芽吹き
バスケ部の期待の新人と噂されていた俺は、期待通りの実力は発揮することができず、ちょっとしたスランプに陥っていた。
そんな俺とは裏腹に、先輩であり幼馴染である香菜は入学後、どんどん実力をつけて今年はとうとう全国大会へと行ってしまった。
桜が舞う美しい季節、はもうとっくに過ぎてしまった初夏のある放課後、俺と香菜は行きつけのカフェへと立ち寄った。
「今日の部活もお疲れ様。スタメンには入れそ?」
「ん〜…微妙かな。どうせ先輩達で枠は埋まっちゃうよ。」
「アハハ、そっか。まぁまだ1年生だもんね。」
「んで、そっちはどうなん?大会のほうは。」
「ん〜…うちも微妙かなー。」
嘘つけ香菜は全国いってるくせに。
「県で二位だったんだよねー。なんとか全国はって感じ。」
「なんとかでも全国は全国だろ?すげぇじゃん。もっと誇れよ。」
「そっちだって。噂では2年泣かせの1年が来たってクラスでも話題になってたよ?」
俺と香菜は、1年違う先輩と後輩の関係だ。
中々こう(予定が)合う時間が取れないため、こうして一緒に帰って話しこむというのは珍しい。
「『なってた』だろ?今じゃ俺は単なる落ちこぼれだよ。」
「…本気で言ってる?」
本気も何もないだろ。
周りから見て、今の俺がもはや足手まといとなっていることは自明なはずだ。
「もちろんだよ。」
少しぶっきらぼうに俺はそう答えた。
「…まぁいいや。今日は久しぶりに話せて楽しかった。そろそろ帰るね。」
「あ、あぁ。」
突然の帰宅宣言に少し動揺しつつ、俺も帰る支度を整える。
「んじゃ、またね。」
「ん、またな。」
次会えるのはいつになるだろうか。
会いたいけれど、会いたくない。そんな複雑な想いが自分を蝕む。俺は、外の散ってしまった桜の木へとめを向けた。
久しぶりの作品です。
ぼちぼち続けて行こうと思います。




