表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄昏に鳴らぬ鐘、イシュタムの魂を宿すさえない俺  作者: 和泉發仙


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

82/387

登場人物紹介・特別篇



――灰港シャルナ停泊記・旗の“はく”棚卸し――


旅はここでひと息。次の宙海ちゅうかいへ出る前に、いまの俺たちを、おとと拍で記しておく。

(語り:相良ユウキ。※俺だけは相沢千鶴のことを「あーさん」と呼ぶ約束だ)



パーティ本隊


相良ユウキ(さがら・ゆうき)


出自:令和7年から転移/元・バイト戦士

クラス:テイマー(旗手〈きしゅ〉見習い)

主なスキル:

• 探索/眷属化/進化促進/癒しの力(イシュタム由来)

• 押す音(旗で“芯”を通す)

鈴座りんざ展開:輪の内側に“一瞬だけ立てる足場”。崩れかけた拍を立て直す補助台。

装備:鈴文すずもんを刻んだ旗/不思議な指輪アンリより/白紙だった魔導書(ページが徐々に埋まる)

性格メモ:臆病と優しさは表裏。だからこそ“押す音”に剛と柔を覚えた。

最近の伸び:第八断章「骨の総礼」で“優しさ”を刃ではなく丸に変換。星断ちを無効化したとき、旗の芯が一段深くなった気がする。

ひとこと:「みんなの“次の一歩”が見えるとき、旗は軽い。」



木幡良和こばた・よしかず=よっしー


出自:平成元年/大阪のリーゼント兄貴

クラス:盾士(機械共鳴の素養あり)

固有:虚空庫アイテムボックス〈特級〉(メッセージ機能あり、彼のいた家の冷蔵庫と繋がっているらしい、容量ほぼ無限・鮮度保持)

スキル:風魔法1/平成共鳴・二段回転(エンジン回転で拍の芯を合わせ直す)

愛機:四輪=セド(平成元年・セダン)/二輪=**’88年バイク**(砂地・細径路の斥候に)

性格メモ:面倒見の塊。威勢の良さで場を持ち上げ、盾で先頭に立つ。

最近の伸び:回転“上げ下げ”の小指調整が神業。潮路や浮桟橋でも車体ごと拍に乗せる。

ひとこと:「押す時は押す。けど、抜く拍も覚えたで。」



相沢千鶴あいざわ・ちづる=あーさん


出自:明治38年/東京・華族出身のお嬢さま

クラス:???(式礼系素養)

道具:さかずき――静面/風面/潮面を薄く重ね、世界の“おもて”を撫で替える

技:鏡面三重きょうめんさんじゅう(三面の角度を一息で切替)/水流操作/紡織

性格メモ:慎ましさは強さ。礼を正し、恐れを受け止め、拍を落ち着かせる“柱”。

最近の伸び:黙潮の無鈴封に対し、面を裏返す「底抜け」で“居場所の裏側”を撫で、拍を救済。

ひとこと:「人の気配を整えれば、世界のおもても整いまする。」



ニーヤ・ゲシュタッド


種族/肩書:猫魔導士キャット・キャスター

魔法系統:風・土・水・火・回復・状態変化

新技:氷結弾・連珠れんじゅ(半拍・三分・四分の位相違いを同時発射)

役割:返鈴(返す音)・魔力結界・瞬間冷却

性格メモ:あるじ第一。勝気で甘えたがり。

最近の伸び:対“焔潮”の薄冷やし調整が正確。射線と拍線を同じ譜面で視るコツを掴んだ。

ひとこと:「ご褒美スイーツは先払いでお願いするニャ!」



クリフ・カルロベーノ


出自:この世界の人/元・聖教国兵

クラス:兵士/狩人

スキル:連続打ち/チャージショット/回復・状態変化・探知/無音矢・三連(矢をつがえず節を結ぶ)

性格メモ:寡黙と実直。言葉少なに“要る矢”を射る。

最近の伸び:節の“張り”だけで三系統の乱れを同時支え。落下する仲間をつかむ手が早い。

ひとこと:「拍は“間”だ。間が生きれば矢はいらない。」



ブラック


種別:渡りわたりがらす

補助:風背かぜせ長綾ながあや/風盾/受け身用・水のクッション

役割:上空観測・背風の柱立て・合図

性格メモ:実はおやつより褒め言葉に弱い。

ひとこと:「(無言で輪を描く)」



リンク《凛紅》(※暴れ兎)


初期:レベル10/チャージ攻撃/二段ジャンプ/危険察知/サマーソルト

新技:月面二段(二段→ひっくり返り→再着地までの“無音”を活かす)

役割:踏み点の可視化・機動攪乱・急制動の楔

性格メモ:撫でると強い。撫でないともっと強い。

ひとこと:「キューイ!(=だいじょうぶ、まかせて)」



ハッサン


職:灰港シャルナ登録ガイド

能力:短時間不可視化(姿だけ・音匂いは消せない)

性格メモ:不器用系正直者。過去の“悪癖”は断った。いまは真面目にガイド稼業。

役割:路地・税・港則の内情案内。※宙海ルールにも明るいらしい。

ひとこと:「道は知ってる。だから、おまえらの“行きたい所”を、ちゃんと言ってくれ。」



アンリ


肩書:森の魔女(外見:幼女)

