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黄昏に鳴らぬ鐘、イシュタムの魂を宿すさえない俺  作者: 和泉發仙


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地底探検の章:冷気の通路

地底探検の章:冷気の通路


石の階段を一段下りるごとに、湿り気を帯びた冷気が肺を刺す。

ユウキは、喉の奥で言葉を飲み込んだ。暗く、重く、息が詰まる──。


「……また、オレの苦手な空気だ」

胸の奥で小さく呟いたその声を、クリフは聞き逃さなかった。


「ふむ。だが心配はいらぬ。我らが背を並べておる」

真っ直ぐに響く言葉。


ユウキは前を見据えようとしたが、なお躊躇う。

そのとき背後から、あーさんの澄んだ声が重なった。


「ユウキ様。鐘を鳴らさずとも蝶番は外せましょう。ためらうより、一歩をお運びなさいませ」


その礼儀正しい断言に、背筋を押される感覚が走る。


さらに、よっしーがぼそっと付け足す。

「グズグズしとったら、オレらまで足止め食らうんや。行けや、ゴボウ」


「だ、誰がゴボウだ!」と返しつつも、ユウキは思わず笑っていた。

仲間の声が、冷たい闇を少しだけ和らげる。


「……そうだな。オレは一人じゃない。行くか」


湿った石壁に掌を当て、ユウキはゆっくりと通路へと踏み出した。

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