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 この店には、魔法使いが住んでいる。

 青年は目の前に聳える建物を、御伽噺に出て来る魔物の牙城に迫る勇者も斯くやと睨み付けた。とはいえ別にこの店に彼が仇と呼ぶ者がいる訳ではない。どうにもひ弱さの目立つこの薄い胸の内に抱いた強い想いが、自然と彼にそのような表情をさせるのだ。

 魔法使い――一般には多く魔術師と呼称されるらしい人間達の風評については、青年も多少聞き齧った事がある。曰く、魔術と呼ばれる不可思議な力を用いて森羅万象を操る者。異界に住まうとされる恐ろしい魔物達を使役し、意のままに従える者。その大半は対価となる金銭等と引き替えに魔術の力で市井の人々の悩み事を解決したり、願いを叶えたりして生計を立てているそうだが、中には人殺しの類を専門に引き受ける者までいると聞く。

 そんな真しやかに囁かれる噂の数々を青年は今、まざまざと思い返している。恐ろしい想像ばかりが脳裏を過り、知らず身体に震えが走る。

 しかし、思い詰めた瞳で見上げた店構えに奇妙なところは全く無かった。街中にありふれている木組みに漆喰塗りの建物は、様々な店々が建ち並ぶ商業通りと呼ばれるこの大通りに面して横長な作りの三階建て。両隣の菓子屋や乾物屋に比べてみても造りに大差は無く、おどろおどろしさ等は見受けられない。左手の端の方にる玄関扉の上辺り、庇から突き出すようにして掲げられた看板には流麗な書体でこう記されていた。

 ―――貸本屋。写本、承ります。

 此処クラレントの街は、街の象徴でもあるエレンディア聖教のクラレント大聖堂に巡礼に来る者達の宿場街として発展した街だ。そのような経済的な恩恵の他にエレンディア聖教会は老若男女、貴賤や信仰の別無く、望めば誰にだって文字の読み書きを教えてくれる有難い存在でもある。その為街の人間の識字率はかなり高く、こうした商売も成り立つ。実際街には他にも二、三件程度同じような貸本屋があった。けれども青年にとって現在重要なのは、此処が魔法使いの店であるという事だ。

 看板には魔法の魔の字すら記されていないが、本当にこの店であっているのだろうか。あるいは敢えて看板に掲げるような事をしていないのかも知れないが、だとすると店自体に何やら後ろ暗いものを感じてしまう。

 まさか、極普通の店の振りをして、迷い込んだ客を魔法の実験の材料にしてしまうのではないか。世の中にはそういう恐ろしい魔法使いもいるらしいのだ。

 ぞっと背筋が寒くなった。想像は、自身の持つ〝魔法使い〟に対する恐れからどうしても良くない方向へ偏ってしまう。けれど藁にも縋る想いでやって来たのだ。今更怖じ気付いていてどうする。

 玄関前に立ち、大きく深呼吸をする。隣の菓子屋から菓子を焼く甘い匂いが漂ってくるが、心躍るようなその香りの誘惑さえも思い詰めた彼の心には届かない。青年は意を決し、もうどうにでもなれという気持ちで扉に手を掛けた。

 扉に取り付けられた来客を知らせる小さな鐘の、ちりりん、という音が嫌に大きく店内に響く。窓から入る光を避けるようにして配された沢山の本棚に圧迫感を感じるのは、青年の心持ちの所為だろうか。曇天の昼のように薄暗い店内には一見して青年の他に客の姿は無く、覚悟を決めた筈の心に躊躇いが波濤となって押し寄せる。

 青年の訪れに、入口の直ぐ其処にあるカウンターの内側にいた黒髪の男が不意に動きを止める。返却された本の仕分けでもしていたらしく、カウンターの上には幾つかの列に分けられて本が数冊ずつ積み上げられている。

 男が顔を上げ、青年の方を見る。同性であっても思わずどきりとしてしまいそうな、やけに端正な顔立ちをした男だ。そう言えば、青年の近所に住む若い娘達が何処ぞの貸本屋に美形の店員がいるとか騒いでいるのを耳にしたような記憶がある。

 青年はまじまじと店員の顔を見つめてしまった。世の中とはどうしてこうも不公平なのか。彼我の差異を目の当たりにして彼は世の無情を嘆いた。

 入口から動かない青年を訝しんだのか、男が身体ごと青年へと向き直る。男はそのまま右腕をすうっと水平に持ち上げた。一瞬「帰れ」という意味かと思い、青年は急にどうしてと身構えた。だがそれは単なる勘違いだったようだ。

 男は伸ばした人差し指を虚空に滑らせる。その軌跡を映し出すかの如く宙に淡い光が浮かび上がり、瞬く間に文字としての形を成してゆく。魔術だ。青年は生まれて初めて目にする異能の技を前にしてぽかんと大口を開けてしまった。