贈り物:結婚指輪(魂護り)/魔導書

助言:「優しさを忘れるでないぞ」

メモ:彼女の言う“王子様だっこ”に勝てる者はいない。

ひとこと:「次に会う時は“ページ”を見せよ。白は嫌いじゃ。」



勢力・地名・試練ミニ事典

• ルーデンハイム聖教国:人間至上の国。召喚・奴隷・粛清。兵士長バーグの“闇流通”が暴露寸前。

• アルフェンヌ帝国:北側の買い手。聖教国の“外道”に拍を貸す噂。

• アレクサル収容施設:辺境の地獄。今は廃坑の怨がうずく。

青環せいかんの浮島:潮の骨を学ぶ足場。鎖潮/焔潮/黙潮の三試。

• 骨の総礼:第八断章の祭場。三輪王(鎖・焔・黙)と合符の審判。

灰港はいこうシャルナ:三色の骨灯が立つ港。潮と火と鈴の“灯音とうおん”で第九断章を授与。

宙海ちゅうかい:次に渡る空の海。灯標と風骨で航路を取る。



旅の“はくことば”入門

はく:この世界で“うまくいく時のリズム”。

• 押す音:旗で芯を通す。前を向ける音。

• 返鈴:魔法や鈴で“戻す”音。相手の位相に合わせる。

• 引く音:あーさんの盃が得意。力を抜いて守る音。

おもて:世界に張られた薄い膜。静・風・潮など。

風背かぜせ:ブラックが立てる見えない背骨。

• 鈴座:輪の内側の“仮の座”。落ちかけた足場を立て直す装置。

合符ごうふ:みんなの手が一枚になる状態。

• 断章:旅の大節。今は第九まで刻了。



装備&移動・運用方針(最新版)

四輪セド:大人数/長距離/資材輸送/浮桟橋/潮路“平穏”時。

• 二輪(’88バイク):偵察/砂地での踏破/細い獣道。

• 徒歩+術:骨場・祭場・鈴座域など、拍が狭い場所。

• 潮路(宙海):白灯→赤灯→黒灯の順で芯を通し、風背と面を薄重ねで。



直近の成長ログ(骨の総礼〜灰港)

• ユウキ:鈴座展開(優しさの足場)

• よっしー:平成共鳴・二段回転(焦り拍の救済)

• あーさん:鏡面三重+底抜け(無鈴封対策)

• ニーヤ:氷結弾・連珠(マルチ位相)

• クリフ:無音矢・三連(三系統支え)

• ブラック:風背・長綾(長距離維持)

• リンク:月面二段(滞空“無音”の活用)



いま抱えている“気になる糸”

1. 旗の白紙ページ――第十断章で“最初の文章”が現れる?

2. アンリの素性――“森の魔女”以上の呼び名を持つ気配。

3. ハッサンの不可視――“灯の影”で伸びる可能性。

4. 聖教国の裏経路――灰港にも痕跡。灯税の動きが怪しい。

5. 三輪王の一言「美」――敵ではなく、試しの同調者かもしれない。



ちょっと休憩:みんなの“素のひとこと”

• よっしー:「粉モンは世界を救う(たこ焼き会、定期開催)」

• あーさん:「水の音で眠くなりまする(寝落ち率・高)」

• ニーヤ:「肉球は秘匿。触るなら契約書が要るニャ」

• クリフ:「缶は静かに開けろ。泡の音が乱れる」

• ブラック:「(ユウキの肩→よっしーの頭→旗の先の順に好き)」

• リンク:「ナデロ(短)」

• ハッサン:「もう盗まない。案内で胸張りたい」



次航路プラン:宙海ちゅうかい

• 目的地候補:蒼架そうかの浮標帯 → “第十断章:わたりの綴り”

• 想定脅威:灯荒らし(海上盗賊)/焔矢師フレア・アロー搭載の小艇隊/**砂凪すななぎ**による無風域

• 基本布陣:

• 前:ユウキ+ブラック(風背)

• 左舷:ニーヤ(冷却)

• 右舷:あーさん(面)

• 中央:よっしー(回転・操舵)

• 後衛:クリフ(無音矢)+リンク(踏み石)

• 合図:チ・リン・リ三打=“即・合符”



小さな挿話:骨灯の夜、ひそやかな稽古


 港の波は灰の匂いを混ぜながらも、律儀に岸を舐めては返す。

 夜、宿の屋上で風を吸い込むと、あーさんが盃を持って上がってきた。


「ユウキ様。鈴座、もう一手――“寄りよりはく”を試してみませぬか」

「寄り拍?」

「はい。相手の拍に、こちらの拍を“寄せる”のです。押すでも、引くでもなく、隣に座る」


 盃の面が月光を拾い、ゆっくり揺れた。

 俺は旗を横向きに寝かせ、柄を指で撫でる。押さない。ただ、触れておく。

 頬をなでる風が、さっきより柔らかい。


「……こんな感じ?」

「はい。とても、やさしい」


 階段から顔だけひょいと出して、よっしーがニヤリと笑った。

「お二人さん、ええ感じやな。……ほな、ワイはタコ焼き温め直しとくわ」


 ニーヤが影から飛び出し、「甘味も要るニャ」と即答。

 リンクは「キューイ」と踵を打って座り、ブラックは旗の先でちょん、と一拍だけ叩いた。


 ――チ・リン・リ。

 たしかに今、みんなの拍が“隣同士”に座った。



終わりに:旗の余白


 登場人物を“音”で並べてみて気づく。

 強い音も、弱い音も、長い音も、短い音も――全部が必要だ。足りないのは余白。余白があるから、次の音が入ってこられる。


 旗の白紙ページは、まだたくさん残っている。

 だったらその余白に道を書けばいい。みんなの歩幅で。


 次のページは、宙海の風の色。



次回予告:第十断章「航の綴り」

• 骨灯を背に、宙海の浮標帯へ。

• 灯荒らしが放つ焔矢フレア・アロー、風を奪う砂凪、そして“名を呼ぶ霧”。

• 新たな技巧――寄り拍と鈴座・分割展開で、波の譜面を越えていく。

• そして港の片隅で動く影――“灯を喰う者”。彼らの矢は、鈴よりも速い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