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その9



 練兵場で待つ二人のところに、ガレウスとユリアを先頭に三人の騎士が現われたのは、十分ほど後だった。

 ドレスを脱いできた事を考えると驚異の速さだが、クラウスはちゃんと化粧も落としてきていた。

 騎士らしく、身支度に時間は掛けないらしい。

 その腰には、左右に分かれて、使い込まれているらしい長短二本の剣が下げられていた。


「ほう、双剣使いか。これは珍しいな」

「お待たせ致しました」


 声こそクラリスのままだが、姿はきっちりとクラウスだ。

 昨日一昨日で見た、儀礼用の騎士服ではない。金で彩られていた刺繍が、すべて黒で入っている。後ろにいる黒騎士たちと同じ作りで、前にあるボタンと飾り紐の数が、クラウスのものは多いようだった。


「なるほど。それがお前さんの服か。団長服も、着るものによってこうも変わるか」

「閣下がご覧になったのは、どの団長の服でしょうか」

「お前さんの前の、黒髭のものじゃよ。あれは体もでかかったからな。もっと威圧感を受けたものじゃ。髭も黒いのだから、服くらい黒以外を着とれと散々愚痴ったもんじゃ」


  黒髭、という言葉に、サーレスの頭に、一つの顔がよぎる。

 真っ黒の髪と、表情が隠れてしまうほど、豊かで真っ黒な髭に覆われたその顔は、サーレスにとっては、忘れようにも忘れられない人の顔だった。


「腕と足をもがれたと聞いたが、黒髭はまだ生きておるのか?」

「はい。今は義足と義手を入れて、後進の指導をしております」


 それを聞いて、笑いながら老人は長剣を抜く。


「よく生きておったもんじゃ。話を聞く限りは、死んでいてもおかしくないと聞いておったからな。この老人を残して、若いのばかりが死に急ぐのかと残念に思っておった。帰ったら伝えてくれんか。這ってでも、そのむさ苦しいひげ面を見せに来いとな」

「そのお言葉を伝えたら、泣いて喜ぶかと思います」

「泣き上戸は変わらずか」


 豪放に笑いながら、長剣を振り、重さを確かめているようだった。

 クラウスも、自分の二本の剣を抜き、握りの確認をしている。

 その横に、そっとサーレスは近寄った。

 さすがに、剣を抜いたときは気配に敏感なのか、できるだけ気配を殺したつもりなのに、相当離れた場所で気付かれた。


「……どうかなさいましたか?」


 にっこり笑うクラウスを見て、サーレスはちょっと迷ったあげく、その耳元に口を寄せた。

 ふわっと、先程クラリスがつけていた香水が鼻をくすぐる。その香りを楽しみながら、短く呟いた。


「最初は突きだ」


 それを聞いたクラウスは、驚いたようにサーレスに大きな目を見開いて向き直った。そんなクラウスに、サーレスは小声で、慎重に言葉を掛けた。


「爺は、仕合うとき、いつも最初は突きだ。速さはすごいし、はじめにどこを狙うかは特定できない。それでも、突きであることはいつも一緒だ」


 しばらく、サーレスを見つめていたクラウスは、小首を傾げている。


「……そんな事を私に伝えてしまってよろしかったのですか?」

「いいんじゃないかな。私だけではなく、爺が気に入って仕合った相手は、みんな知ってる事実だ。前の黒騎士団長の黒髭殿も知ってることだしな」


 にっこり笑うサーレスを見ながら、クラウスは呆然と呟いた。


「……前の団長のこと、ご存じでしたか?」

「ご存じというかな……私がまだ幼い頃、よく爺を尋ねてきていた騎士殿がそうだと思う。真っ黒な髭が顔半分にびっしり生えてて、離宮の勝手口より背の高い御仁だろう。私が男に触れられない事実を立証したお方だ。こちらから触ったにもかかわらず、思い切り、急所を殴ったんだ……」


