百十三話
子供達と語り合った後、戦場で活躍した者達と会うことにしたのよ。私と一緒に戦い抜いた5人の娘達は、こういうのも変だけど普通の可愛い娘達だった。ランスローと一緒にいた男は、逆に静かにしてても、何か存在感があるんだ。けして不愉快なものじゃないんだけどね。女の子達が騒いでるのを微笑ましそうに見ているとこは、何か器の大きさを感じるかな。
この6人に対して大きな活躍をしてくれたんだから何か勲章でもあげられたら良いんだけども、そんなの無いしね。元の世界の戦国時代みたいに感状でも作れば良いんだろうかね。けど、コボルト達は、まだ教育制度も整ってなくて識字率も低い。というか限りなくゼロに近くて、文字も書かないから紙もないんだよ。だから感状も書けない。それに感状って、どんな事を書けばいいのか、それすらも分からないんだよねぇ。
感謝の気持ちを伝えるだけではなく、何か形に残るものをあげたい。それで私はルージュのことを思い出して、名前をあげてはどうかと思ったんだ。その名前を称号として使うか、それとも名前として使うかは受けた本人次第だけどね。
まずランスローと共に戦い抜いた男にはヘラクレスの名を与えたんだ。元の世界のギリシャ神話に出てくる英雄みたいだと思ったしね。
「その名前は私がいた場所の伝説の英雄の名前なのよ。あなたには相応しいと思うわよ」
「自分は今までロイと名乗ってきましたし、そう呼ばれてきました。これからはロイ・ヘラクレスと名乗ることにします」
「名字として使うのね。それもまた良し!」
女の子達はミイとかケイとかランとかスーとかミキとか、そんなシンプルな名前だったけど、やはり名前を与えると言ったら喜んでくれたわね。
金髪の腰まで届く長い髪で、ニコからセクハラされまくったんじゃなかろうかってくらい巨乳の娘にはロスヴァイセと名前を与えたんだ。黒髪でクセのあるショートヘアのキツネみたいな尻尾を持った娘にはジークルーネ。赤毛のソバカスがある娘にはオルトリンデ。茶髪で褐色の肌をした娘にはヴァルトラウテ。青い髪をポニーテールにした狼のような獣耳の娘にはシュヴァルトライテと、それぞれ命名したんだよ。
「その名前は、私がいた場所で戦乙女、ヴァルキリーと呼ばれた天使……女神かな? そういう存在の名前なのよ。やはりアンタ達に相応しい名前だと思うわよ」
5人は目を輝かせて喜んでたけど、そのうち何かを相談し始めたんだよね。その相談もすぐに終わって金髪巨乳のロスヴァイセが代表として私のところへ来たんだ。この子ってよく見ると、二重のタレ目で可愛いな。
「アルマ様、私達はヴァルキリー小隊を編成して頂きたいのです。そしてアルマ様の直属部隊にしてもらえませんか?」
「私も女だから、直属部隊が女性で編成されてると余計な気を使わなくて済むのは、ありがたいから欲しいと思うんだけどね。まぁ、アンタ達なら強いし大丈夫かな。そこはランスロー達に相談してみるわよ」
「ありがとうございます。それと、他にも私達と匹敵する強さの子がいるんですが、スカウトしてきても良いですか?」
「そうね、構わないわよ」
「ありがとうございます」
私から許可を取ると5人は、何やらあの子を誘うとか、この娘が強いとか選定し始めていた。どんな子を連れてくるのか楽しみになってきたよね。




