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黄昏に鳴らぬ鐘、イシュタムの魂を宿すさえない俺  作者: 和泉發仙


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220/404

縁街、第一縁リンク——縁は橋、橋は手

荷車から臨時の黒板をおろし、縁台・勧誘柱・連絡塔・招待棚がびっしり並ぶ縁街の大路——風の上手に立てた。

あーさん(相沢千鶴)が白墨で三行に今日の二行を添える。


名は輪郭。

輪郭は境界。

境界は——蝶番。

縁は橋。

橋は手。


胸骨の前で二拍。

とん・とん——B0.6。

静けさは扉。


「短く点呼」

「ユウキ」

「よっしーや」

「クリフさん」

「ニーヤですニャ」

「リンク」——「キュイ」

「あーさん、相沢千鶴にござります」

「……カァ(ブラック)」

《蒼角》ロウル/ツグリ、《炎狐》フェイ/チトセ。

後詰「ガロット」「セレス」。外縁「ジギー」「サジ」「カエナ」「ゴブリン若者隊**」。

特記:リリアーナ(台帳・呼び戻し札・受付筆リモート)。バーグ兵士長(捕虜札「非致死捕虜/雑炊済」)は今日も口は快調、節度は稽古中。


セレスが氷地図に縁印を落とす。

「縁街。各縁台の縁口が縁歌と直結、『繋げ=介入=離すな』で介入札を人と場に貼り付け、勝手な橋を過剰に架ける。主宰——第一縁リンク。縁=橋の過剰化で拍を奪う。縁口蝶番と梁を座へ戻せば、“命じる縁”は“置く橋(座橋)へ」


よっしーの虚空庫アイテムボックスがぼん。

風幕(防眩ブルーシート)/斜光帆(反射落とし)/フェルト幕(厚)/消音布/載せ縁タンポ(〈縁〉〈橋〉〈名〉)/返縁鍵/返橋鍵/手合図札(握手・招き・手放し)/仮橋板/面取り板(縁台角落とし)/縦抱え帆柱/枡枕/綴じ戻し櫛(世話焼き文ほぐし)/沈黙箱(細・中:世話焼き鬼・橋取り鴉用)/角布・拭い布/鎖輪。

