マールとの再会 << マイネ >>
セルバート王らが会談に臨む間、僕はマールの陣営に行き、挨拶した。
「久しぶり、元気にしてた?」
「あら。少し成長した?背が伸びてる」
「本当?自分では気づかないよ。マールはぐっと大人ぽくなってるよ」
「異世界から来た人とは時間の流れが違うから、次会うときは私は老婆になってるかも」
「この世界で過ごす時間は、僕にとってはとても楽しい時間だよ。マールはずっとこの世界に居られる。羨ましいよ」
「あなたが普段いる世界はどんな世界なの?」
「そう言われると、マールが接するこの世界と似ている。魔法がない。そして科学技術がある。でもこの世界よりは科学技術は進んでる。鉄の空飛ぶ乗り物がある。ファイヤードラゴンは居ないけど、もっと強大な炎の兵器がある。街一つが一瞬で破壊される兵器がある」
「戦争は出来ないね。そんなに強い兵器をお互いが持つと」
「うん。核兵器というんだけど、核兵器を持つ国同士は、戦争をしていない。今のところ。でも小さな戦争は幾つもある。親子喧嘩や夫婦の喧嘩も。いじめっ子もいる」
「マイネはその世界では強いの?」
「いいや。とても弱い。大人の世界では生きることも出来ないし、子供の世界でも、いつも怯えてる。この世界の方が良い。竜王の剣が僕を守るから」
「マイネがその、この世界で死んだら、あなたの世界に帰るだけ。でもあなたの世界で死んだらどうなるの?」
「それは誰も答えられない。天国や地獄に行くという人もいるし、また生まれ変わると言う人もいる。無になる、何もなくなるという人もいる」
「もし、私が死んだらどうなると思う」
「それははっきりしている。無になるよ。何もなくなる」
「あなたと違って、死ねないわね。でも時が来たら、老婆になって死んでしまうけど」
「僕も僕の世界でいつか死ぬ。そして君と同じように、たぶん何も残らない」
「だったら、せっかくこの世界に生まれたのだし、やりたいことやっておきたいわね」
「そうだね。これから王国戦争だ。僕は楽しみだよ」
「私は不安。ガルナス王国は強いという話だし」
「うん。確かに。僕らは負けても殺されても、ここは本当の世界ではないという事実があるから、それほど怖くないけど、もし死んだら終わりだとしたら、今回の戦争は本当に怖いと思う」
「何か不思議なの。私は兵士だし戦って敵を殺し、弱かったり運が悪ければ死ぬ。それが当たり前だと思っていたのに、最近死が怖くなってきたの」
「マールは、マイノスさんを愛して始めているからだよ。たぶんね」
「マイノスさんは私のボスです。私を雇用してくれました。マイノスさんのためなら死ねます。そうだ。マイネ。私たちは王立騎士団に敵対する意思はないことを知ってほしいの。マイノスさんから王立騎士団を攻撃したことはないでしょう?そのことをセルバート王に伝えてほしいの。私はそのために今日ここにいる。私たちビッグレイクは王国のために死ぬ覚悟でいるってこと。どんな危険な戦場にも赴くつもり。そのことを伝えてほしいの」
「わかった。セルバート王は良い王様だよ。王国民をむやみに殺したりはしない。フェアリーも、勝算ない戦いに僕を連れ出したりはしない。ガルナス王国は強いだろうけど、ロマール王国軍が勝利することを信じているよ。マール、僕らは勝つよ」
僕がそういうと、伝令からガルナス王国戦線の第一報が飛び込んできた。
ガルナス王国と交戦状態に。
双方が宣戦布告!
僕はマールに、セルバート王への伝言は預かったことを伝え、キャンプに戻った。
それからワープホールで国境まで進んだわけだけど、それから行軍を進めて間もなく、小都市ハールを鷹の目ギルドが攻略したという報告が来た。
ロマール王国は、開戦早々大きな戦果を上げて、王国戦争をさらに押し進めることになった。
僕らは小都市ハールに入場し、更なる奥地へと進むべく、探索隊を繰り出すことになった。
マールらのビッグレイクギルドもその一員として、指示が出ていた。
セルバート王には、マールからの伝言は伝えられなかった。
言う機会が見つけられなかったんだ。
僕が言うことで、余計に警戒されても申し訳ないし。
でもマールなら、成果で伝えられると思ったんだ。
だって、マールの傭兵団、今回出征している中では、かなり上位の練度を持つ兵士だと、ひと目見てわかったからね。




