夏霞
「香菜も早く来いよー」
「はいはい、ちょっと待って。」
プールに軽く飛び込んだ(ライフガードにバレない程度に)俺とは逆に、香菜は慎重に水に入ってきた。
「ちきってんのか?」
「はぁ?あんたみたいに飛び込むような馬鹿じゃないだけよ。」
「ふっ、それをちきるって言うんだよ、香菜君。」
「うわうっざ。もう近寄らないでもらっていい?」
「すみませんでした。」
「ふふ、嘘にきまってんじゃん。半分。」
「…は、半分…?」
夏の尋常ではない暑さに疲弊しながら今日も学校へとたどり着く。
「おはー。」
「おっす。」
「うっす。」
「おはよー。」
ふぅ、涼しいな。外の暑さのおかげで教室の涼しさが2割、いや5割増しのように感じる。まるで皮肉だな、暑くないのが一番なはずなのに。
世界は上手く出来ている。そんな達観した、馬鹿みたいな考えが今日『も』頭の中を駆け巡った。
授業は相も変らず退屈なものだ。試合のような刺激もなければ、香菜との会話のような華やかさもない。まぁ、そんな世界が刺激だらけだったら、それはそれでまいってしまうのだけれども。
「ジージージリリジリジジリリー。」
「ゴクッゴクッンゴッフ。ゴッホゴホゴッ。」
蝉の声、入道雲、誰かの咽る音、実に夏らしい夏の日。どうやら、しばらくの間このような天気が続くらしい。窓辺の席は暑いけれど、外を観ているだけで授業が終わるのだから楽ったらありゃしない。
ほら、もうすぐで授業が、、、
「浩二、さっさとP24L5を読みなさい!」
「えっ、は、はい!」
「馬鹿だなぁ。」
「浩二かわいそ〜。」
クスクスと小さな笑い声が教室中を木霊する。
「ジージーージジジリジリジリジジジジー!」
こころなしか、セミまで俺のことを笑っているように感じた。
『ついてないなぁ。』
「―ってことがあってさぁ。本当に今日はついてないよ。」
「あー5時間目だっけ?あれ浩二だったんだ。怒号が上の階のうちのクラスまで響いてたよ。」
「ま?」
「ま。誰かが標的にされたなーって休み時間みーんなで笑ってた。まぁでもしょうがないよ、あの人去年もあんな感じだったし。」
「そうなんだ。まぁあの人がずっとあんな感じなのは想像に難くないな。」
「でしょ。」
「うん。…にしても今日まじで暑くね?プールにでも飛び込みたい気分だよ。」
「えじゃあ今度プール一緒に行く?」
「え?」
「友達何人か誘って行こうよ。」
「お前だいぶ急だな。」
「そっちが遠回しに誘ったんじゃーん。NOとは言わせないよ。」
「んまぁいいけど。」
「よーしじゃあ早く準備しないとなぁ。」
「え、いつ行くの?」
「今週末!」
「よかった、まさか今からとか言うかと思ったよ。」
「え今から行きたい?」
「NO」
「アハハ、流石にそんなことは言わないよ。」
「お前なら言いかねないんだよな…」
てなわけで、結局プールに行く流れになってしまった。いや、幸運にも行くことになった。といったほうが正しいかな。香菜とプールに行くのは何年ぶりだろう。初めてではないと思うのだけれど、どうだったか。でも、今はそんなことどうでもよくて。
全身に木霊する鼓動の音は、蝉の声なんかよりもずっとずっと響いていた。
「プールだぁ!」
「着いたぞー!」
「遊ぶぞー!」
「「「疲れたぁ…」」」
結局プールには、俺と香菜ともう4人、計6人で来ることになった。
2人は俺の友達、2人は香菜の友達。男子3人女子3人。まるで合コンかのようなメンバーだ。
さぁ泳ぐぞー!
次回はプール回です。(予定) もしかしたら描写に苦労してボツになる可能性もありますが、とりあえずは頑張ってみます。
ここからまた投稿まで下手したら一ヶ月以上開くかもしれませんが、温かい目で見守ってくださると幸いです。
ps:絶賛勉強に苦戦中です。小説と勉強で二刀流、部活(同好会)も含めて三刀流で頑張ります。




