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19話 告白

 美琴と里美は付き合っていない。

 そのことを里美から聞いた私は、詳細を美琴に確認することにした。

 そう、確認することにしたんだけど。


「……み、美琴」

「なに、お義姉ちゃん」

「……な、なんでもないっ……」


 いざ、確認するとなると怖い……。

 だって、私チキンだし。


「あの、美琴……」

「なに、お義姉ちゃん」

「その……今日はいい天気」

「……雨だけど」

「……」


 うん、全然切り出せない。

 それどころか、美琴からは怪しまれる始末だ。

 このままだと頭の病院へ連れて行かれるかも……?


「うぅ……」


 私はなんてダメな奴なんだ……!

 湯船に浸かりながら、自分のダメさに嫌気がさしていた。

 口をつけて、ぶくぶくと湯船を泡立ててみる。


「……」


 美琴と里美が付き合っていないことが本当なら、私にもチャンスあるよね……?

 脱衣所の扉が開く音が聞こえた。

 美琴かな?

 呑気に考えていると、扉が開いた。


「来ちゃった!」

「えっ……ええ!」


 私は手で身体を隠す。

 一方、美琴は恥ずかしがる様子もなくて、全裸のまま腰に手を当てていた。


「ど、どうして……」

「一緒にお風呂に入りたくて!」

「で、でも……」

「それとも、私の入るのは嫌?」

「……」


 嫌というか目のやり場に困る。


「まあ、嫌でも入るけど」


 なんてこった、私の意思は無視だった。

 美琴が湯船に入ってくる。

 湯船から出ようとするが、美琴に腕を掴まれ、抱きしめられた。


「ダメ、逃さないよ」

「っ……」


 耳元で囁かれ、背筋がゾクゾクとする。

 美琴の温かい体温。甘い匂いと柔らかな肌。

 頭がクラクラしてきた。


「ねえ、お義姉ちゃん……最近、私のこと……避けてるでしょ」

「っ……」

「もしかして、私のこと嫌いになった? お義姉ちゃんが嫌がることした? 正直に教えて欲しいの」


 そう話す美琴の声は震えていた。

 美琴のことを避けているせいで、私は美琴のことを不安にさせていたのだ。

 本当に私はダメな奴だ……!


「美琴のことは嫌ってない……ただ……」


 もしかしたら、美琴を戸惑わせることになるかも。嫌われるかもしれない。

 けど、これ以上美琴を不安にさせたくないし、私自身も楽になりたかった。


「美琴のことが……好き」

「え? 私もお義姉ちゃんのこと、好きだよ」


 美琴をぎゅーと私を抱きしめる。


「違くて……一人の、女の子として、好きなの……」

「あ、そっちかぁ……」


 美琴が目を逸らし、頬を指で掻いた。

 いっちゃった……!


「お義姉ちゃんの気持ちは嬉しいよ……でも、恋愛として好きかて言われたら……正直言って分からない」

「……」


 まあ、告白したから絶対に付き合えるわけじゃない。

 私は美琴に振られるんだ……!


「だから、付き合ってみよう!」

「……え?」

「今日から私達は義理の姉妹で、恋人だよ!」

「いや、ちょっと待って……!」

「え? どうしたのお義姉ちゃん……?」

「その……びっくりして……」


 目から涙が溢れて来た。


「あれ……」


 美琴と付き合えて嬉しいはずなのに、どうして涙が溢れてくるんだろう。


「お義姉ちゃん、嬉しい時も涙は出るよ」

「そっか……」

「ほら、おいで」

「うん」


 私は美琴の腕の中に飛び込んだ。

 それから、泣き止むまで、私は美琴の腕の中にいた。


***


 お風呂から上がり、リビングのソファーに私達は並んで座る。


「美琴に聞きたいことがあって」

「なに、マイハニー」


 美琴は冗談混じりにそう言いながら、私の肩に手を回した。


「その……この前、屋上で……里美と美琴が……その」

「……えーと」


 美琴は目を逸らした。


「見てたの?」

「……うん」

「そっかぁ……」


 美琴は項垂れた。


「美琴と里美の関係て?」

「……セフレ」

「セフレ……て、その……友達同士でエッチする関係?」

「うん……私、結構性欲強くて……それで、里美に相手をしてもらってたの」

「そっか……」

「で、でもお義姉ちゃんと付き合う以上、里美とはエッチなことしないから!」


 美琴は私の手を掴むと、真剣な眼差しを向けてくる。浮気がバレた夫が必死に弁明しているみたいだ。


「これからは、お義姉とエッチなこといっぱいするから!」

「え……」


 私と美琴がエッチなことをいっぱいする……!?


「む、無理……!」

「どうして? 私のこと嫌いになったの?」

「す、好きだけど……恥ずかしくて死ぬ……!」


 だって、裸見られるだけで死ぬほど恥ずかしいし……! エッチなんてしたら……!


「大丈夫だよ……」


 美琴は私の頭を撫でる。


「恥ずかしがる暇がないほど、夢中になるから!」

「いや、ちょっと……それに、ファーストキスもまだ……」

「ファーストキス……えい」

「ん」


 美琴の顔が目の前にあり、唇には柔らかな感触があった。


「ファーストキスはどう?」

「……」

「お義姉ちゃん?」

「ご、ごめん……よくわかんない」

「じゃあ、もう一回」


 そう言って美琴は何度も私にキスをした。

 次第に頭がボーとして、身体に力が入らなくなる。

 美琴は私の頬を優しく撫でた後、私をお姫様抱っこした。


「後はベッドの上で話そっか」

「話すって……」

「もちろん、お義姉ちゃんが想像してる通りだよ」

「っ……」

「顔赤くなった。可愛いね」


 美琴は私のおでこにキスをした。

 美琴は軽々と私をベッドまで運んだ。


「お義姉ちゃん……今日は最高の日にするからね」


 美琴の顔が迫ってくる。

 私は目を閉じて美琴に身を任せたのであった。

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