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黄昏に鳴らぬ鐘、イシュタムの魂を宿すさえない俺  作者: 和泉發仙


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-地底探検の章- 蛇影と眼光(戦利品)



 巨体が崩れ落ちる音が、洞窟の奥に響き渡った。

 バジリスクが完全に沈黙すると、壇の石が軋み、隠し床が開いた。


「……おおっ!」

 よっしーが目を輝かせる。

「こういうのは定番やねん! ほれ見てみ、宝箱やで!」


 重々しい蓋のついた箱が、青白い光を帯びて姿を現した。


「やはり“蛇影”を討ち取った者への褒美というわけか」

 クリフが慎重に歩み寄り、箱に触れる。


 ――カチリ。


 蓋が開くと、中には三つの輝きが眠っていた。

1.軌跡の槍

 長槍の穂先が淡い軌跡を描くように光っている。突きの一撃に追撃が重なる、不思議な残像の力を宿している。

2.魔破の剣

 刀身に赤黒い紋が走り、魔障を裂く力を秘めた剣。

「む……これは俺が扱うべきか」クリフが思わず息を呑む。

3.颯のリング

 小さな銀の輪に、風を象る紋様が刻まれている。

 手にはめると、軽やかな風がまとわりつき、動きが加速する。


「おぉぉ、どれもロマンの塊やな!」

 よっしーが興奮して叫ぶ。


「……これは、わたくしたち皆に役立つでしょう。槍はノクティア殿に、剣はクリフ殿に、指輪は誰か素早き者に」

 あーさんが二鈴を揺らしながら提案する。


「じゃあ、リングはボクがいい!」

 リンクがぴょんと跳ねて手を挙げた。

「疾風脚と合わせれば、もっと速くなれるから!」


 ニーヤが尻尾を揺らして肩をすくめる。

「はいはい、わたしは甘いお菓子で充分ですニャ……」


「ねるねるねるねはもう渡したやろ!」

 よっしーがツッコむ。


 仲間たちが笑い合う中、ユウキはそっと箱の底を見た。

 そこには、古びた巻物が一つ。


「……これは?」

 広げると、黒い糸で書かれた不気味な文字が浮かぶ。


『門はさらに下へ――“蛇影”の先に、黒き祭壇あり』


 ユウキの胸がざわついた。

 まだ旅は続く。だが今のオレには、仲間がいる。


 彼は剣を腰に差し直し、仲間たちに笑みを向けた。

「よし、次の階層へ行こう!」


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