 サーレスは、気まずそうに、目の前にある大きく見開かれた青い瞳を見つめた。


「だからまあ、これは、あなたの師匠にしでかした事への、私からの侘びだ」


 唖然としていたクラウスは、突然吹き出した。

 いつも笑顔ではあるが、吹き出すほど笑うのも珍しい。

 我慢できないとばかりに、口元に手を当てて、クラウスは笑っていた。


「……っく……はは、おかげで力が抜けた気がします。ありがとうございました」

「別に、笑わせに来たわけじゃないんだがな」


 サーレスは、苦笑しながら肩をすくめた。


「ものはついでに、ひとつ、気力をもらえませんか」

「……ん?」

「もし、私がゴディック将軍に勝つことができたら、ひとつだけ、お願いを聞いてくれませんか?」


 クラウスの言葉に、サーレスは慎重に押し黙った。


「……なんでも、とは言わないぞ?」

「ええ、もちろんですよ」

「断ることも可能なら、まあ、できるだけ願いを聞いても良いよ」


 そのサーレスの一言に、満面の笑みで答えたクラウスは、そのまま黒騎士二人の元へ向った。



 サーレスは、ガレウスとユリアがいるベンチに向い、ガレウスの隣に腰を下ろした。


「……何を言ったんです?」


 ガレウスから問われて、サーレスは肩をすくめた。


「最初だけ、手を教えてきた」

「……じいさまが怒りますよ?」

「知ってても、避けられない者もいる。それなら、別に変わらないだろう?」

「そりゃ、そうですけどね」


 ガレウスも、将軍に鍛えられた、サーレスの兄弟弟子である。その技については、体にたたき込まれている。


「サーレス。あなたから見て、クラウス殿は、どれくらいの腕前だと思います?」

「ん?」


 言われて、改めてクラウスの姿を目で追った。おそらく、この場にいる誰よりも体は小さい。十六だと思えないほど、その身体は細く、嫋やかに見える。

 しかし。


「……結構強い、と思う」


 凛とした、黒い軍服の立ち姿は、側にいる二人の騎士すらも存在感で圧倒する。歩き方にも隙が無く、今襲いかかれと言われても、無理だときっぱり言い切れる。

 この姿を見れば、なるほど、黒騎士を率いていると言われて納得できた。


「あなたと比べて?」

「うん」


 素直に頷いたサーレスに、兄妹は驚いた。


「私は、双剣の扱いを学んだことがないから、戦いぶりは分からないが……今のクラウスには、まったく隙がない。見事だな」


 クラウスは、王弟として、最初に謁見の間に現われたとき、そして今日の昼、クラリスとして現われたとき、さらに今、戦いに赴こうとしているときで、全く別人だと思えるくらい、体の動きが根本から違っている。

 王弟のクラウスは、どちらかと言えば、おっとりとした、戦いを知らない人間の動き方をしている。剣を抜くことを想定しない、人に警戒心を抱かせない、そういう動きだった。だからこそ、最初の謁見の間では、違和感が大きかったのだ。

 クラリスは、貴族の令嬢として、背筋を伸ばし、ドレスを捌き、どれだけ美しくあれるかを基本とした動き方をする。先程、着替えるために離宮に戻るときですら、急いでいるだろうにそれは崩れなかった。