〈何か御用でしょうか?〉

「…え、あ、そのっ…ま、魔法使いの人に……」

 用があって、という言葉の最後は戸惑いに小さくなり掻き消えてしまう。

 この店員はもしや口が利けないのだろうか。上手く言えなかった返答を補うかのように慌ててこくこくと頷きながら青年は考える。光で文字を記すという事は、もしやこの男が噂の魔法使いなのか。

 深い夜空の色を思わせる黒髪に、大振りの一枚布を引っ被ったみたいな風変わりな衣服。生成りの紐で膨らんだ両の袖をたくし上げるみたいにした着こなしもこの辺りでは見た事が無いようなものであり、酷く不思議な印象を受ける。それとも、魔法使いというものは皆、こういった恰好をしているのだろうか。生まれてこの方魔法使いに縁の無かった青年には判断の仕様が無かった。

 青年の頷きを呑み込むような一呼吸の間を空けて、男の指先が再び宙を滑る。

〈此方へどうぞ〉

 衣の端々を翻してカウンターから出てきた男は店の奥と手前にある二つの扉の内、入口の脇にある方の扉を開け、続く部屋へと進むよう青年を促した。

 青年は緊張に速まってゆく自身の心音に急かされるようにして早足に扉を潜る。一体どのように話を切り出せばいいのだろう。取って喰われたりなどはしないだろうか。将又、そんな下らない依頼なんてと追い返されてしまうだろうか。

 いいや。下らないなんて言わせはしない。日毎夜毎に募ってゆく、この胸を苛む甘くも苦しい恋の痛みは、決して下らないものなどではない筈だ。

 自分と彼女、愛し合う二人の前途に立ちはだかる数多くの障害。それ等を取り払う術を悲しいかな、青年は持たない。だから彼は此処に来た。僅かな希望に縋り付くように。身震いするような恐怖さえもを必死に堪え、魔法使いの許に相談に訪れたのだ。

 扉の先は二歩分程の距離を取って一面の壁になっている。右手側から幽かな光を感じるので、其方の方向に窓でもあるのだろう。よし。此処までくれば後はもう勢いだ。ある意味毅然と、言い換えれば半ば自棄のようになって青年は大仰に店員のいる方を振り返った。

 ばたん、という無味乾燥な音と共に鼻先で扉が閉められる。肝心の魔法使いの姿はといえば、閉め切られた扉の向こう側に呆気無く消えていった。

「…な、なんなんだよ……」

 訳が解らず呟いた言葉には多少の強がりが含まれている。奥へ案内した癖にどうして自分は続いて来ないのか。何の言葉も無く去って行った男の行動への不審と不安ばかりが込み上げてくる。

 窓辺から遠い奥まった場所にいる所為で、辺りを包む影の色は濃い。早鐘を打つ心臓の鼓動だけが鼓膜の奥で煩い程に回り続けていた。懸命に平静を保とうとする彼の理性を内側から喰い破るかのような不安が、胸中で大きく膨れ上がってゆく。

「…っ、しっかりしろ…!怖じ気付いてる場合じゃないだろ…?」

 態と声に出してそう言うと、少しだけ気持ちが落ち着いた。奥へ通されたという事には、きっと意味があるに違い無いのだ。青年は閉ざされた扉に釘付けになっていた両眼と両足をえいと引き剥がして、せめて光を感じる方へと身体を向き直らせた。

「…ひっ!?」

 次いで上げ掛けた悲鳴を青年は咄嗟に呑み込んだ。正確には、悲鳴を上げ損なってうっかり呑み込んでしまったという方が正しい。

 いつの間にか、数歩ばかり先に小柄な人影が在る。突然の事に完全に思考が停止してしまった青年はぴくりとも動けず、冷や汗を浮かべて暫しその人影と見つめ合った。

 青年がいるのは、向かって左手側にある二階へと続く階段と右側の壁との間の、然程広くもない短い廊下のような空間の突き当たりだった。奥に見える台所の方から射し込む午後の光が逆光となり、相手の顔がよく見えない。店へと続く扉は閉ざされている為、まるで袋小路に追い詰められているような気がしてくる。

 逃げ出したいのに足が動かなかった。自分の人生は此処で終わるのだろうか。愛しい彼女の可愛らしい笑顔と、これから訪れるのかも知れない自分の最期の瞬間についての身の毛もよだつような想像が目まぐるしく頭の中を駆け巡る。

「………?」

 ふと、気が付いた。佇む人影が先程から微動だにしていない事に。疑問に思った青年は短くはない逡巡の後、おっかなびっくりと人影に近付いたみた。けれども向かい合った相手に動き出す素振りは全く見られない。

