新世界ギルドのグリーンという男 << マイネ >>
王国評議会が終わってから、ヨーネスとの別れを経験して(そのあとに、ヨーネスはサブアカウントは保持しているということはフェアリーから聞きました)、僕は少し物思いに耽ることも多くなりましたが、ゲームの展開が僕を次のステージに追い立てました。
リゼア王国がガルナス王国に滅ぼされる前に、ガルナス王国と接触して、ロマール王国に対する態度を確かめておこうという王国政権の方針により、ガルナス王国への遠征が発せられたからです。
あくまで最初は和平を望む交渉のスタンスは持ちながらも、上手くいかなければ、すぐに戦争対応出来るように、商人ギルドと共に、大軍勢を率いて国境付近まで進軍することが決まりました。
その経路は、王都から魔法都市ライツ、そして小都市シエラ、黄金都市ミダース、小都市モルトへと進軍することに決まりました。
商人ギルドは、拠点が鉄の町になるので、当初は南回りで行軍して、王立騎士団と大都市ミダースで合流する予定でしたが、セルバート王からの要請で、出来るだけ多くの兵力を準備してほしいと言われ、リーダーのゴールネスは「ならば、大都市クロスでも徴兵して行きましょう」と言って、王立騎士団と同様に北回りで進軍することになった。
一方、懲罰ギルドに関しては、第一ギルドとアルプスギルドと共同で、東方のリゼア王国を経由して、リゼア王国に進軍したガルナス王国と対峙することを決定しました。
僕はフェアリーに「いよいよ他国との戦いが始まるね」とわくわくする気持ちを伝えました。
フェアリーは、ゲーム開始初期の先行する王国との力の差はかなり大きいから、気をつけたほうが良いわよと言われ、その差はどれくらい?と聞いたら、「1.5倍近くはほぼ間違いなくある」と言いました。
「それは大きすぎないか?ゲームとして不公平だ」と言ったら、「仕方ないわよ。ガルナス王国、リゼア王国、ロマール王国の順なので、2か月の差がある」と言って、「それでもリゼア王国とは和平を結んだし、両国で対応するなら、十分に戦える」と言った。
そのあとにフェアリーは、「それに戦力差は何とかなること多い。強いプレイヤー、重課金者はどこにいるかもわからないから。この王国は課金者は少なくないと思うわ。でも先行する有利さは、それ以外にもある」と言った。
「というと?」と僕が聞くと、「例えば王国内の統合や和平。この王国はまだ第二位のギルドの新世界ギルドが、王立騎士団と完全に和平しているとは言えない。第三位の第一ギルドも。それぞれ思惑を抱いて活動している。これが今後どうなるか」とフェアリーは少し難しい顔をした。
僕はよくよく考えると、このゲームにおいて、成功しか経験していない。
錫鉱山での戦いのように、小さな敗戦はあったけれど、王国内に100以上あるギルドの中で最強のギルドに所属していることが何より成功している証だ。
トーナメントで言えば、すでに100以上のものの中から頂点に達している。
フェアリーの話だと、次は1/4の中で勝てば良い。
ガルナス王国、リゼア王国、そしてトルン地方の王国を打ち負かせば良い。
多少の不利はあっても、恐れる必要はない。
不安な様子を見せるフェアリーに対して、無理に楽天的なことを言うと、彼女はどういう反応を見せるのか少し知りたくなったが、止めておいた。
大人をからかってはいけないのだ。
商人ギルドが王都で合流して行軍が始まると、僕とフェアリーは長旅を楽しんだ。
イベント狙いの探索ではないので、魔物との遭遇やトラブルの発生は多くはなかったけれど、長旅なので、数はそれなりにあった。
道案内は、新世界ギルドのサブリーダーのグリーンという将校がしてくれたが、まず、彼は面白い人だった。
セルバート王が、「チャードンとはどういう男だ。ずいぶん私に反抗的だが」と聞くと、「わかりませんなぁ。出身地も違いますし、そもそも、たまたま西方の近い場所から始めたから、同じギルドに入ったわけです。鷹の目ギルドの役員のように、前のゲームから付き合いがあるわけではない。セルバート王もそうでしょう?ゴールネスやイザベラの分からないところがあるから独立させたんじゃありませんか?」と言って、セルバート王を困らせた。
フェアリーもグリーンの面白さにすぐに気づいたようで、「あなたは戦上手だという噂があります。私たちと戦ったら勝てますか?」と、思い切ったことを聞きました。
「私は常勝将軍とは言われております。自分より強いものとは戦いません。弱いものいじめの常習者ですな。そんな私が王立騎士団と戦ったら勝てるか。100%勝ちますな。私が勝てる状態になってから戦うのですから。ただ、いつ戦うかは教えられません。今戦えば、100倍以上の戦力差です。戦うわけないでしょう?」
そこでライゼンが「ならば、わしと力比べをしませんか?わしは老人じゃ。わしより弱いとなると、それは笑い者じゃぞ」とけしかけました。
セルバート王も、「それは見てみたいな。ライゼンは今は内務大臣だが、戦にかけては王立騎士団でも指折りだ。負けても恥じることはないぞ」と言った。
グリーンは「内務大臣であり、年上の御仁を、私が本気で叩きのめせるとでも?弱いとみなして、笑っていただいて結構」と言うので、ライゼンが馬を寄せて挑もうとしたのを、セルバート王が止めて、「失礼しました。道案内をお願いします」と言って収めました。
ザラとシャルルが王都の防衛を任されたのが、もったいないと思った
彼らがいたら、グリーンとどんなやり取りが見られたのか。