 そして今の、あの軍服の人は、全身を戦う武器に変えることのできる動きをしている。戦場で命を守るための戦い方のできる人。それがあの動きから分かるのだ。



 クラウスに、他の二人が話しかける。その表情には笑顔がない。

 先程、あれほど晴れ晴れとした笑顔を見せたのとは別人のような無表情。

 そして、それは、かつてのクラリスの表情だった。

 クラウスは、自分のマントと外套を、ホーフェンに手渡した。そして、練兵場の中央に立つ。


「さて、じゃあ、そろそろ始めるかの」

「……はい。よろしくご指導お願いします」


 その言葉に、爺が首をかしげながら笑った。


「はて、わしがお前さんに教えることなどあるかの」

「あなたに連なるすべての相手に、相対する事ができるようになります」

「なるほどの。あの黒髭も似たような事を抜かしおったが、さすが弟子じゃ」

「恐れ入ります」


 黒い軍服に、ひとつにまとめた茶色の髪。いつもの金茶なら、もっと髪の色が映えただろう。

 ぼんやりとその背中を見ていたら、他の騎士の二人と、クラウスの背中に違いを感じた。

 クラウスの背中にだけ、なにか刺繍がある。

 目を懲らすと、それは、狼のエンブレムだった。黒い軍服に、黒の糸で、目立たないように、しかしほぼ背中全面に、狼と剣の、黒騎士の紋章がある。他の二人が、腕につけている刺繍を、クラウスの軍服だけは、背中に大きく刺繍されているのだ。

 ……なるほど、団長服だとサーレスは思った。

 黒騎士を背負うものだと、その服で示している。

 その背中が、張られた糸のような緊張感をはらんだ。


「……刃は潰しておらんが、よいかの」

「はい」


 二人が、一定の距離を置いて、相対する。右に剣を持ち、左に盾を構えた爺と、左に小剣を構え、右に長剣を持ったクラウスが、互いの左を前にして構えを取った。

 その緊張感の中、サーレスは、心配そうにその場を見ていたユリアを呼んだ。


「ユリア。頼みがある。ティナに、今日は爺も泊まるかもしれないと伝えてきてくれ」

「……え?」

「それと、切り傷と腰痛、それと捻挫に効く薬と湿布を」

「は、はい」


 身を翻し、急いで離宮に戻って行くユリアを見送り、改めて、これから剣を交える二人に目をやった。


「……腰痛、ということは、サーレスはじいさまが負けると思うわけですか?」

「……どっちが勝つかわからないぞ?」


 実剣での試合は、多分に運の要素もある。

 血が一滴でも流れれば、その時点で試合は終わるが、それが致命傷でのことなのか、かすり傷でのことなのかはわからない。それこそ、時の運という物だ。

 その運で命を落とすこともあるくらいだが、この二人に限ってそれはなさそうな気がした。

 最初に仕掛けたのは、クラウスだった。二本の、長さの違う剣が、交差しながら将軍の腕に迫る。

 それを、あえて両方弾くのではなく、短い方に狙いをつけ、盾で弾き、弾いた体勢のクラウスに、容赦なく長剣のひと突きが入れられた。

 クラウスはそれを、長い方の剣で弾き、その勢いも使い、体の位置を変える。

 これだけのことを、瞬きするのも躊躇われるほどの短時間で遣り取りする。そのほんの数回の交差で、クラウスの実力は見て取れた。

 恐ろしく速い。そして、確実に入れてくる一撃が重い。

 全身のバネを生かした速さと、その速さを攻撃に乗せ、勢いで重さをつける攻撃は、小柄な体を活かすためのものだ。思いつく事はあっても、それを実行できるかどうかは、本人の才能による。