 狼狽している内に、目もすっかり薄暗がりに慣れてきた。突っ立ったまま動きもしない人影はどうやら少年であるようだ。真っ白な髪、真っ白な貌。緑青の瞳には何の感情の色も湛えられてはおらず、店員の男と似たような雰囲気の衣服に包まれた体躯は作り物めいて華奢である。

「……あれ?もしかして…これ、人形……?」

 じっと目を凝らして、静かに其処に佇んでいる人影の様子を探る。導き出した答えに青年は安堵の吐息を洩らした。そうだ。今回魔法使いに依頼を持ち込むにあたって友人知人などを片っ端から頼って仕入れた情報の中に数年前から人々の噂に上るようになった、人形を使用する有名な魔法使いの話があった。ならば、此処は偶然にも件の魔法使いの住処なのかも知れない。

 人形相手に怯えきっていた自分が何とも莫迦莫迦しく思えてきて、青年は一人苦笑いをした。人形の小柄な背丈に合わせるように腰を屈め、その端麗な造作を覗き込む。

「へえ…。よく出来てるなぁ」

 正体さえ判ってしまえば所詮はただの人形だ。何も怖い事は無い。周りからはよく頼りなさそうなどと言われてはいるが、青年自身は酷く臆病な性質という訳ではなかった。危険が無いと解れば、感嘆の呟きだって口から洩れ出る。

 だが、どういった理由でこんな風に通路を塞ぐようにして態々等身大の人形を置いておくのだろうか。脇を擦り抜けられない事は無いものの、こんな狭い場所に置いてあっては邪魔だろうに。

 魔法使いがどのように人形を用いるのかまでは噂話にも聞いた覚えが無かったので、この場に人形が立っている理由は見当も付かない。飾るに適した場所とも思えないが、泥棒除けか何かのつもりだろうか。それならば納得がゆくと青年が頷き掛けた、その瞬間。

 ――人形の眼が、動いた。

 青年が屈めていた上体を起こす。その動作に併せて、硝子玉の瞳が青年の動きを追うように、目線を上へと上げていた。

「――…え?」

 目の前で何が起こっているのか、状況が全く理解出来なかった。

「――ゴ用件を、オ伺いシまス」

 その場に硬直する彼を余所に、無表情の人形が辿々しい発音で言う。一呼吸。二呼吸。三呼吸。現状を認識するのに充分な時を置いて、後、青年の喉からけたたましいまでの悲鳴が迸った。



 制止する暇も無かった。凄まじい絶叫を上げた後、全速力で外へと走り去って行った名も知らぬ青年の背を無感動に見送り、フィロこと斯波真白(しばましろ)は微かに首を傾げた。

 どうして逃げるのだろうか。ただ用件を尋ねただけだというのに。青年が飛び出して行った際に開け放っていった扉を無為に眺めながら、自照してみる。

 このように客に飛び出して行かれるのは初めてではなかった。前回来た客にも横手から声を掛けたら何故か悲鳴を上げられた。その時は突然声を掛けたのが良くなかったのかも知れない。そう考え、今回はこうしてゆっくりと間を取ってからにしたのだが、結果はこの様である。

『…先に挨拶をするべきだった?』

 今の応対の何が悪かったのだろうか。省みて、どうにか探し出した心当たりを母国語で小さく呟いてみる。けれどもこの場には自分以外に誰もいない為、当然答えは返らない。尤も依頼客である筈の人間はもういなくなってしまったので結局真実は解らないし、解らないままでも別に困りはしない。

 これでシェディールでもいれば「また金蔓(きゃく)を逃がしたのか」と呆れられるところだろうが、幸いな事に恋人である彼女は約十日程前から所用で王都へ出掛けている。お陰で客あしらいが下手だの、もう少し発音の練習をしたらどうだだのと言われなくて済むのは気楽でよかった。

 そもそも故国では主に呪殺を請け負う呪術師として生きていたのだ。呪殺の依頼を持ち込む者に対して愛想良く接する方がおかしいではないか。まあ、そういう身内もいないではないが、少なくともフィロは生来陽気さや愛嬌などといったものとは無縁の性格をしているのである。環境も習慣も故国とは全く異なる外つ国へ来たからといって性格までが変わるものではないし、無理に明るく振る舞おうとも思わなかった。

 というか、弁解する相手も不在な癖に、どうして自分はこのような自己弁護染みた事を頭の中で並べ立てているのだろうか。不意に己の思考の不毛さに思い至り、フィロはか細い溜め息をついた。