腹は——昆布おにぎり、根菜すまし、水ようかん、ほうじ茶。

黒板の端にリナが小さく**「おやつは二個まで」。ルフィは三切目の水ようかんに手を伸ばしかけてそっと戻した(今日もほんとうにえらい**)。


ガロットが槍尻でとん・とん。

「目的は三つ。

一、縁の喉(縁口蝶番・梁・縁枠)を倒さず座らせる(舌凧×2+風幕重ね+縦抱え+枡枕)。

二、縁歌鎖と介入札鎖の直結をほどほどに解き、“繋げば善”を“二拍→合わせ→頼まれたら橋→置く→礼(座橋)”へ戻す。

三、人は返す。非致死、ほどほど」


胸骨の前で二拍。

とん・とん。出立。



1)勧誘門——「繋げ、混ぜろ、断るな」の札


通りの中央、勧誘門。

額の札には**「繋げ、混ぜろ、断るな」。

肩に槌の若い鍛冶**、市場帰りの薬草売り、見習いの書き手が列に並ぶ。

係が介入札束をしゃらり、棒読み。

「見知らぬ者とも繋がれ。断りは非礼。孤立料は銅十枚」


若い鍛冶が一歩前へ。

「……カナメだ。今日は依頼の納品だけに集中したい」


「風幕一段」

よっしーの防眩が門の風上にぱさ、斜光帆が札のギラを落とし、フェルト幕が金具の甲高い鳴きを毛布に吸う。

俺は扉縫合(Lv.2)で門頭の縁口蝶番へ角点。

カチ。

強制勧誘のぴと音が湯気に変わり、押しの半拍が座へ落ちた。


リリアーナが五鈴法・縁版をひらく。

一——名(B0.6でちり)、

二——ロウルがとん・とん

三——縁(あーさんが橋図を掲げる)、

四——口(ブラックが縁口を撫でる)、

五——返縁(置きどころは後で)。


カナメの肩に落ちかけた介入札の影がきゅっと外へ抜け、返し棚の高さに逃げができた。



2)第一縁リンク——束の肩、縁舌えんじた


中央の縁台から縁の人が現れる。

肩は縁束、胸は連盤、指は縄爪、喉に小さな縁舌。

第一縁リンク。

声は勧誘句で話す——先に繋が落ち、のちに語が従う。

「名は欄。縁が主。

混ぜて強く、離れを罪とせよ——介入は秩序」


あーさんが板を軽く立て、短く。

縁は橋。

橋は手。

「手は置くもの。勝手にひっ掴むための縄じゃありません」


縁舌がぴとと鳴る。

「礼法は混ぜ込み式。断りは非礼だ」



3)“縁の喉”を座へ——舌凧×縦抱え×枡枕/橋合わせ台・返縁棚・手見席


「揚げる」

俺とニーヤの舌凧が縁口と縁枠へふわ。

あーさんの似せ印を浅く、扉縫合で角に点。

ブラックの羽衣、ニーヤの薄膜。

カチ、カチ。

“押し付け口”が“置き口”へ、混ぜ込みの張りが座に落ちる。


ツグリの縦抱え帆柱が梁を抱え、よっしーの枡枕が盤鳴きを丸める。

フェイが仮橋板で必要な橋だけ一時に架け、チトセが面取り板で縁台角をさっと落とす。

白墨で白の口を三つ——橋合わせ台(二拍+名+要件→置く(頼まれたら橋→渡す→戻す))、返縁棚(介入札の返却)、手見席(手=置きどころの席)。

「あわてず二拍。名→要件→置く」あーさん。



4)“断るな義務”の外し方——返橋・返縁、名呼び、招待札(握手/招き/手放し)


係がカナメへ介入札をぺたり。

よっしーが綴じ戻し櫛で角を一撫で、俺が載せ縁タンポで**〈縁〉印を〈橋〉へ差し替え。

カチ。

リリアーナが四鈴法・橋版を重ねる。

一——名、二——拍、三——橋口(手見席に“座”)、四——返橋。

カナメは胸骨の前で二拍**、槌を下げて短く。

「……カナメ。納品→戻り、頼まれれば仮橋を一本。手放しも許してくれ」

合唱鍵がB0.6でちり。

介入札は返縁棚へさらりと落ち、招待札『橋:頼まれたら/握手:可/手放し:自由/礼:二拍のあと』が掌にすっと。

——断るなはほどけ、縁=頼まれた橋が座った。


第一縁リンクの縁舌がぴくと震える。

「放せば輪が切れる」

「握る手は離す手でもある」あーさん。



5)面番改め縁守と世話焼き鬼、橋取り鴉——非致死、“ほどほど”


台下から縁守が四人、腰に縄束。

路地の陰から世話焼き鬼(勝手に縁談を勧め、仕事を勝手に紹介する小鬼)がぴとぴと、空から橋取り鴉がカァ。

サジとカエナが屋根から滑り、藁布ふわり→痺れ粉を“薄く”。

「効きすぎはナシ」

リンクが梁上から二段、縁守の継手へちょん、ちょん。

俺の扉縫合が縁口の角に点、ブラックの羽衣、ニーヤの薄膜。

カチ。

縁守は倒れず、座って縄籠へ。

世話焼き鬼はチトセの綴じ戻し櫛で世話焼き文の角を落とされ、押し付け紹介が招待状へ変わる。

橋取り鴉はよっしーの沈黙箱(細)+手合図札(手放し)でふわと包んで非致死捕縛/ほうじ茶済。

「……温いのは正義」

「節度や」よっしー。

ルフィが籠を覗き、「アタシがやっつけたって言ってよい?」

「非致死でほどほどに、ね」リナ。

ルフィは水ようかん二切で止め、三切目に手を伸ばしかけてそっと戻した(今日もほんとうにえらい)。



6)“縁歌”——一括介入の節をほどく


第一縁リンクが縁舌をちりと鳴らし、縁歌を落とす。

「繋げ・混ぜろ・断るな——繋が主」

歌に呼応して通りの縁台がずらりと起き、人の肩や荷物に勧誘影が勝手に貼り付こうとする。


あーさんが板を立て、短く。

声は橋。

橋は手。

「橋で合図、手に置く。繋げるのは礼のあと」

リリアーナが耳鈴をB0.6でちり。

「五の鈴——返縁」

俺は返縁鍵を掌でとん、縁口の角に点。

ブラックの羽衣が高域を熱へ、ニーヤの薄膜が喉に温。

カチ。

縁歌の押しは湯気にほどけ、二拍+名+要件→合わせ→頼まれたら橋(握手/招き/手放し)→置く→礼の座橋が通りに広がる。

人々は自分の拍で繋ぐと離すを選び、かかわりを置き直した。



7)祭の急場——「縁の綱引き」を“ほどほど”へ


通りの先、縁の綱引き祭の太縄が勝手に伸び、店と店、人と人を一列に絡め始めた。

「おいおい、屋台ごと引っ張るなぁぁっ!」よっしー。

リンクが梁から二段で縄目をちょん、ちょん。

俺は返橋鍵で太縄の口に点、ニーヤの風幕が引き音を毛布にし、ブラックの羽衣が結節を熱に散らす。

カチ、カチ、カチ。

ツグリの縦抱えが仮橋板を要所に渡し、フェイが手合図札(手放し)を列の先頭に貼る。

掛け声が二拍に揃い、綱は結ぶ→渡す→解くの手順に座った。

「非致死、ほどほど」ガロット。

歓声が拍と笑に戻る。



8)勇者(選ばれた側)の横顔——“リンク・ショー”“縁保証”“統一ネット規格”“次は箱”


