登場人物紹介・特別篇
篇
――灰港シャルナ停泊記・旗の“拍”棚卸し――
旅はここでひと息。次の宙海へ出る前に、いまの俺たちを、音と拍で記しておく。
(語り:相良ユウキ。※俺だけは相沢千鶴のことを「あーさん」と呼ぶ約束だ)
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パーティ本隊
相良ユウキ(さがら・ゆうき)
出自:令和7年から転移/元・バイト戦士
クラス:テイマー(旗手〈きしゅ〉見習い)
主なスキル:
• 探索/眷属化/進化促進/癒しの力(イシュタム由来)
• 押す音(旗で“芯”を通す)
• 鈴座展開:輪の内側に“一瞬だけ立てる足場”。崩れかけた拍を立て直す補助台。
装備:鈴文を刻んだ旗/不思議な指輪/白紙だった魔導書(ページが徐々に埋まる)
性格メモ:臆病と優しさは表裏。だからこそ“押す音”に剛と柔を覚えた。
最近の伸び:第八断章「骨の総礼」で“優しさ”を刃ではなく丸に変換。星断ちを無効化したとき、旗の芯が一段深くなった気がする。
ひとこと:「みんなの“次の一歩”が見えるとき、旗は軽い。」
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木幡良和=よっしー
出自:平成元年/大阪のリーゼント兄貴
クラス:盾士(機械共鳴の素養あり)
固有:虚空庫〈特級〉(メッセージ機能あり、彼のいた家の冷蔵庫と繋がっているらしい、容量ほぼ無限・鮮度保持)
スキル:風魔法1/平成共鳴・二段回転(エンジン回転で拍の芯を合わせ直す)
愛機:四輪=セド(平成元年・セダン)/二輪=**’88年バイク**(砂地・細径路の斥候に)
性格メモ:面倒見の塊。威勢の良さで場を持ち上げ、盾で先頭に立つ。
最近の伸び:回転“上げ下げ”の小指調整が神業。潮路や浮桟橋でも車体ごと拍に乗せる。
ひとこと:「押す時は押す。けど、抜く拍も覚えたで。」
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相沢千鶴=あーさん
出自:明治38年/東京・華族出身のお嬢さま
クラス:???(式礼系素養)
道具:盃――静面/風面/潮面を薄く重ね、世界の“面”を撫で替える
技:鏡面三重(三面の角度を一息で切替)/水流操作/紡織
性格メモ:慎ましさは強さ。礼を正し、恐れを受け止め、拍を落ち着かせる“柱”。
最近の伸び:黙潮の無鈴封に対し、面を裏返す「底抜け」で“居場所の裏側”を撫で、拍を救済。
ひとこと:「人の気配を整えれば、世界の面も整いまする。」
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ニーヤ・ゲシュタッド
種族/肩書:猫魔導士
魔法系統:風・土・水・火・回復・状態変化
新技:氷結弾・連珠(半拍・三分・四分の位相違いを同時発射)
役割:返鈴(返す音)・魔力結界・瞬間冷却
性格メモ:主第一。勝気で甘えたがり。
最近の伸び:対“焔潮”の薄冷やし調整が正確。射線と拍線を同じ譜面で視るコツを掴んだ。
ひとこと:「ご褒美スイーツは先払いでお願いするニャ!」
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クリフ・カルロベーノ
出自:この世界の人/元・聖教国兵
クラス:兵士/狩人
スキル:連続打ち/チャージショット/回復・状態変化・探知/無音矢・三連(矢をつがえず節を結ぶ)
性格メモ:寡黙と実直。言葉少なに“要る矢”を射る。
最近の伸び:節の“張り”だけで三系統の乱れを同時支え。落下する仲間をつかむ手が早い。
ひとこと:「拍は“間”だ。間が生きれば矢はいらない。」
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ブラック
種別:渡り烏
補助:風背・長綾/風盾/受け身用・水のクッション
役割:上空観測・背風の柱立て・合図
性格メモ:実はおやつより褒め言葉に弱い。
ひとこと:「(無言で輪を描く)」
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リンク《凛紅》(※暴れ兎)
初期:レベル10/チャージ攻撃/二段ジャンプ/危険察知/サマーソルト
新技:月面二段(二段→ひっくり返り→再着地までの“無音”を活かす)
役割:踏み点の可視化・機動攪乱・急制動の楔
性格メモ:撫でると強い。撫でないともっと強い。
ひとこと:「キューイ!(=だいじょうぶ、まかせて)」
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ハッサン
職:灰港シャルナ登録ガイド
能力:短時間不可視化(姿だけ・音匂いは消せない)
性格メモ:不器用系正直者。過去の“悪癖”は断った。いまは真面目にガイド稼業。
役割:路地・税・港則の内情案内。※宙海ルールにも明るいらしい。
ひとこと:「道は知ってる。だから、おまえらの“行きたい所”を、ちゃんと言ってくれ。」
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アンリ
肩書:森の魔女(外見:幼女)
贈り物:結婚指輪(魂護り)/魔導書
助言:「優しさを忘れるでないぞ」
メモ:彼女の言う“王子様だっこ”に勝てる者はいない。
ひとこと:「次に会う時は“ページ”を見せよ。白は嫌いじゃ。」
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勢力・地名・試練ミニ事典
• ルーデンハイム聖教国:人間至上の国。召喚・奴隷・粛清。兵士長バーグの“闇流通”が暴露寸前。
• アルフェンヌ帝国:北側の買い手。聖教国の“外道”に拍を貸す噂。