 客もいなくなった事であるし、部屋に戻ろう。だがその前に開けっ放しの扉を閉めなければ。フィロは店へと続く扉の取っ手に手を伸ばす。其処へ、扉を閉めようとするフィロに待ったを掛けるように、ちりりん、と高く澄んだ音が鳴った。見れば、街飛脚のラスが店へと入ってくるところだった。

 ラスは王都とクラレント間での配達を担当している街飛脚で、フィロもすっかり顔馴染みになっている人間である。彼はどちらかといえば無口な質であるようで、配達事の手際も端的、不要なお喋りなどしないところにフィロは密かに好感を持っている。

 事務的な受取人の確認を行い、手渡された手紙を受け取る。ラスは小皺の目立ち始めた柔和な顔立ちに穏やかな笑みを浮かべ、小さく帽子を持ち上げて会釈をした。

 来た時と同様にラスがきびきびと店を出て行くの待ってからフィロは手紙の検分をする。封筒の表に記された宛名はフィロだ。裏面にはエレンディア聖教の紋章で封蝋がしてある。差出人の名は、ルチカ・ベルフォート。

 ルチカからフィロへと手紙が届く時は大抵何らかの依頼がある場合が多いが、さて今回はどういう用件だろうか。フィロは傀儡(くぐつ)(えんじゅ)が貸本屋の店番をしているカウンターの中に入り込み、抽斗から手紙の開封用の小刀を取り出す。

「………」

 読み終えた手紙を一先ずカウンターの上に置く。都合良く客のいない店内を見渡し、フィロは槐に店を閉めるよう指示を出した。貸本屋の主はシェディールなのだが、彼女が長く外出する際の店の采配はフィロに一任されている。

 即座にそれまでの作業の手を止め、店を閉める準備を始める槐。誰もいなくなるというのに流石に傀儡だけで店を開けさせておく事は出来ない。手紙には依頼があるから是非王都まで来て欲しいという旨が認められていたのだ。依頼についての詳しい話はその時に、とある。

 依頼とあれば特に断る理由も無かった。どうせ暇だったのだ。少し前に正午の鐘と晩鐘の間の鐘が鳴っていたようであるし、今から直ぐに支度して出掛ければ、本日最後の王都行きの馬車に間に合うだろう。

 支度をしに自室へ戻る途中。フィロは手にしたルチカからの手紙に目を遣り、もう一度ざっと文面を流し読む。

 本人がどうしてもと望むであればシェディールの同行を許可すると書いてあるが、ルチカはシェディールが王都に出向いている事を知らないのだろうか。勿論手紙が届くまでの時間差というものもあるし、幾らシェディールが王都に行っているとはいえ必ずしも顔を合わせる機会があるとも限らないが。

 もしかしたらフィロが着く頃には街中等でばったりと出会しているかも知れない。ただその場合、依頼内容を聞きに行った時にルチカから詳細の他、愚痴まで聞かされる事になり兼ねない。喧嘩する程仲が良いとは言うが、シェディールとルチカは正にそういう関係だと思われた。あの姉弟めいた空気には交ざれる気がしないし、正直交ざりたくないとも思う。

 確か、故国には〝どつき漫才〟と呼ばれる演芸があったような。観た事こそ無いが話に聞いたところによれば、ああいう感じなのかも知れない。二階にある自室へ向かって階段を上がりながらフィロはふと、そんな取り留めのない事を思い出していた。



 古き王国オーロール。かつてはこの大陸全土を統治していたと史書に語られる永い歴史を有する王国である。だが現在の支配地域は往事の半分に満たない程にまで狭まり、畏敬を以て崇められたその存在感も、今となっては活力に溢れた周辺の若い国々に埋もれてしまっている。過去の栄華は泡沫の夢、という事だろうか。

 故国を出てからの落ち着き先にオーロールを選んだのは、共に国を捨てて海を渡った大叔母が若い頃に遊学をしていた土地であったというのがその理由の大半ではある。けれどもフィロは、この国の古色蒼然とした雰囲気が割合気に入っていた。なので大叔母の許から独り立ちする際にも特に他国へ移る事無く、取り敢えず仕事に困らなそうな場所を選んで王都に出て来たのだった。

 王都は国内最大の都であり、街の大きさに比例して人口も地方、辺境辺りとは比較にならない。フィロが現在居住しているクラレントも大きな街ではあるが、やはり王都の方が賑わいに華やかさがあった。

 街を囲む高い城壁を抜けて遙か彼方を見遣れば、王城の尖塔の数々が蒼空へと伸びている。春の盛りの心地好い暖かさを風に感じて、フィロは淡い花の色に染まる故郷の春を思った。といっても其処に偲ぶような気持ちは微塵も無い。過ぎ行く春の風の香に、純粋に、あの花吹雪を思い起こしたというだけの話だ。

