「先生。今から諦めないで下さいよ」



 シーザーに窘められた。まぁそうなんだけどさ。なんつーのかな、コボルトが、ここまで怯えちゃうような連中なんだもん。人間と交渉なんてバカバカしくてやってらんないって思うんじゃないかな。



 「それにしても竜族って、どんな姿なんだろうね?」

 「アレだ。カレドニア王都での武術大会で、先生が嬲り殺しにしたトカゲ野郎の一族じゃねぇか?」



 あぁ、あいつかぁ。この集落は一匹残らず壊滅させても良いんじゃないの? きっとろくな奴がいないんだよ、たぶん。



 「先生、ガラが悪く見えますから、舌打ちなんかしないほうが良いと思います」

 「気のせいかもしんねーけど、先生の横顔がすげぇ邪悪に見えるんだよな。なんか悪いことを考えてねーか?」



 今度はシーラに注意された。舌打ちなんかしてないつもりだったけどね。それに、チラッと壊滅させてもって思ったけどさ。そんなに邪悪な顔をしてたかな? ニコは物事を大げさに語るクセがあるようだね。ルージュに矯正しとくようにって言っておかなきゃね。 

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