百十一話
「ランスロー!」
ランスローに声をかけて近くへ行くと、奴は私に笑顔で頷いた。敵中だというのに余裕だよね。でも、こんな剛勇無双の護衛がついていたら、多少の無茶はしたくなるだろうなぁ。
「アルマ殿、どうもあちらに友軍か、敵の敵、第三勢力がいるようなのですよ」
「こんなに強い子がいれば、無茶して見に行きたくなる気持ちも分かるけどさぁ……ダメだよ?」
「アルマが言うなと、ガレスなら言うでしょうね」
「うぅ、何回か言われたわよ。ま、いいわ。私も行くよ」
「それは心強い」
ランスローの護衛をしてた連中は面識が無いせいか、こちらをチラチラ見てたけど、声はかけてこなかったんだ。あとで、この一番強い奴と話をしてみたいな。ランスロー達と合流して、私達は更に前方へと向ったんだ。もうこの時点では、よほどの油断をしない限り巨人達を脅威とは思えなくなってたんだけど、これって慢心かな。
前方へ、前方へと進んでいると、何人かの巨人が攻撃を受けて吹き飛ばされる光景が見えたんだよ。いよいよ謎の友軍か、あるいは私達とも敵対するかもしれない第三勢力が見えてくるはず。私達の軍が舐められないように、スゴイ攻撃をしてやろう。そう思って内力を高めて巨人を何人か謎の第三勢力方面へと吹き飛ばしてやったのよ。そうしたら対抗心でも刺激されたのか、第三勢力側からも巨人が吹き飛んできたんだ。
「なんだよー、大人げない連中だなー」
「最初にやったのはアルマ殿じゃないですか」
「そうだけど……そうだけどさぁ……」
「まぁアルマ殿同様に悪意があるわけじゃないでしょう。それくらいなら、こっちも出来るよ、と言ったところでしょうか」
「そうかもねー。でも、これで分かったけどさ、連中は良くも悪くもバカだよね」
敵を斬り倒して第三勢力のところへ抜けた時に、どれだけの戦力がいるのかと思えば、たったの数人だった。正確には6人なんだけど、よくもまぁ、これで巨人達へ戦いを挑んだよね。
「お母さん!!」
「先生!!」
「アネキ!!」
6人は私を見るなり三通りに叫んだ。私をお母さんと呼んだのはアレスとアリス。先生と呼んだのはシーザーとシーラ。そしてアネキと呼んだのは、もう一人の私でもあるアリマだったんだよ。さすがに私も驚いたんだ。まさか、こんな所で会うとは思わなかったしね。
「積もる話は後にしようか! まずは、こいつらを叩きのめすよ!!」
「了解!!」
とは言ったけど、もう勝負はついてたよ。アレス達と合流して敵陣のど真ん中で暴れまわっているところに、ニコとガレスの軍が二方面から攻撃したんだもの。ついに巨人達が敗走を始めても、私達は容赦なく追撃していったんだ。本来なら、ここは敵地だから追撃は避けるべきだと思うんだけどね。でも地の利に詳しいコボルト族が味方にいるんだもの。ここは攻める時だと思ったのよ。
この戦いで巨人達は7割近い戦死者をだして撤退していったんだ。この人的損害を回復するには、この先10年か20年か、巨人達の繁殖力がどの程度か知らないけど、魔王討伐の旅が終わるくらいまでの期間は参戦不可能だろうね。
久しぶりに再会した子供達を連れて、私達の軍もコボルト族の村まで後退させたのよ。これでしばらくの間は兵士達の休息と、軍の再編を行うつもり。もっとも実務はランスローとガレスにお任せするけどね。巨人族を撃ち破ったともなれば魔王に従ってた種族も、人間側へと寝返るんじゃないかな。




