第15話
「あん? ンだよ。クロイワ」
言外に邪魔するな。といった表情でスズヤさんが救世主もとい、後ろから声をかけてきたクロイワさんに振り返ります。
「落ち着け。全部勘違いだ」
「なにがッ」
「彼……、ヒロくんはイリヤの彼氏なんかじゃないぞ?」
……。
「…………は?」
「もちろん、イリヤを騙したりとかでもない。アカリが言っていたことは、全部アイツの妄想だ」
沈黙が舞い降ります。
「……サヤ?」
「ええ、私もイリヤに彼氏ができたとかは聞いてないわよ?」
クロイワさんに諭されたスズヤさんがサヤさんにも確認をとります。
結果は白! 僕の無実が複数の証人よって証明されます。
あー……。と、なにやら気まずそうに僕の胸元をつかんでいたスズヤさんがその手を離します。
手を離された僕は壁にもたれかかりながらズルズルとその場に腰をおとしてしまいます。
怖かった。怖かったです。思い返してみれば僕の人生で不良チックな方々に絡まれるというのは一度も発生したことがないイベントです。
不良チックの方々に囲まれた僕が、やられる寸前に隠されていた能力が覚醒して、相手を千切っては投げ、無双したりなんていうのは、数え切れないくらい妄想してきましたが。実際そんな状況に陥ると何もできないものなんですね……。
うん。平和が1番。ラブアンドピースだ。
などと一人、世界平和についてその思いを噛みしめていると、
「えっと、ヒロくん?」
「あ、はい……サヤさん?」
これ使って。とサヤさんがハンカチを差し出してきます。
はて?
「涙でてるわよ?」
あとお鼻も。とサヤさん。
うう……。優しいなぁ、優しいなぁ!
「あ゛り゛がとうこざいまず〜」
「じゃあ、イリヤはフリーなんだな!?」
「知らんが、そうなんじゃないか?」
「痛かったよぉ〜! 怖かったよぉ〜!」
アカリちゃんがえぐえぐと泣き、スズヤさんがイリヤはフリー! と連呼し、僕は平和が一番!と言いながらシクシクと涙を零すそんな混沌とした中、
「えっと、これはどういった状況なのですか?」
着替えから戻ってきたイリヤさんは顔を少し引きつらせ我関せず、といったミラさんに状況を訪ねます。
尋ねられたミラさんは、
「いつものことさ」
と澄まし顔で応えてました。




