4. 魔導具か……何作ったらええんやろ?
今日は、席替えや。陰キャな田中とはおさらば。できれば、遙香ちゃんか、佐々木の隣になりたいわぁ。
やけど、教室の黒板に貼り付けられた、席順の紙を見て、ウチはガックリと膝から崩れ落ちた。何でよりによって浅野やねん。
とにかく、決められた席に座りにいく。隣は、当然、浅野。微かにりんごの香りがするのは気の所為やろか。
「うわ、最悪や。数学の教科書忘れた〜。」
「貸したろか?」
「え、あ……お、おおきに」
浅野にしては優しいな…熱でもあるんか?とりあえず、授業に集中した方がええな。
そう思ったにも関わらず、ウチは、舟を漕ぎ始めた。
「つぎは、ぽんでりんぐにしよぉかなぁ……」
「おい、起きろ、移動だぞ。」
「ふばぁっ!」
いきなり、夢から、現実世界に引き戻されたウチは、ちょっとぼんやりしてたけど、すぐに意識はしっかりしてきた。
「あ、ありがとう。」
ササッとに感謝の言葉を言い、移動の準備をする。
「どういたしまして。」
……………ニコリと、浅野は笑った。反則だ。心に決めたのは佐々木であって……せやけど……うぅ、あ、浅野なんかに…………
自分でもわかるくらい、顔が熱い。おい、や、やめろ……小首をかしげるんじゃない! 致命傷に追い打ち掛けてるわ!
いや、普通、男子やったら、どういたしましてなんて、礼儀正しいこと言わんから、そう言うことを笑顔で言う、浅野が1割悪くて、寝てたウチも1割悪い。
え、残りの8割?
「あの2人てぇてぇ」とか小声でほざいていた先生が4割悪くて、注意して起こしもしなかった先生が4割悪い。
よって、悪いのは全て先生である。
屁理屈を考えるのはやめて、時計と時間割表を見る。2限目は………魔法とか、能力の時間やん!ラッキー!!寝てた分の授業内容は、誰かのノート見れば良いし。でも、ほんまに、移動しーへんとヤバいわ。
先生の話を遮るように、チャイムが鳴った。
誰かが、教室の扉を開ける音が聞こえた。持ち物をまとめて、教室を飛び出す。バスに乗り込むと、席順の紙を確認する。
しゃあああああッ!!佐々木の隣ゲット!しかも、通路側やから……遙香ちゃんとも隣やあああああッッ!最高の席やん…。
浅野は、後ろの方やな……問題なし。✧noproblem✦
さて、席に行こかな。ほんのちょっと時間が経つと、他の生徒達も、バスに乗ってきた。てか、バスやないと、移動でけへんのかな。
楽しく、遙香ちゃんと談笑しとったら、もう、ついてしもうたらしい。
改めて、学校を見回す。前回はあまり見てなかったからか、随分大きく見えた。もう少し小さい思てたけどな。
また、前回授業を行った場所に向かう。あ、アグネスはんがおるわ。共同授業するんかな?
そう思った時、メルカ先生が言うた。
「今回は、自分専用の魔道具のクラフト時間を取ります。魔力を引き出すのが簡単なものになれば、何でも良いです。魔石は高ランクの物を用意したのでお好きな物を選んでください。そして、魔石にはどのような形に加工しても、魔力を流すと壊れないと言う性質があるので、色々な形を検討してみてください。」
その後、作り方の手解きを受けて、始めの一言で皆一斉に作り始めた。
何にしよう…イヤリングがええかもな。媒体は用意されとるから、魔石をつけたり、使いやすい形にするだけでえぇんや。魔石の色……何にしよう。
順繰り、魔石を見てたら、その中の一つに目が止まった。海みたいな群青色の魔石や。手に取ってみると、ちょうど良い重さやった。
「メルカ先生、これ、何の魔石ですか?」
「これは……、ブルーユリシスですね。」
ユリシスて、確か、オオルリアゲハやったかな。蝶の名前やけど、ここにもおるんやな。
「普通のユリシスは、手のひらサイズですけど、ブルーユリシスは、通常サイズに比べると、とても大きく、さらに群れることが多いので、高ランクに属しています。」
「へぇ〜。ありがとうございます。」
ウチがお礼を言うとメルカ先生はにっこり笑った。
銀色のイヤリングの媒体が見つかったから、それを使て作ることにした。
モチーフは、蝶々にしよう。
クラフトする時間が始まって、数十分後…
えっと、丸カンをイヤリングと魔石に通して、魔力を流したら……できた!魔石に、星の似たような金色のものが煌めき始めた。成功や!まるで、夜空を小さい宝石に変えたみたいや。
作ったイヤリングを耳朶に付ける。結構、えぇ感じにできた。黒板には…できたら、他の人を見たり手伝ったりして下さい。って、書いてある。めんどくさいわ〜!しゃーないな。あれ、絵梨花ちゃんできてへんのか?
「絵梨花ちゃん、手伝うわ。」
「ありがとうございます!」
絵梨花ちゃんも、イヤリングか。一回やったから楽やろ。
「形が決まらなくて………」
「じゃあ、ウチとおそろにしよ。」
「蝶々ですか…いいですね!」
緑色の魔石で、媒体は金色やな。絶対えぇ奴になるやん。ウチのイヤリングと同じ形に加工して、丸カンで媒体と繋げてもらう。でけた。
「ほな、魔力を流してみてー。」
「はい。」
魔力が流れ込んだ魔石に4枚の花弁の花が咲き乱れた。
「わあっ!綺麗ですっ!」
「これでおそろやな!」
「はい!」
二人揃って片耳のイヤリングを付ける。
他の人のところにも回ろ。杖、剣、槍、弓矢、ネックレス、指輪、ブレスレット、ペンダント、色々な魔導具を作っている人がいた。
銃を作ってる変人は浅野と佐々木だけとちゃうで?結構、銃の奴多かったんよね。
ほんで、魔導具作る時間は終わった。
作品を読んでいただきありがとうございました。
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