 街門を潜って間も無く停車した乗り合い馬車を降り、途中曲がりくねりながらも最後には王城へと行き着く目抜きの大通りをフィロは歩き出した。大陸の中心として栄えた数百年にも及ぶ永い年月を掛けて拡大を繰り返した所為か、市街地は大層入り組んだ構造となっている。王都では一年と少しの日々を過ごした経験があるので道に迷うような事こそ無いが、それでもともすると目的の場所とは全く違う所に出てしまうのがオーロール王都の路地の特徴だった。

 古びた風情と瀟洒な趣の混在する街中をフィロはルチカのいるエレンディアの聖堂に向かう。幾つかの角を曲がり、広場を二つ通り過ぎ、漸く目指す建物が見えてきた。

 王都では全体的に、土台近くは煉瓦造り、上部は家毎に異なる彩色を施された漆喰塗りという建物が多い。その中で灰色の石造りの聖堂は派手さこそ無いものの非常に目立つ建物だ。丁寧に世話をされているのが窺える聖堂の前面にある花壇が、質実として飾り気に欠けるその佇まいに控えめな彩りを添えている。

 僅か三段だけの、一段ずつが低めに造られた階段の先。黒い金具に縁取られた木製の、両開きの大扉の片側だけを引き開け、聖堂内へフィロは身を滑り込ませた。

 礼拝堂の天井は穹窿型になっており、余り見上げていると首が痛くなりそうなくらい高い。床が一段高くなっている最奥には天上の御国の光と緑とを描いたのだろう色硝子の絵画を背にして、よく磨かれた真っ白な石の祭壇が鎮座している。祭壇の最も高い位置には聖乙女エレンディアの神像が祈りの姿勢を取って座し、壇上の至る所に様々な花で飾られた沢山の蝋燭が捧げられていた。これ等の蝋燭は信者達からの供物であるという。どうぞ我が心の灯火となって、この魂を善き方向へとお導き下さい。そんな想いを込めて信者達が蝋燭に思い思いの花を飾り付け、エレンディア神像に奉納するのだそうだ。

 扉から祭壇へ向かっては等間隔に天井を支える柱が据えられ、その間を朽葉色の絨毯が走っている。絨毯を中央の仕切りにして左右に広がる空間にはそれぞれ祈祷席として木製の長椅子が並べられているのだが、今は丁度午前の説教の時間であったようだ。年齢性別を問わず多くの人が集まり、礼拝堂の大半を占める祈祷席のほとんどを埋め、熱心に司祭の話に耳を傾けている。

 フィロは彼等の邪魔にならないよう、壁際の隅に移動して説教が終わるのを待つ事にした。

「――大切なのは私欲を捨て去り、神への誠を尽くす事。そうすれば自ずと魂の汚れは清められましょう」

 祭壇の前に立ち、信者達一人一人の顔を眺めるようにして話す年若い司祭が皆に向かって微笑み掛ける。語り掛ける声には柔らかさと優しげな穏やかさとがあり、瞳を閉じて説教に聞き入る信者の中にはうっとりとした様子の少女達の姿も少なくない。そうした少女達は今現在どうにも私欲の方が勝っているように思うのはフィロの気の所為だろうか。エレンディアの信者でもないフィロには関係の無い事ではあるのだが。

「己の為に祈るだけではいけないのです。永遠の幸福を願ってただ祈る事、それだけでは私欲と何ら変わりありません。心身の汚れを落とし、己が魂が清廉であるよう、常に心掛けましょう。聖乙女は必ず、皆さんの行いを見守っていて下さいます」

 つと流れてきた司祭の視線がフィロを捉えて止まる。慎ましやかに説教を続けながら司祭――ルチカは器用にも瞬きだけで「少しだけ待っていて欲しい」との意を伝え、再び視線を信者等に戻した。

 ルチカの説教は滔々と進み、やがて信者一同での黙祷を最後に恙無く終わりを迎えた。信者達は一斉に立ち上がり、各々が家に、仕事に戻る為に聖堂を後にする。ルチカは信者の数人に話し掛けられ、それに応じて短い会話を交わしたりなどしていたが、最後に残った信者が出て行くのを見送ると、隅に立つフィロの許へと小走りに駆け寄って来た。

「やあやあ、お人形ちゃん。ごめんね、待たせちゃって。それじゃ、折角だから奥へどうぞ」

 声の質こそそのままに、だが先刻までの粛然とした雰囲気など信者の退出と共に聖堂の外へ追い出してしまったかのような、打って変わった明るく軽い口調でルチカが言う。フィロは此方の方がルチカの地であるのを知っているので驚かない。それよりは寧ろ、フィロが〝人形遣い〟の通り名で呼ばれているからといって「お人形ちゃん」という巫山戯切った呼び方をする事の方が余程気になってしまう。