• アレクサル収容施設:辺境の地獄。今は廃坑の怨がうずく。
• 青環の浮島:潮の骨を学ぶ足場。鎖潮/焔潮/黙潮の三試。
• 骨の総礼:第八断章の祭場。三輪王(鎖・焔・黙)と合符の審判。
• 灰港シャルナ:三色の骨灯が立つ港。潮と火と鈴の“灯音”で第九断章を授与。
• 宙海:次に渡る空の海。灯標と風骨で航路を取る。
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旅の“拍ことば”入門
• 拍:この世界で“うまくいく時のリズム”。
• 押す音:旗で芯を通す。前を向ける音。
• 返鈴:魔法や鈴で“戻す”音。相手の位相に合わせる。
• 引く音:あーさんの盃が得意。力を抜いて守る音。
• 面:世界に張られた薄い膜。静・風・潮など。
• 風背:ブラックが立てる見えない背骨。
• 鈴座:輪の内側の“仮の座”。落ちかけた足場を立て直す装置。
• 合符:みんなの手が一枚になる状態。
• 断章:旅の大節。今は第九まで刻了。
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装備&移動・運用方針(最新版)
• 四輪:大人数/長距離/資材輸送/浮桟橋/潮路“平穏”時。
• 二輪(’88バイク):偵察/砂地での踏破/細い獣道。
• 徒歩+術:骨場・祭場・鈴座域など、拍が狭い場所。
• 潮路(宙海):白灯→赤灯→黒灯の順で芯を通し、風背と面を薄重ねで。
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直近の成長ログ(骨の総礼〜灰港)
• ユウキ:鈴座展開(優しさの足場)
• よっしー:平成共鳴・二段回転(焦り拍の救済)
• あーさん:鏡面三重+底抜け(無鈴封対策)
• ニーヤ:氷結弾・連珠(マルチ位相)
• クリフ:無音矢・三連(三系統支え)
• ブラック:風背・長綾(長距離維持)
• リンク:月面二段(滞空“無音”の活用)
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いま抱えている“気になる糸”
1. 旗の白紙ページ――第十断章で“最初の文章”が現れる?
2. アンリの素性――“森の魔女”以上の呼び名を持つ気配。
3. ハッサンの不可視――“灯の影”で伸びる可能性。
4. 聖教国の裏経路――灰港にも痕跡。灯税の動きが怪しい。
5. 三輪王の一言「美」――敵ではなく、試しの同調者かもしれない。
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ちょっと休憩:みんなの“素のひとこと”
• よっしー:「粉モンは世界を救う(たこ焼き会、定期開催)」
• あーさん:「水の音で眠くなりまする(寝落ち率・高)」
• ニーヤ:「肉球は秘匿。触るなら契約書が要るニャ」
• クリフ:「缶は静かに開けろ。泡の音が乱れる」
• ブラック:「(ユウキの肩→よっしーの頭→旗の先の順に好き)」
• リンク:「ナデロ(短)」
• ハッサン:「もう盗まない。案内で胸張りたい」
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次航路プラン:宙海へ
• 目的地候補:蒼架の浮標帯 → “第十断章:航の綴り”
• 想定脅威:灯荒らし(海上盗賊)/焔矢師搭載の小艇隊/**砂凪**による無風域
• 基本布陣:
• 前:旗+ブラック(風背)
• 左舷:ニーヤ(冷却)
• 右舷:あーさん(面)
• 中央:よっしー(回転・操舵)
• 後衛:クリフ(無音矢)+リンク(踏み石)
• 合図:チ・リン・リ三打=“即・合符”
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小さな挿話:骨灯の夜、ひそやかな稽古
港の波は灰の匂いを混ぜながらも、律儀に岸を舐めては返す。
夜、宿の屋上で風を吸い込むと、あーさんが盃を持って上がってきた。
「ユウキ様。鈴座、もう一手――“寄り拍”を試してみませぬか」
「寄り拍?」
「はい。相手の拍に、こちらの拍を“寄せる”のです。押すでも、引くでもなく、隣に座る」
盃の面が月光を拾い、ゆっくり揺れた。
俺は旗を横向きに寝かせ、柄を指で撫でる。押さない。ただ、触れておく。
頬をなでる風が、さっきより柔らかい。
「……こんな感じ?」
「はい。とても、やさしい」
階段から顔だけひょいと出して、よっしーがニヤリと笑った。
「お二人さん、ええ感じやな。……ほな、ワイはタコ焼き温め直しとくわ」
ニーヤが影から飛び出し、「甘味も要るニャ」と即答。
リンクは「キューイ」と踵を打って座り、ブラックは旗の先でちょん、と一拍だけ叩いた。
――チ・リン・リ。
たしかに今、みんなの拍が“隣同士”に座った。
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終わりに:旗の余白
登場人物を“音”で並べてみて気づく。
強い音も、弱い音も、長い音も、短い音も――全部が必要だ。足りないのは余白。余白があるから、次の音が入ってこられる。
旗の白紙ページは、まだたくさん残っている。
だったらその余白に道を書けばいい。みんなの歩幅で。
次の頁は、宙海の風の色。
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次回予告:第十断章「航の綴り」
• 骨灯を背に、宙海の浮標帯へ。
• 灯荒らしが放つ焔矢、風を奪う砂凪、そして“名を呼ぶ霧”。
• 新たな技巧――寄り拍と鈴座・分割展開で、波の譜面を越えていく。
• そして港の片隅で動く影――“灯を喰う者”。彼らの矢は、鈴よりも速い。