白天幕の上、勇者レンは自動記録器に笑顔。

「“レン、リンク・ショーを演出! 街ぜんぶおせっかいネット!”」

——縁街は座橋へ。映えは座に溶ける。


仮設窓口の勇者サリアは金の細紐を指に絡め、柔らかに囁く。

「縁保証契約に入れば、孤立料は月次割。介入札は自動更新、特典も——」

人々が返縁棚に介入札を返し、橋合わせ台で招待札を選び始めると、紐は縁へ戻り、サリアは微笑みながら舌打ち。


見晴台の勇者シュウは規律眼鏡で縁街を見下ろし、図面に赤×。

「非効率。統一ネット規格で握手角・招き秒・離脱許容量を一本化」

図面の角にあーさんの一筆——秩序は座。

眼鏡は曇ったまま。


砂走りの狭間で勇者トウマは黒い栞を押さえ、短く記す。

「“縁が座にされた……次は箱だ”」

(——第一箱ストレージ、来る)



9)縁蔵の奥——“最初の橋(手の輪・板橋・石飛び・拍手二つ)”と古い名の借り


縁台の裏、縁蔵。

段棚に手の輪、板橋、石飛び、そして小さな木片に刻まれた拍手二つが並ぶ。

それぞれに人の最初の渡り方が薄く刻まれている。

第一縁リンクの縁舌が俺を指した。

「君の古い名を借りよう。万縁の基準に」

——胸骨の裏でとん。イシュタム。

(貸さない。返すために置く)

あーさんの指が袖で二拍。とん・とん。


リリアーナが静かに合図。

「五鈴法・縁版、四——口/五——返縁。四鈴法・橋版、四——返橋」

俺は返縁鍵と返橋鍵を手の輪の口の角に点、ブラックの羽衣、ニーヤの薄膜。

カチ、カチ。

封じられていた“断るな”は押しを失い、頼まれたら渡す/いらなければ手放すへ戻る。

チトセが綴じ戻し櫛で世話焼き文の角を落とし、ツグリが縦抱えで梁を抱え直す。

ロウルの拍が座に落ち、合唱鍵がB0.6でちり。

縁蔵の硬響が湯気に変わった。


第一縁リンクは縁束の肩を少し下げ、一礼。

「退屈な橋だ。だから渡り直せる」

余韻に薄れた。



10)落としどころ——縁街は“橋合わせの街”、縁台は“礼の橋合わせ台”


セレスの声が低く速い。

「白を三口。市口・学童前・祠。縁街→橋合わせの街、中央縁台→礼の橋合わせ台。返縁鍵/返橋鍵/橋合わせ台/返縁棚/手見席を常設。非致死、ほどほど」


ツグリの帆柱が梁を抱え直し、よっしーが枡枕を角に置く。

俺は扉縫合で縁口蝶番の角に点、ブラックの羽衣が最後のキンを熱へ、ニーヤの薄膜が喉を温め切る。

カチ、カチ、カチ。

縁台は倒れず、“二拍→名→要件→合わせ→頼まれたら橋(握手/招き/手放し)→置く→礼”の順で扱う橋合わせ台として座った。


バーグ兵士長はむくれながらほうじ茶をすすり、ぼそり。

「ワイのモテ縁、どの握手がええんや?」

「まず挨拶、次に相手の目、力はほどほど」リナ。

バーグは素直に二拍→こんにちはを練習し、水ようかんは二切で止めた(ルール順守)。



11)学園式の昼餉——“二拍→合わせ→いただきます”


「ほな、飯や」

よっしーの屋台が昆布おにぎりを配り、根菜すましをよそい、水ようかんを並べる。

「甘いもんは二個まで! ほうじ茶はおかわり一回!」

「アタシここ一生いたい」

「出るために食べるのよ」あーさん。

ルフィは三切目に手を伸ばしかけてそっと戻した(今日も最後までほんとうにえらい)。


リリアーナが受け札を張り替える。

「縁街→橋合わせの街。縁歌→座橋。返縁鍵/返橋鍵常設、返口は常時一口」


ジギーは骨騎士に合図し、外縁に針入れを埋める。

「里と市は橋を要所に、祠は夕刻だけ輪。おせっかい網やなく頼まれた橋でいこか」



12)小稽古——“見る→二拍→握手/招き/手放し→渡す→戻す”