「いエ。此処で構イまセン」

「あれ、そう?お茶でも出そうかと思ったのに。クラレントから王都(こっち)まで馬車でも二日掛かるんだし、疲れてるでしょ?のんびりお茶でもしながらゆっくり話すのでいいんだけどな」

 そう言ってルチカは子供っぽい、無邪気な笑顔になる。ルチカはフィロより四つ年上なのだが、話していると時折年下の子供を相手にしているように錯覚する時がある。あれはいつまでも稚気が抜けない幼稚な奴だ、というのが彼とは数年来の親友の間柄であるシェディールの評だ。物言いがきついのがシェディールの常なので評を鵜呑みにはしていないが、事実と然程掛け離れてもいないのだろうとは思う。

「それじゃあ、早速本題に入らせてもらおうかな」

 ルチカは一番隅の祈祷席に腰掛け、ぺしぺしと右手で自分の隣の空いた座面を叩く。着席を勧められたのでフィロも長椅子に腰を下ろし、肩から負っていた少ない旅荷を膝に置いた。

「そう言えば、シェディールは?一緒に来てもいいよ、って言ってあげたのに来なかったの?珍しいね。お人形ちゃんに仕事を頼むといつもべったり付いて来るのに」

 本題に入ると前置いておきながら早速話が脇道に逸れている。手紙を受け取った時にも思ったが、やはりルチカはシェディールが王都に来ている事を知らないらしい。かなり誇張された発言の後半には触れずに、彼女が少し前から所用で王都を訪れている事――フィロと入れ違いに仕事を片付け、もうクラレントに戻っている可能性も無いではないが――を教えるとルチカはふうんと大して興味無さそうに天井を見上げた。

「そっか。いないならいないでいいや。寧ろ全然困らないしね」

 フィロの方に顔を戻してルチカがにっこりと笑う。どこから話そうかな、と悩むような呟きを零してからルチカは今回フィロを呼び出した用件について話し始める。

「簡単に纏めるとね、近頃魔術師の人を狙った襲撃事件が相次いでいるんだ。〝魔術師狩り〟なんて呼び方されててさ。で、お人形ちゃんにはその調査をしてもらえないかな、って思って手紙を出したんだよ」

 ルチカは頭の中で話すべき事を整理している風な上目遣いになる。さらさらとした銀色の髪が瞳の真上で揺れ、ルチカは前髪を指で摘んで持ち上げた。

「ほら、エレンディア聖教(うち)って魔導師連盟と対立してるから、魔術師の人達の管理に力を入れてるところがあるでしょ?」

 連盟の存在は余所者であるフィロも知るところである。オーロール王国に古くから存在する、正統魔導師連盟アルマローラ。魔術を用いて人々を導く者として自らを魔導師を称する人間達の集団であり、その発祥は王国建国当時にまで遡るといわれる歴史ある組織だ。

 由緒正しい組織ではあるのだが、アルマローラが魔術の真知を追い求め、それを人の為に役立てようとしていた時代は遙か過去の事。今となっては王侯貴族の傍らでその顧問を務め、富と権力を貪り、享楽に耽るような者共の集まりと化している。故に教義の内容上エレンディア聖教会とは水面下でではあるものの長らく対立状態となっており、エレンディア聖教はこれ以上魔導師等のような堕落した連中を増やさぬようにと、市井に住まう魔術師達の管理に乗り出したのだ。フィロはそのようにシェディール、ルチカの両名から聞いている。

「襲われた魔術師はもう四人になるんだけど、全員うちの名簿にある人なんだよね。お人形ちゃんも知っての通り、うちだって王国内の魔術師を一人残らず管理下に置いている訳じゃないでしょ。この王都だけだってエレンディアの関知していない魔術師が何人もいる筈だし。なのに、偶然かも知れないけど名簿にある人間ばっかり狙われて襲われてるから、この一連の事件、教会内部でも結構問題視されてるんだ。そして、その煽りがボクに来るんだよねぇ…」

 疲れた溜め息を吐き、うんざりとした様子でルチカは肩を落とす。彼は市井の魔術師達を管理する役目を一手に担っているというし、色々と風当たりの強い立場に在るのだろう。

 ルチカは背凭れにぐったりと身体を預け、腹の上で両手の指を浅く組み、投げ出すように二本の足を伸ばした。何処か遠く見るような眼差しは物憂げだ。完全な独り言ながら「はぁー…。面倒臭いなぁ…」などと、はっきりと言い切ってしまうルチカのこういう性格がフィロは嫌いではない。