 天才だと思った。

 小柄な体が、あそこまで重い攻撃をできる事が、まず信じられなかった。


「……ガレウス。これは、爺の分が悪いな」

「そうですね。速さはいいが、攻撃の重さが、さすがに歳に堪えるでしょう」


 休むことなく繰り返される双剣の攻撃を、盾と長剣が丁寧に捌いている。今はまだ、双方余裕が見えるが、長く続けば続くほど、将軍の方に負担が大きい。


「ということは、爺は速く決着をつけようとするな」

「あの人の真骨頂は、実際に剣を交えたときの駆け引きですからね。早めに終わらせるなら、耳か手でも狙うか……」


 いつもそれに翻弄される二人の弟子は、目の前で繰り広げられる死闘を目に焼き付けながら、師匠の技を見ていた。

 それは、ちょうどユリアがかごを手に駆け戻ってきたときに起こった。

 将軍の一撃で、一瞬クラウスが後ろに撥ね、受け身によって攻撃の手が揺るんだ。その一瞬で、将軍が再び、重さを乗せた突きで肩を狙った。

 しかし、それを紙一重で避け、突きで体を前進させた将軍の手を狙い、小剣がひらめいたのだ。

 たったひと筋。今まで重い攻撃を入れ続けていたクラウスが、自らの隙で相手の攻撃を誘った。

 間違いなく、手にひと筋、赤いものが見えた。


「やるな」

「ありがとうございます」


 たった一言。だが、その一言は、他のなににも代え難い賞賛の言葉だった。



 クラウスの表情に、再び笑顔が浮かんだ。

 それから、無言のまま、二人は剣を引く。双方がサーレスの方に歩いてくるのを見て、サーレスは苦笑した。


「爺。無茶しすぎだ」

「なにが無茶じゃ」


 ふくれっ面になった老人に、ガレウスがため息をこぼした。


「お歳を考えてください。毎回毎回、全力で動けば後日どうなるか、そろそろおわかりになるでしょう」


 そう言いながら、老人に肩を貸しながら、今まで自分達がいたベンチに向う。

 サーレスは、そのまま残り、クラウスに声をかけた。


「お強いな。さすが黒騎士団長だ」


 服のほこりを払いながら、クラウスが立ち上がり、そんなサーレスに肩を並べた。


「最初の一撃、助かりました。さすがにあの速さだと、知らずに受けたらあれでいきなり終っていたかもしれません。正確に、頬を狙われました」

「そのわりに、ずいぶん余裕を感じたがな」

「少なくとも、あなたのアドバイスがなければ、将軍の年齢を考えて油断したでしょうね。あの方は本当に、八十ですか」

「八十だが、毎日朝夕、合計約六時間を訓練と体力作りに費やす八十だ。訓練をする時間は現役と変わらない上に、経験の量と桁が違う。だが、一応あれでも、寄る年波には勝てんと言いつつ、腰痛に苦しむんだぞ?」


 サーレスの視線が向けられた先に、クラウスも向き直る。

 ベンチでは、ユリアとガレウスが、老人の背中と腰に、薬を塗ったり湿布をしたりしている。


「……あのお歳で、あれだけですむのは、十分すごいと思いますよ」


 クスッと笑うクラウスを見て、ようやくサーレスも微笑んだ。


「そう言えば、約束はどうするんだ?」


 言われたクラウスが、サーレスの瞳をのぞき込んだ。


「……明日までに考えます」

「お手柔らかに」


 クラウスが、剣を拭って鞘に収めたのを見て、二人で離宮に足を向けた。



「ドレスじゃなくなったな。今日はもう、着ないのか?」

「着た方がいいですか?」


 しばらく考えたサーレスは、改めて頷いた。


「それはまあ、見目良いドレス姿の令嬢がいれば、華やかになるからな。せっかく声も変わっているんだし。あ、でも、もちろん、あなたが騎士の姿でいたいなら、そのままでいてくれても別に良いぞ?」

「いえ、着替えます」


 きっぱり言い切ったクラウスは、クラリスと同じ笑みを浮かべ、サーレスを見上げていた。


「ドレス姿でいれば、あなたにエスコートしてもらえますから」


 その言葉に、サーレスも思わず笑った。

 ドレス姿の令嬢を、そのままにしておくなど、それこそ騎士の風上にも置けないことだ。

 

 

