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百十二話

 コボルトの村へ戻り、軍の再編をランスロー達へ押し付けて、アレスとアリスの二人の子供達と久しぶりの再会をしたのよ。アレスは精悍さを増して、父親のアルスよりも逞しい印象を受けた。アリスも可愛いというより美しいと表現するに相応しい容貌になってる。それは家の中にいるだけの深窓の令嬢のような脆くて繊細な美しさじゃない、明るく輝く太陽のような美しさだね。



 「二人とも立派になったね! 母さんは嬉しいよ!」

 「俺もアリスも、母さんに会えて嬉しいよ」



 アリスは何も言わずに私に抱きついてきたので、ギュッと抱きしめてあげた。そしてアレスを手招きして二人を両手で抱きしめなおした。もう可愛いなぁ。ふと目をやると、シーザーとシーラがシードと何かを笑顔で話してる。さりげなくサラがシードの背後にいて、シーラの側にはアリマが立っていた。アリマと目が合ったので、チョイチョイと人差し指で手招きしたら、何か物欲しそうな顔でやってきた。


 手を伸ばして頭を撫でてあげたら「俺は抱きしめてくれないの?」ときたもんだ。お前と私は同一人物じゃないか。自分に抱きしめられて嬉しいのかよぅ。アレスとアリスが気がついて、私から離れたのでアリマを抱きしめてやったんだ。そうしたら私を軽く抱きしめ返してからアリス曰く、とても満足そうな表情でシーラの元へ戻っていった。あ、シーラにも頭を撫でられてやがる。あれって彼氏って言うより弟ポジションじゃないのかな? つーか私は男性だった頃、あんな性格だったかな?


 感動の再会の後は、この6人が何をやっていたのかを聞く事にしたんだけどもね。どっかの離れ小島の大昔に造られた塔の頂上にいる妖精に会ってみたり、マース王国の広大な森にいる世界樹と会ったりしたみたい。



 「何故、俺やアリスに勇者の能力が現れないのか、その原因が知りたかった。」

 「じゃあ、あんた達、勇者の力は?」

 「まだ私もアレスにも出てないのよ。その力の片鱗すら全然出てこないわね」



 とても悔しそうな顔をして二人は言ったのよ。



 「ただ、この二人の内力は俺やアネキよりも強力でな。その力を使って魔族を倒してたんだよ」



 アリマが補足するように言った。なるほど、それなら6人でも巨人達の軍勢へ斬りこもうとか思えるわよね。しかし勇者になれない理由は結局分からないままか。けど、それなら内力で倒せば良いだけよ。勇者の力のように問答無用で魔王を倒せてしまうような能力では無いけれど、大勢の人間が力を合わせれば大丈夫なはずだよ。



 「有難いと思うよ」



 アレスが短く答えて頷いた。


 魔王は勇者の村を滅ぼして、その血筋を断ったと確信してた。でも私のお腹に勇者の血筋は生きていたんだ。それを知った時に、魔王は自ら行動して子供達を殺すべきだったんだ。だけど、できなかった。何故なら内力を勇者の力の発現と見誤ったからだ。下手に攻撃して完全に覚醒したら、魔王は滅ぼされてしまう。それ故に魔王は動けない。



 「その勘違いを私達は大いに利用したのよ。おかげで魔王軍の攻撃は半端で私達は生き延びたのよ。そして皮肉な事に内力を鍛え上げる訓練にもなったってワケよ」

 「そのうち魔王は己の居城を防衛する為の結界を張り巡らせた。これで俺達も魔王の居城へ攻め込む事ができなくなった。結界は魔王配下の種族が居住する町の中心の砦に設置してあったから、俺達も迂闊に手を出す事ができなかったんだ」



 人間にとって魔王を倒す為の切り札は勇者の血筋。それを魔王に見つからないように隠してきたのに、魔王に見つけられて勇者の血筋の殆どが滅ぼされてしまった。これは人間側にとっての大誤算。そして勇者が現れたとハッタリをかまして、人間世界で一番の国が滅ぼされ、その余波で周辺国家もいくつか滅ぼされた。これが二つ目の大誤算。このままいけば魔王の勝利で終わるはずだった。だけど、勇者の血筋が残っていたのを見落とした。これは魔王の大誤算。しかし、魔王の血筋が残ってると判明した時に、内力を勇者の力と勘違いしたのが、魔王の第二の大誤算。

 


 私がこっちの世界へ来た頃はね、魔王って頭の切れる奴だって思ってたのよ。だけど、こうして見ると人間も魔王も失点を重ねて不利になってるんだね。間抜けな話だよね。そう言うと皆が笑ったんだ。あとはこれ以上の失点を重ねなければ私達は勝てるんじゃないかな。


 

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