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黄昏に鳴らぬ鐘、イシュタムの魂を宿すさえない俺  作者: 和泉發仙


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《境界遺跡ヴァル=アーク》調査編その12 失われた地の救世主──銀髪の怪物、降臨— (白章隊救援戦 ルフィ参戦)

前書き(ニーヤ)


我が主人は弱いニャ。

だから、我が主人は助けられる側ニャ。


だが──

主人の周りには、とんでもない味方が集まってくるニャ。


銀の髪をもつ“姫”……

奈落の底からでも笑いながら帰ってくる“怪物”……


夜を裂き、敵を屠り、

我らを守る者が来たニャ。


でも、気を付けるニャ。

機嫌を損ねたら、次に殴られるのは我らかもしれんニャ……。


突然、夜空が裂けた。


眩い白光。

次の瞬間、黒い影が地面に叩きつけられるように降り立つ。


――拳一つで、ラプトルの頭蓋が砕け散った。


「ッ……!?」


白章隊副官・アリアが息を呑む。


そこに立つ銀髪の少女は、ゆっくりと顎を上げた。


銀髪の髪…

薄く笑う。


「ダーリンを……」

拳を握る。


「脅かすな」


次の瞬間、影が増えた。

いや――彼女が 消えたのだ。


バキィィンッ!!

銃声より速く、骨の砕ける音。


ラプトルが三体、逆方向に吹き飛んだ。


「な……何だアイツは……!?」


「追いつけない……視認できない……!」


白章隊の視線が揺らぐ。


少女はゆっくりと言った。


「私はルフィアーナ・セドコーヴァだぞ!!

ワーハハハハ!!!」


一歩、踏み出す。

地面が沈む。


「ダーリンの道を邪魔する者は――」


次の瞬間、猿の戦士が首ごと宙を舞った。


「全部、退治するのだ」


それから一方的な殺戮が始まった。



白章隊視点。


何が起きているか、理解が追いつかない。


ラプトルが一体、また一体と――

気づいた時には肉塊になって地面を転がっている。


彼女の拳は見えない。

蹴りは音速を超え、

衝撃が大気を裂く。


アリアが震える指で呟く。


「……あれは武術?いや……獣だ……」


シリウスは歯を食いしばった。

支援幕を展開しながらも、目は同じ場所を追えない。


「……あの銀髪、誰の援軍だ……?」


ルフィは鼻で吠える。


「……ククッ」


その一歩で、猿戦士が五人、骸になる。


足払い。

喉を砕く肘。

後頭部をへし折る踵。


死が連続する。


止まらない。

呼吸すらしない。

獣よりも残酷に、美しく。


「――退け」


白章隊が耳を塞ぎたくなるほどの

冷え切った声。


その声に反応して――

影が降りた。


宙から、巨大な顎が落ちてくる。


ドオオォォン!!!


闇の中。

ティラノサウルス。


猿軍団もラプトルも、白章隊も――

すべてがその一撃で吹き飛んだ。


その怪物の紅い瞳が、残った者を見下ろす。


シリウスが喉を鳴らす。


(終わった――)


だが次の瞬間、


ルフィが笑った。


「…おぉ、大きいなぁ……

 いいなぁ……最高だなぁ……」


捕食者と捕食者が視線を交わす。


ティラノが咆哮。

夜空が震える。


白章隊は身が竦む。

耳が破れそうだ。


だがルフィは――


「ほれ、こっちだ」


指一本で挑発する。


ティラノが突進。

地面が波打ち、岩が砕ける。


ルフィは、ただ――

一歩踏み込んだ。


「ふんっ」


ガアアアアアアアッ!!!


拳が、顎骨を上方へ弾き砕いた。


巨体が宙を……飛んだ。

あり得ない映像。

白章隊の認識が壊れる。


ドゴォォォォン!!!!


巨獣が地面をひっくり返す。


砂煙の向こうで、金属の光。

光学迷彩が切れる。


狩人ハンター

――擬装を解いた人型の影。


白い仮面。

刃の輪が空中に浮く。


「やっと出たな……」


ルフィはゆっくり振り返る。


「お前が……一番強そうだ」


人型の狩人は応えず、

ただ赤外線の視界で彼女を捉え――


投影ブーメランを放つ。

空間が歪む速度。


白章隊は叫ぶ。


「避けろッ!!」


だが。


ルフィは手を伸ばし――

指二本で止めた。


金属が悲鳴を上げて折れる。


綺麗に握りつぶした。


「手加減してやるから、かかってこい」


狩人がついに反応。

状況を理解し――

殺意の拍が変わる。


白章隊は悟る。


――今までの殺戮は

  準備運動だったのだ。


風が止まり、

夜が固まる。


次の瞬間。


彼女は、狩人の懐にいた。


「遅い」


掌底。


仮面が砕け、視界が赤黒く染まる。


狩人は初めて、声をあげた。


「ッ……オォォ……ッ!!」


だが、ルフィは笑った。


「まだ死ぬなよ。

 ダーリンの敵は……

 もっと苦しめてやらないと」


拳を引く。


狩人は恐怖を理解した。


――ここで死ぬのは、自分だ。


白章隊は、

その光景に祈ることしかできなかった。


あまりにも異常な戦闘。


ただ一つ、共通して理解する。


この少女は、味方であっても怖すぎる。


そして――


「おーい!!お前ら何しとんねん!!」


聞き慣れた、身内のツッコミ声。

銀髪の少女が嬉しそうに振り返る。


「ダーリン!!」


その叫びが、

救援作戦の第二幕の合図となった――。


《つづく》

後書き(設定補足・次回予告)


◆今回登場

ルフィアーナ・セドコーヴァ

・格闘特化

・異世界補正:現在も2〜3割の“抑え”状態

・ダーリン(ユウキ)至上主義


◆白章隊から見た戦力評価

・ティラノ⇒《拳一撃で宙に舞う》

・光学迷彩狩人⇒《反撃不能》

→評価:災害指定級


◆次回

残敵殲滅 → 帰還準備

だが安心した瞬間に──

最悪の乱入者が、門の向こうで待っている。


「救援完了」は、まだ言えない。

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