 その夜、サーレスは、爺や黒騎士たちが酒宴を開いていたのを、珍しがられながら辞退して、部屋に入った。

 考えながら飲むと悪酔いする気がしたのだ。

 部屋に籠もり、兄から預かっているチェスの戦略パズルに向き合っていた。

 駒を一つずつ動かしながら、窓の外の月を見ていた。

 考えるのは、苦手だった。

 兄は、いつまでもいつまでも、黙って考え込んでいた。

 姿はそっくりでも、やはり自分は兄と同じにはなれない。何をそんなに悩むことがあるのか、幼かった自分には分からなかった。

 その横にいて、その息詰まる状況に、いつも我が儘を言っては、兄にこのパズルを渡された。

 兄は、考え事の邪魔をされるたびに、自分にこれを渡して、私を沈黙させてまた考え込んでいたのだ。

 考えたくないとき、ついこれに逃げるのは、きっとそのせいだろう。

 ため息を吐きながら駒を見つめた。

 クラウスが立派な騎士なのはよく分かった。男性としても立派だと思う。その上女性としても立派なのが驚きだが、とにかく、ほぼ欠点が見あたらない人物だと思う。

 だけど、自分はどうだろう。

 サーラとしても、サーレスとしても、自分がない。姫でもない、騎士でもない。女でもなく男でもなく。

 じゃあ、なんだろう。

 その答えは、出たことがないのだ。

 出ない答えは、いつもパズルでごまかした。

 兄に聞いても、答えはくれなかった。

 そればっかりは、お前が考えるしかないからなと、ほぼ同じ高さになったサーレスの頭をなでて、悲しそうに微笑むだけだった。


 先の黒騎士団長だったという、黒髭さんに初めて会ったのは、八歳だか九歳だかの時だったはずだ。その人は、見上げるほどに背が高く、視界に写る顔は、黒い髭に覆われていて、表情はよく見えなかった。ただ、目元が穏やかだったのは覚えている。

 ダンスがどうしても踊れない。一生懸命に教えてくれている母様を悲しませるのは悲しいと告げたサーレスに、じゃあ自分が相手になって練習しようかと言ってくれた。

 ところが、自分からその人の手に触った瞬間、全身に鳥肌が立った。体中に不快感があり、悲鳴を上げて目の前の人を殴ったのだ。

 その人は、当たり所が悪く、そのまま蹲って動けなくなった。

 事情も説明できず、ただごめんなさいとしか言えなかった。

それ以上触ることもできないので、泣きながら謝るだけだった自分に、その人はくぐもった声で、大丈夫大丈夫と言っていた。

 『大丈夫、私は無理だったけれど、いつか相手ができる強者も現われるさ』

 そう言って、慰めてくれた。

 その歳から、ほぼ十年。まさか、その人の弟子が現われて、しかもその人が黒髭さんが話していた大丈夫な相手だなんて、想像もしていなかった。


 ……そもそも、どうしてクラウスだけ、大丈夫なのか。

 最初に出会ったのがクラリスだったからか。まさか、あそこまで完璧な淑女が男だとは思えないから、それに騙されているのだろうか。

 でもそれなら、騎士姿でいるときに触れられるのはおかしくないか。

 (……本当に、体に触らせてもらえばよかったか)

 クラリス姿の時に、触って男だと確認できれば、納得できたんだろうか。

 それとも、クラウスの時に、しっかり触って確認した方が納得するんだろうか。

 どちらにせよ、頼むに頼めない事であるのに変わりない。

 ティナに雷を落とされるまでもなく、そんな事は頼める事じゃない。

 誰に相談すれば、この謎は解けるんだろうか。頭が痛くなるばかりだった。


 今日の月は明るかった。白銀の光が、暗い部屋に差し込んで明るすぎる位だ。

 俯いて、ぐるぐる考えるばかりだったサーレスは、ふと、窓を見上げた。

 そのまま月明かりを見つめていると、突然、影が差した。

 上から、誰かが降ってきたのだ。

 窓の外には、月の光を背に受け、明るく輝く金色がある。

 慌てて窓に飛びついて、鍵を開けた。

 そこには、いつものように微笑むクラウスが立っていた。




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