冒険7帰還
角も持って帰ろうかという話もでたが
ダガーで切り落とす事が難しかったため、諦め魔石だけを持ち帰路につく
帰りは流石のフリージアも走らなかった
ゆっくりゆっくり一歩いっぽ家に近づく
普段なら夕方までには家に着いているのだが
今日はすでに日が落ち伸びた影も無くなっていた
1時間ほど歩いただろうかようやく村が見えてくる
「リョウ!急ぎましょう」
「うん!でもやっぱり怒られるかなぁ…」
そう言いながら家に向かい走り出す
「怒られる?そんなわけないじゃない魔獣を倒したのよ!逆に褒められるわよ!」
走りながら魔石を取り出しニヤニヤしながら眺める
「いや、普通に怒られるよ。絶対」
バターン!
いつもより勢いよく扉を開け
「ただいまぁ!!」
「ただいま…」
「2人とも今日は遅かったな。ん?フリージアぼろぼろ……」
と心配するカイルの言葉を遮って
「とぉさんかぁさん魔獣をリョウと2人で倒してきたわよ!」
満面の笑みでそういうと自慢げに魔石を見せつける
これに1番に反応したのはフローラだった
座っていた椅子が倒れるほど勢いよく立ち上がり
「すごいじゃないの!!」
そういうとフリージアと俺を同時にハグをする
「すごいじゃないかっ!」
続いてカイルも賞賛の言葉
「お、怒らないの?」
「怒るわけないじゃないか、いつ魔獣が出るかわからないんだからいつも危険な事から逃げてたらもし逃げられない状況に陥ったときそれは死でしかないんだ。今日魔獣を倒せた事で生きる選択肢が増えたんだぞ!喜ばないわけがないじゃないか!」
そうか…あのときフリージアが戦う事を選んだ事で俺は今後の選択肢が増えたのか…
あのときは選択肢がなくなっと思ってたのに…
「お前たちの命はもちろん大事だ!心配してないと言えば嘘になるし、逃げ帰った方がよかった状況だったかもしれない。ただ1つ言えるのはその魔獣がもし生きていたなら今頃、村を襲ってたかもしれないという事だ」
自分の命惜しさにそんな事考えもしなかった…
もしかしてフリージアはそこまで考えてたのか?
「それじゃお腹も空いたでしょ?ご飯にしましょうか」
「はーい」
そう言いながら席に向かうが
「私は今日はいらないわ、お風呂に入って寝るから。リョウたまには一緒に入るー?」
「え?!い、いやいや、いいよ1人で入ってよ」
「あはは。なぁんだ残念」
少しからかうと笑いながらお風呂場に消えていった
「リョウは食べるでしょ?」
「あ、うん。もうお腹ぺこぺこだよ」
3時間くらい駆け回って魔獣を倒して1時間かけて帰ってきてるのだお腹が減らないわけがない
「いただきまぁす」
温かく香ばしいポタージュスープと少し硬めのパンそれと新鮮なサラダがテーブルの上に並んでいる
決して貧乏ではないが豪華とはいえない
それでもすごく暖かい夕食だった
まだ食事も半ばで
ふわふわの癖毛にツルツルの生地の寝巻き用のワンピースに身を包みフリージアがお風呂場から出てきてテーブルの上にある自分のコップにミルクを注ぎ一息で飲み干すと
「ふぁあ。おやすみなさぁい」
「おう!おやすみ!」
「おやすみなさい」
本当にご飯食べないのかと思いつつ
「おやすみぃ」と返事を返す
フリージアは挨拶を済ませると自分の部屋へと消えて行った
俺はというと夕食を食べ終わり風呂に入ってそのまま自分の部屋で泥のように眠りに落ちたのだった