表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄昏に鳴らぬ鐘、イシュタムの魂を宿すさえない俺  作者: 和泉發仙


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

285/404

-地底探検の章- 「仲間と水路へ」


 地下階段を下りる前、短い休憩の時間があった。

 そこへやって来たのは、ジギーの門徒から預かった二人──坊主頭のサジと、おかっぱ頭のカエナである。


「……なんかよ、めんどくせーんだよな、こういうの」

 背中に木刀を背負ったサジが、あからさまに渋い顔をした。


「いいじゃんサジ。アタシらも一回くらいは潜ってみてーし!」

 竹槍を肩に担ぐカエナは、悪戯っぽく笑う。


 ユウキは苦笑しながら「お前ら、ホントに大丈夫か?」とだけ言った。

 その横で、クリフが腕を組み、ふむと短く息を吐いた。

「若さは時に力となる。……だが無謀では困るぞ」


「へーい、親方」

「俺は親方じゃない」


 二人のやり取りに、よっしーが「おぉ、漫才コンビみたいやな!」と笑いを取る。


 さらに、ゆったりと僧衣を整えながら歩み寄ったのは、元吸血僧侶ノクティア。

「改めまして……僧籍にあった身ですが、今は皆さまと歩みを同じくする者。どうか力を尽くさせていただきます」

 深々と礼をする彼女の姿に、あーさんが二鈴を軽やかに鳴らして応えた。


 その空気をさらに乱すように、二人の影が現れる。

「……危険は承知の上だ。だが記録と検証のため、同行させてもらう」

 硬い口調の青年、セドリック。


「ふん、だれがあんたなんかと組むか!」

 すかさず隣の少女、イルマが反発する。


「また始まったでぇ」

 よっしーが頭を抱え、「こりゃ凸凹コンビやな!」とぼやいた。


 ユウキは思わず吹き出しそうになりながらも、心の奥では安堵を覚えていた。

 ──不器用なオレだが、これだけの仲間がいる。


主人あるじ、胸を張るのですニャ!」

 ニーヤが鋭い声で喝を入れる。


「……ああ、わかってる」

 ユウキは頷き、たいまつを掲げた。


 冷気が流れる石段を、全員が一列になって下り始める。

 ぽたり、ぽたりと滴る雫の音が闇に響き、たいまつの炎が頼りなく揺れた。


 ノクティアが光魔法を紡ぎ、足元を優しく照らす。

 セドリックは手帳を広げ「構造は……人為的だ」と書き込み、イルマは「くだらない観察してないで前見ろ!」と突っ込む。


 その光景を見守りながら、クリフが一歩前に出た。

「行くぞ、皆」


 ユウキは胸の奥に熱を抱え、静かに頷いた。

(俺はもう、一人じゃない。仲間と一緒に──どこまでも進める)


 闇の底から吹き上がる湿気が、次なる試練を告げていた。


→ 次回、「蛇影と眼光(前編)」へ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