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3,遠足日和 1

「あっら〜?宮下じゃないの。久しぶり、風邪治ったの?」


「……あぁ」


 宮下は短く答えた。


「そう。今風邪がはやってるみたいだから私も気を付けなきゃね」


 佳奈子は千尋を見て、「この子も風邪引いてたのよ」と宮下に言う。

 宮下も千尋を見て言った。


「そうだろうね」


「へ?」


 佳奈子はあっけにとられたように宮下を見たが、彼はすぐに「何でもないよ」と言い視聴覚室に入っていった。


「何今の?」


 千尋は何も答えずに黙っていた。


「変なの。まぁいいわ、早く教室入ろう?」




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3,遠足日和 1


 今日は晴天なり。

 朝っぱらから雲一つない空。

 真っ青だった。



 高校生にもなって遠足にいくというのはいかなるものなのだろうか。

 千尋は目的地である動物園へ向かって自転車をこいでいた。


「千尋…あんた大丈夫?」


 すでに無表情、というか冷たく凍りついた顔をした千尋を見て佳奈子が心配そうにのぞき込む。

 千尋はこういった屋外の行事がこの上なく苦手だった。


「あんまり大丈夫じゃない」


 団体行動がダメで、これまで幾度となく行われてきたこの手の行事は千尋を苦しめていた。


 千尋には何故高2にもなって自転車で動物園へ行くのか理解が出来なかった。

 本当はサボりたかったが、あいにくと佳奈子が許してくれず、嫌がる千尋を無理矢理引きずってきたのだ。


「もう、わかっちゃいるけど本当にだめよねあんた。自転車に乗れるだけでも奇跡だもん」


 あきれた顔をして佳奈子は言う。

 しかし、千尋はこういった行事は嫌いだが1人で自転車に乗って近くの河原に行くので自転車だけには乗れるのだ。


 長く続く自転車の列。今日は私服OKだったのでとてもカラフルな集団だった。

 だいぶ前の方から担任の声が聞こえる。遠すぎるせいかあまり聞き取れなかったが、どうやらもうすぐ着くようだ。


「ほら、もうすぐだからがんばってこぎなさい!」


 千尋があまりにもノロノロとこぐためにほとんどビリケツあたりに彼女らはいた。

 少しでも千尋から離れると彼女はこぐことをやめてその辺で草摘みでもしかねかねないので、佳奈子は目を離さなかった。


「無理かも…」


 ほとんど生気をなくした声で千尋は答える。


「ばかっ、弱音を吐くんじゃない!」



 千尋は心の中で今日バカって言われたの何回目だろう?なんて考えていた。




 


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