白が三口、学園広場へ。

「今日の名」が順に呼ばれ、子ども達は胸骨二拍——とん・とん、

見る、握手/招き/手放しを選び、渡す、戻す。

ロウルの拍が座り、合唱鍵がB0.6でちり。

チトセが綴じ戻し櫛を見せ、刺さる言い方の角を落とす言い直しをゆっくり。

笑いが橋になった。


耳飾りがちり。

『王都学院評議より、縁学/橋学の常設承認。返縁鍵/返橋鍵/橋合わせ台の規格化通過。

追記:北の箱街に箱務省の徴。第一箱ストレージ(箱=蔵の押し付け/仕舞え=隔離)の気配。箱と蔵に注意、五鈴法・箱版(名/拍/箱/口/返箱)と四鈴法・蔵版(名/拍/蔵口/返蔵)を準備』ミカエラ。

セレスが氷地図に箱印を落とす。


よっしーがブルーシートを肩に担ぎ直す。

「毛布は正義、白も正義。湯屋は……」

「節度」全員。

「はい」



13)落し縁の小騒動——“ほどほど”の実演


広場の端で、落し縁(誰かの介入札)がころり。

「ワイのモテ縁どこいったんや!」バーグ。

「落し縁書いて、二拍や」よっしー。

バーグは渋々、胸骨の前でとん・とん。

「バーグ。まず挨拶、次に目線、握るのは最後」

合唱鍵がB0.6でちり。

札は屋台の幕からぴょいと顔を出す(※実際はゴブリン若者の気働き)。

バーグは礼にすましをよそい、水ようかんは二切で止めた(今日もルール順守)。



14)外縁連絡——市の連絡・祠の輪・里の橋番


外縁でジギーが骨騎士の肩をとん。

「市は橋合わせ二拍、祠は夕刻だけ輪、里は橋番を夜更けまで。押し縁やなく置く橋で教えといた。

 ほな、次は箱や」


鍛冶のカナメが招待札を二拍で掲げる。

「頼まれたら渡すと、仕事が綺麗に終わる」

胸骨の内側が、静かにとんと鳴った。



15)終礼——黒板の二行


夕刻の終礼。

あーさんが黒板に三行+二十行を書き連ね、今日の二行を添えた。

名は輪郭。

輪郭は境界。

境界は——蝶番。

道筋は地図。

重みは枡。

車輪は縁。

橋は手。

流れは拍。

舟は器。

港は掌。

門は蝶番。

鍵は歌。

歌は合図。

広場は皿。

交差は合拍。

刃は道具。

鞘は布。

重さは値。

秤は器。

街は器。

恐れは影。

塔は柱。

声は橋。

鏡は面。

面は器。

箱は蔵。

蔵は座。

蓋は布。

印は紐。

紐は縁。

契は文。

文は座。

そして今日の二行。

縁は橋。

橋は手。


子どもたちがB0.6でそれぞれの名を呼び、道具(返縁鍵・返橋鍵・仮橋板・綴じ戻し櫛・角布・拭い布・沈黙箱・風幕・枡枕)を撫でる。

黒板の「今日の名」に新しい丸が増え、リナが丁寧に色を変えて丸を付けた。

ガンツは「橋」の字を指でなぞり、木枡にほうじ茶を注ぎながら笑う。

ルフィは水ようかんを二切で止め、三切目をそっと戻した(今日も最後までほんとにえらい)。



屋上の夜——次の扉、“箱街、第一箱ストレージ——箱は蔵、蔵は座”


星が近い。箱街の箱台で箱歌が回り、収納札が人と場に**「仕舞え」を貼り付け**、人や声や物を隔離しようとする気配。

クリフさんが弓弦をとんと鳴らす。

「箱が押しになると、矢名は的より蓋を見る」

セレスが氷地図に箱印を重ねる。

「第一箱ストレージ。箱=蔵の押し付け/仕舞え=隔離。対処は——風幕で箱歌を毛布に、舌凧で箱口に点、縦抱えで梁を抱える。

五鈴法・箱版(名/拍/箱/口/返箱)と四鈴法・蔵版(名/拍/蔵口/返蔵)の準備」


あーさんが板を抱え、静かに微笑む。

「講話は短く。

箱は蔵。

蔵は座。

——明日の黒板に、きれいに書こう」


胸骨の前で二拍。

とん・とん。

静けさは扉。


稽古は続く。

開ける。置く。結ぶ。閉じる。そして、返す。


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