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第11話

「ようこそ! 私たちのコミュニティー『HOPE』へ!!」


 そう言われてくぐった扉の中。そこは木木が生い茂った別世界に繋がっていました。

時間帯は夕方。木木が生い茂ってるというのは意外とありふれた光景ですが、そこに当たり前のように混ざってる非日常が一つ。


「光が…」


 シャボン玉のような大小さまざまな光の玉がふわふわと空中に浮かんではじけたり、なにも無いところからいきなり湧き上がって空中をフワフワ漂っています。それもそこらじゅう。いたるところで。

その光景はどこまでも非日常で……。


「綺麗だ……」


そう。どこまでも幻想的で美しかったです。


「予定より時間がかかってしまったね。早く行こう。そろそろケンが騒ぎ出してるころだろうからね」


 先に到着していたミラさんがそう言って歩きだします。


「騒ぎ出す? ケンさん?」


 ミラさんにくっついて歩きながら、先ほどミラさんが口にした人について聞いてみます。


「私たちのコミュニティーのメンバーさんですよ。とても明るくて面白い方です」

「明るいというか、イリヤ狂い馬鹿だよね」

「私狂いって……」

「口を開けばイリヤ、イリヤってうるさいからね」


 ……何故でしょう? 会ったこともないのにそのケンさんとは相容れぬ……不倶戴天のような危機感を感じてしまいます。くっ、まさかこんな早々にライバルが現れるだなんてっ……。いや、まだ会っていないんですけどね。

 そうやって僕が一人、危機感を感じているのをよそにガールズトークは続きます。


「で、イリヤ的にはどうなんだい?」

「どう……ですか?」

「いや、あんだけ騒がれてたら嬉しいとか迷惑だとかいろいろあるだろ?」

「それは……はい。嬉しいですよ?」


 嬉しいのっ!?


「親切にいろいろ気にしてもらえて……うん。感謝感謝ですよ」

「イリヤは罪作りだね……ってヒロ君。きみはさっきからなに一人で百面相しているんだい?」


……ミラさんが変な話題で話を始めるから…………。


「それはそうと。ヒロさん見えてきましたよ」

「ケンさんが!?」

「え? いえ、あれが私たちのホーム――『ルピナス』です!」


 そう言ってイリヤさんが指さす先には一つのオシャレなコテージが見えてきました。

高床式っていうんでしょうか? 大きな五本の柱の上に洋風のお家が乗っていて、玄関まではウットデキの階段が下から続いていました。


「へぇ、あそこがイリヤさんやミラさんが生活してるところですか!」

「はい。私やミラさんだけじゃなくて、他にもいろんな方がいますよ」

「ヒロくん、どうせ君のことだ。幽霊の拠点と聞いてもっとオドロオドロしい場所を想像していただろ?」


 ミラさんがそういって口の端を片方もちあげ、いかにもニヤリといった感じで僕を見てきます。猫なのにずいぶんと器用ですね! ……まぁ、たしかにもっと不気味な恐怖の館的なところを想像していたので、意外な感じです。

どうしてそれっぽい拠点じゃないのか、と聞いてみたところ。

「なら、君はジメジメして、暗くて不気味なところで生活したいのかい? 僕はまっぴらごめんだね」

と言われてしまいました。うん。僕も不気味なところは嫌です。


「あ、でもどうして家があんなに高い位置に建っているんですか?」


僕は建物を見た時に思ったもう一つの疑問をミラさんにぶつけてみました。


「いくらなんでも少し高すぎませんか? 普通に建物の三階ぐらいはありそうですし。なんか地震がきたら建物が柱の上から落ちたりしないのかって怖くなりませんか?」

「ここは霊界だからね。地震なんてないのさ。それに……あれくらい高くないと沈むんだよ」

「沈む?」

「そう。水の中にね。コミュニティーは数々あるけど、それぞれのコミュニティーには環境に特徴がついてるんだよ。ずっと夜に覆われたコミュニティーや雪に閉ざされたコミュニティーなんかもあるよ。ここ、『HOPE』の場合は光の泡と水。今は水が完全に無い状態だけど、水が満ちた時はアレくらいの高さになるのさ」


 なんてファンタジーな……。

 幽霊の社会は非常識と驚きの連発ですね。え? じゃあ今僕たちが歩いている場所って下手すると水没するの?

 そう思うと急に不安になってきました。ミラさんから白い目で見られるのも構わずに辺りをきょろきょろ見渡してみます。今のところは特に変わったところはありません。が、しかし。

頭の中では超大型の放水口から流れ込む大量の水に世界が沈み、一人あっぷあっぷしている自分を想像してしまいます。

顔を少し青ざめながら、

「いつ空から大量の水が降ってくるのか気が気じゃないですね……」

と言うと、ミラさんが、

「いや違う違う。上からじゃない。下からだよ。こんな風に」


 ……こんな風に? 

ギギギ。と首を下にまげて足元を見て見ます。そこには足元の地面から水が大量に染み出してきていて、あっという間に足首まで水につかってしまいます。


「うわぁあああ!! 水がぁ! 沢山!? 嘘でしょ!?」

「だから慌てすぎだよ、ヒロ君。君はもう少し落ち着きってものを、あ」


とぷん。


「ミラさんが水没したーーーーー!?」


ど、どうする!? 助けようにも現在進行形で水かさは増してるし、僕自身の水没も時間の問題だ。

唐突な展開に頭がフリーズしてしまいます。そして気づいた時には既に遅く、


「あ……っ」


とぷん。


あっさりと僕も水没しました。





お久しぶりです。仕事の方が忙しく、なかなか投稿できませんでしたが、投稿を再開したいと思います。

皆さまどうぞよろしくおねがいします!

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