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7話 空を飛ぶ男達

 次にやってきたのは流れるプールだった。

 浮き輪をレンタルして、私はプカプカ浮かんでいた。


「……」


 心地よくて眠ってしまいそう。


「お義姉ちゃん、眠そう」


 隣では美琴が浮き輪なしで仰向けで浮いていた。


「これは……眠くなる」


 美琴の隣には里美が仰向けで浮いていて、私の目は釘付けになる。


「……」


 スイカが浮いている。

 自分の胸に視線をやるが、絶壁が広がっていた。


「お義姉ちゃん、もしかしておっぱい好きなの?」

「え、えーと……」

「みかん先輩、揉んでみます?」

「え?」


 思わず里美の胸に視線を向ける。

 プカプカと浮かぶ胸。

 正直、触ってみたいと思うけど、そんな勇気はない。


「里美! お義姉ちゃんに変なこと言わないの!」

「え? 私は真面目だよ」

「なお、悪いよ!」


 胸触る云々は無くなりそうだ、と眺めているとお腹が鳴った。

 小さい音だったけど、美琴と里美には聞こえていたみたいだ。


「さて、お腹が空いたし、出よう」


 私達が流れるプールから出ると、三人組の男達が話しかけてきた。


「ねえ、お姉さん達。俺らと遊ぼうよ」

「丁度こっちも三人だしさ、どう?」

「俺らこれでもモテるし、ここ何回も来てるから、案内できるよ」


 ナ、ナンパだ……!

 わ、私が美琴と里美を守らないと。

 年上の使命感から私は美琴と里美の前に立ち、両手を広げた。


「……ダ、ダメ……!」


 声も震えるし、身体を震えていた。

 必死に守ろうとしていると、男の一人がしゃがみこんで私と目を合わせた。


「あれ? もしかして、小学生?」

「……」


 だよね……二人に比べると私は幼く見える。


「大丈夫。お嬢ちゃんも一緒に遊ぼうね」

「そうそう、俺らは小さい子にも優しいからね」


 つまり、こいつらはロリコンということか……!

 と、後ろから抱きしめられた。この感覚は美琴だ。


「兄さん達、私が相手する」


 里美が一歩踏み出した。

 男供は揺れる里美のスイカに釘付けになる。


「兄さん達に、最高の経験させてあげる」

「最高の……」

「経験……」

「ゴクリ」


 里美はだらしない笑みを浮かべた男供を連れてプールの方へ歩いていく。


「……里美……だ、大丈夫?」

「大丈夫だよ。それより面白いものが見れるよ」

「面白いもの……?」


 疑問に思いながら、里美の方を見ていると、男が空を飛んでいた。


「え?」


 見ていると、里美が男の腕を掴み、ハンマー投げみたいに宙に飛ばしていたのだ。


「最高の経験になったかな」


 と、美琴は笑いながら言った。

 私も釣られて笑う。

 人に投げ飛ばされる経験なんて滅多にないから、最高の経験にはなるでしょ。

 里美は全員を投げ終えると、手を払いながら戻ってきた。


「いい運動になった」

「さすが里美!」


 美琴と里美はハイタッチを交わす。

 友達ぽくていいなぁ。


「ほら、みかん先輩も」

「……え?」

「ん」


 里美が両手の手のひらを私に向けた。

 私も里美とハイタッチをした。

 ハイタッチ悪くないかも。

 そう思っていると、後ろから美琴が抱きしめてきた。


「お義姉ちゃん、さっきは守ってくれてありがとう!」

「え……あ、でも……里美が対処したから」

「そうだけど、お義姉ちゃんが私達のことを守ろうとしたのは変わりないでしょ? だから、お礼」


 頬に柔らかな感触。横を見ると、美琴の顔が目の前にあった。


「っ……」


 顔が一気に熱くなる。

 頬にキスした美琴も少し恥ずかしかったのか、顔をほのかに赤く染め、はにかんでいた。


「じゃあ、私も」


 と、里美が反対側の頬にキスをしてきた。


「っ……」


 ちなみに、里美はキスをしても恥ずかしがったりはしなかった。


「もう、里美は……私のお義姉ちゃんなのに!」


 美琴は私を抱きしめると、里美を睨んでいた。


「はいはい……あ、私にお礼のキスは?」

「里美にはありません! 行こ、お義姉ちゃん!」

「わっ……」


 美琴は私の手を引いて、歩き始めた。

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