ドラマチック
仕事終わりにコンビニに寄り、弁当を買う。
均一で見栄えの良い弁当は、食品サンプルのように見える。実際、食品サンプルのような味だ。
仕事が忙しすぎる。俺の作っている部品は、何に使われているのだろう。俺は自分が何をしているのか知らない。なのに、仕事は忙しい。
10年もこんな生活をしている。なにも変わらない。つまらない日々。鏡をみると俺だけが変わっていた。俺は老い始めている。
自炊をしてみよう。
俺の作っているあの部品は何なのか、調べてみよう。
炊飯器を買った。俺は生まれて始めて自分で米を炊いた。炊けた米は柔らかく水っぽかった。俺は、ため息をつきながら一口、米を喰んだ。炊きたての米の香りがほかほか鼻を抜ける。米の粒を舌に感じる。米の生きた証が口に広がる。美味いじゃないか。
俺の作っている部品は、子供用の遊具の部品だという。俺は、結婚もしていないし彼女もいない。だから子供もあまり好きじゃない。縁がないと思っていたから。でも、俺の作っている部品は子供を喜ばせている。俺は、ちょっぴりだが子供を好きになれるだろう。
つまらない。つまらない。と嘆いていた俺は、刺激が足らなかったんじゃない。俺の感じる力が弱っていたんだ。
少し立ち止まってしまったが、俺はもう少し楽しく生きられるかもしれない。