 降り掛かって来た厄介事の煩わしさを思い、すっかりだれてしまったルチカにフィロは言う。

「解リマした。ソの仕事、オ引き受けしマす」

「本当!?やったあ!お人形ちゃんがそう言ってくれるなら百人力だね!」

 途端、萎れていたルチカが跳ねるような勢いで身体を起こす。先程までの憂いは何処へやら。にこにこと嬉しそうに笑うルチカを見て、本当に子供のような人だとフィロはいつもの無表情の奥で少しだけ呆れた。

「それじゃ、詳しい話をさせてもらうね。…最初の事件は、今から半月以上…大体一月近く前くらいだったかな。カルディアっていう魔術師なんだけど、この人は用事を終えた夕刻頃、家に帰ろうとしていたところを突然襲われたんだって。その時に片腕を折っちゃったんだけど、命に別状は無かった。歩いていたらいきなり後ろから襲われたっていうから犯人の顔は見てないし、本人にはそんな事をされる心当たりも無かった」

 飽くまで当人の証言だけどね、と付け加えてルチカは更に続ける。

「で、次の事件はその四日後。深夜、酒場からの帰り道で、ランドっていう人。この人はその時大分酔ってたそうだけど、慌てて直ぐに逃げたっていうから大した怪我は無かった。最初は一人で転んだか何かしたんじゃないかって周囲の人に思われたらしいよ。酔っぱらってたからおかしな勘違いをしたんだろうって、友達が皆、口を揃えて言ってたみたいだからさ。ランドって口ばっかり大きなところがあるから、そう思われちゃうのも無理無いとはボクも思うけど。それから三日後に被害に遭ったのがジェイ。彼も酒場帰りだったんだけど、ランドとは違って其処までは飲んでなかった。もうそれなりにお年だからね。お酒は嗜む程度にしてるって本人も言ってたし。この人は傷を負いながらも命からがら逃げ出したんだ。犯人の事は見たし、声も聞いたんだけど、暗かったからはっきりとした姿までは判らなかったって聞いてる」

 其処までを一息に語り終えてルチカが息を継ぐように一旦言葉を切る。フィロを見つめる露草の青を湛えたルチカの瞳がふと、窺うような色合いを帯びた。

「……何カ?」

 尋ねるとルチカはぱっと破顔し、片手をひらひらとさせた。

「ううん。別に何でもないよ?」

 何でもない訳が無いとは思ったものの、話の腰を折るのもどうかと考えてフィロはそれ以上踏み込まなかった。何かしら話すべき事があるのであれば、後からでもルチカが言うだろう。あるいはフィロの方から訊いてみてもいい。

「――…で、一番最近の被害者。名前はラークス。腕の良い薬師として通ってる人で、ご近所の評判も良いんだ」

 四人目の話に及んだところで唐突にルチカの表情が曇った。語る声音にもそれまで以上の重苦しい真剣さが滲む。

「……ラークスは血塗れで路地に倒れているのを発見されたんだ。薬を届けてくるって昼前に出掛けて、日が暮れても家に帰って来ないから、心配した奥さんやご近所の人達が総出で探し回って…やっと見付けた時にはほとんど瀕死の状態だった。十日と少し前の話だよ。どうにか命は助かったけど、まだ寝台から起き上がれないし、怪我が重くて満足に話す事さえ出来ない」

 ルチカは胸に閊えた鉛めいたものを吐き出そうとするかのように大きく息をついた。外では雲に遮られて日が陰ったのか、天窓から射し込む幾筋もの帯状の陽光が淡くなり、堂内が俄に暗さを増す。

 フィロは明度を落とした祭壇奥の色硝子の絵画へ目を向けながら、ルチカから聞いたばかりの事柄を整理する。確かに四人の被害者は全員が魔術師であるようだが、それだけでこれ等の事件を一連のものと考えるのは早計ではないだろうか。それとも、これが一繋がりの連続した襲撃であるという確たる証でもあるのか。疑問を口に出して問うてみると、ルチカは頷き、答えを返した。

「うん。初めはボクもそう思ったんだけどね。でも、襲われた時の犯人の感じっていうか、手口みたいなものが話を聞いてみると一緒っぽいんだよね。基本的には直接的な殴打で、武器みたいな物は振るってこないところとか。そうじゃなければ追い剥ぎとか通り魔とか、そういう事件が短期間に頻発しただけなんじゃないかって思うんだけど。それにジェイの話によると、犯人自体が初めに『お前は魔術師だな?』って訊いてきたって言うんだ。となると、これはもう魔術師を狙った連続した襲撃でしょ?」

 ルチカは同意を求める風に首を傾げた。返事はしなかったものの、それを聞けばフィロに異論は無い。フィロの同意を察したかのようにルチカが「だよね」と頷き、暢気にも思えるような間延びした調子でまた口を開く。

「いや、怖いよねぇ。ていうか、最近の王都ってば物騒続きなんだよ。ついこの間も夜になると謎の生き物が街中で暴れ回るっていう怪事件が起きたばっかりなんだから」

 それは初耳だ。興味を引かれて其方を見たフィロに、ルチカは仲の良い友人同士が面白い噂話に興じる時のように身を乗り出した。

「真相から言っちゃうと、連盟の魔導師が使い魔にしようとして喚び出した魔物が契約前に逃げ出しちゃったっていう話なんだけどね。その魔導師も事が公になると(つつ)かれるからって表立って事態の収拾に動かなくってさ。全く困りものだよねえ。最終的には丁度王都(こっち)に来てた〝魔物遣い〟がぱぱっと片付けてくれたんだけど」

 ルチカの口から出た〝魔物遣い〟の名にフィロはそれと判らない程、ほんの僅か眉根を寄せた。

 〝魔物遣い〟が王都まで出て来ていた。それはつまり、以前ルチカに依頼されて向かったトレノ村での一件での最後の後始末をしに来てくれたという事だ。フィロにもっと力量があれば彼にそのような面倒を掛ける事も無かった筈なのである。

 フィロは膝の上の荷物の、緩んでもいない結び目を無意味に締め直した。擦れた布地が、キュッ、と小さく音を立てる。

「――あ。そう言えば、お人形ちゃん。まだ宿って取ってない?」

 フィロの膝の荷物にたった今気が付いた様子でルチカが尋ねる。聖堂へと向かう途中で宿を取っておく事も出来たが、依頼の内容が判らない以上は先に宿を決めておく必要も無いかと止めておいた。まだだとフィロが頷くとルチカは嬉しそうな満面の笑みを浮かべた。

「じゃあ、教会に泊まっていったらいいよ。部屋だったら有り余ってるんだから。勿論お金なんか取らないし、ご飯だって付けるよ。どう?」

 これから宿を探す手間が省け、食事まで付く上に宿代が浮く。とても有難い申し出だ。であるからこそ、フィロはルチカの誘いを丁重に固辞した。ルチカに対して余り借りを作るのも良くないだろう。何も考えていなそうな〝道楽者のお坊ちゃん〟然としているルチカだが、その実非常に切れ者であり、加えて打算的な部分も多分に持ち合わせているのだ。

「そう?残念だなぁ…」

 あからさまにがっかりした表情でルチカは唇を尖らせる。魔術師達を管理するという役目の傍らでルチカは彼等の大半と個人的に手を組んでおり、公的、私的に拘わらず頼みを聞いてもらう代わりに便宜を図ってやるという一種の癒着状態にあるのだ。拗ねた子供染みたその表情の裏にフィロを直接的な翼下に置きたいという彼の魂胆が透けて見えるようで、早く諦めてくれないものかとフィロは内心で閉口する。

「…最後ニ、ソの被害者達の家や襲わレた場所を教エテ頂けマすカ?」

「へ…?あ、うん。勿論だよ」

 何やら思案中だったのか、ルチカは歯切れ悪くフィロの問いに応じた。

「っていっても、ラークス以外の人達は襲撃に遭った後、犯人の事を怖がって王都を出て行っちゃったからね。うん。無理も無いって言えば、言えるかな?…もしかしたら、そういう風に脅されたのかも知れないけどね」

 何処となく奥歯に物の挟まったような言い方だった。訝しく思いつつもフィロはルチカからそれぞれの詳しい場所を聞く事に集中する。

 重傷を負いつつも一命は取り留めたというラークスなる魔術師に、多少なりとも話が聞ければいいのだが。ルチカの言う場所を頭の中の地図と照らし合わせて確認し、フィロは簡潔な辞去を述べて立ち上がった。

 じゃあ宜しくねと手を振るルチカに背を向け、外へと続く大扉に手を掛ける。

 何はともあれ、先ずは今夜の宿を取っておいた方がよさそうだ。さて、近くに手頃な宿屋はあっただろうか。まだ此方にいるのであれば王都生まれのシェディールは生家で寝泊まりしている可能性があるので、敢えて彼女が宿泊していそうな宿を探す事は無い。シェディールに会えれば魔術師狩りなる一連の事件について何かしら訊ける事もあったかも知れないが、まあ仕方が無いだろう。フィロには彼女の生家を訪れた経験は無いので、情報を得られるかも不確かであるのに態々其処を訪ねてみる気にまではならなかった。

 太陽は未だ中天にすら差し掛かってはおらず、春の匂いが其処彼処に漂っている。綿を千切って浮かべたような雲がゆっくりと流れて行く空。暫く離れている所為だろうか、見上げた空のその青さが、フィロの中でシェディールの瞳の色と重なった。

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