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第七話 絶体絶命のピンチ! 悲しくも悪魔に痛めつけられるロリコン大学生


 

 ズドン! バキ! グサ!


 「グハッ!」


 あらゆる音が鳴り響いたのは俺の骨が折れる音と悪魔の拳や蹴りによる衝突の音ばかりだった。


 「くっ…。」


 悪魔による重い連鎖は止む事なく追尾されてしまう。


 反撃しようと剣を振りかざすが、それを意図もなく避けられ返り討ちに合ってしまう。


 先程の肋骨だけでなく、腕や足までもが折られもはや立っているのがやっとという状況になっていた。


 そして、拳や蹴りでは飽き足らず鋭い爪で全身を切り裂かれてしまった。


 そのせいで全身から血が流れ、あらゆる骨を折られたためか痛みという感覚は既に通りこし、意識は少し薄れていった。

 

 だが、これだけ傷つけられても尚生きている事が不思議だと思ってしまう。恐らく、あの悪魔は死なない程度に限界まで痛めつけているのだろう。


 今の悪魔が今までにない笑みを浮かべ、殴ったり蹴ったりして楽しんでいるのが何よりの証拠だ。もはや、いやらしいを通り越した変態級のサイコパスだった。


 こういう奴が他にも沢山いると思うとゾッとしてまう。


 ズドン!


 「グボハッ!」


 今度は頭に蹴りを入れられ地面に叩きつけられていく。


 顔と頭の衝突によって意識が飛びかけていく程に。

 

 「もう少し頑張って下さらないと困りますよ、こっちはまだ全然遊び足りないのですから。」


 何も…お前の勝手な遊びに付き合ってるつもりはないのだと言いたいのだが、今のダメージで意識が飛び出そうで声を上げる余裕がなかった。


 俺は思ったこれなら、あの時後ろから刺された方が何倍もマシだった気がすると。


 地面にうつ伏せで倒れている俺を見た悪魔は少し残念そうな顔をし始める。


 「死にましたか? もう少し付き合いたかったのですが少々やりすぎたかもしれません。」


 俺が死んだと思い込んでいる。でも、どちらにせよ俺がもうすぐ死ぬのは間違いないだろう。


「仕方ありません、そろそろあの餓鬼を追いかけるとしましょう。」


 あの餓鬼…ルージュちゃんを追いかけるつもりか。 


 まだ、戦って数分しか経っていないといえあのスピードじゃ直ぐに追い付かれてしまう。このままだと…。


 「ふむ、だいぶ離れてしまいましたが直ぐに見つかるでしょう。」


 悪魔は翼を生やし追いかける準備をし始める。


 「おい、待てよ!」


 「おや? これは驚きましたね。」


 あの子をこいつに殺されるのが死んでも嫌だった俺は、血を吐きながらも最後の気力を使ってまで立ち上がった。


 これぞ世にいう『馬鹿力』ってやつか。


 「まさか、ここまで粘り強く力を発揮できるとは私が知る限り他の冒険者でもそうはいませんよ、一体どんな味がするのやら…。」


 ペロリと舌舐めずりをしこちらを睨みつける。気色が悪い。


 「でも、そのまま寝込んでいた方が楽になれると思いますがね。」


 悪魔の正論に対し、俺はへへっと笑った。


 「確かにお前の言う通りこのまま倒れていた方が楽に死ねるかもしれない、だけど俺はあの子と約束したんだ、『必ず勝って生きて帰る』と。だから、ここで死んだらあの子を裏切ってしまう。それだけは絶対にしたくない!」

 

 俺はボロボロになりながも悪魔に意地を見せつけるよう精一杯声を張った。


 それを見た悪魔は高笑いをした後、本気で殺しにかかる準備をし始めた。


 「なら、そんな貴方に評して本気で殺しに参るとしましょう!」


 そう言って悪魔は自分の鋭い爪を俺に向き始める。


 今までとは比べものにならない凄い殺気だ。もしからこれが最後のチャンスになるかもしれない。


 落ち着け、全神経を研ぎ澄ませろ。呼吸を乱すな、目を逸らすな。全ての思いをこの剣で奴にぶつけるんだ!


 そう自分に言い聞かせ最後の気迫を奴に見せつける。


 「うおおおおおおー!」


 俺は奴に向かって思いっ切って走り出し奴に剣を振りかざしす。


 あの子を絶対に心配かけさない! その思いをも込めて奴に立ち向かった。


 だが、


 ザン!


 「グハッ!」


 最後の勝負も呆気なく終わってしまった。


 俺が剣を振りかざすのをよけたと同時に奴の爪で俺の体ごと切り裂かれてしまうという一瞬の出来事だった。


 そして、俺はそのまま倒れた。


 ごめんルージュちゃん、約束守れなそうにないみたいだ。だからせめて、俺の分まで生きて…。


 「お兄ちゃーーーん!」


 !!


 俺が倒れた瞬間、逃げ出したはずのルージュちゃんが泣きながら走って俺に近寄ってきたのだ。


 「ルージュちゃん、何で?」


 「だって、どうしてもお兄ちゃんが心配だったから…。」


 そっか、俺のためにそこまで…。


 「どうしよう、こんな酷い傷早く手当てしないと。」


 本当に優しいんだな、ルージュちゃん。


 それに比べて俺は…。


 「おやおや、わざわざ人間の餓鬼が来るとはねー、探す手間が省けましたよ。」


 そう言って悪魔はルージュちゃんの首を掴み始める。


 「グッ…。」


 ルージュちゃんは苦しみながらも必死に抵抗し始めるが、びくともしなかった。


 「おい、やめろ!」


 「おやおや、まだ生きてたのですが全くしぶといですね。でも、丁度いいかもしれません今から貴方の目の前でこの餓鬼を喰うのですから。」


 !!


 「ヒッ!!」


 くそ! そうはさせてたまるかよ。


 止めようとするも身体はいう事を聞かずただ這いつくばる事しかできなかった。


 「あの餓鬼を喰った瞬間、貴方の絶望の顔が目に浮かびますよ。」


 「ちくしょう!」


 おい動けよ、俺の身体! 目の前の子が今ピンチなんだぞ! ここで動かなくてどうすんだよ!


 俺は悔しさの余りか目からは溢れるほどの涙が出始めた。


 すると、


 「だ、大丈夫だよお兄ちゃん。私は大丈夫だからお兄ちゃんはゆっくり休んでいいんだよ。」


 「な、何を言っているんだよルージュちゃん。」


 ルージュちゃんは俺に安心を与えるかのように先程の泣き顔から無理矢理笑顔を向き始めた。


 「こうなったのも、全部私のせいだから…だからせめてずっと仲良くしてくれたお兄ちゃんに少しでも恩を返したい、だから…。」


 違う、違うよルージュちゃん、俺は…。


 「はっはははは、これは面白い! ますますこの二人には食べ応えがありそうですね。」


 「ハグッ!」


 「クソッ! やめろ!」


 「そろそろお前を喰ってやる!」


 「貴方何かに…喰われてたまるもんですか!」


 「ふふっ、威勢の良い子だ。」


 そう言って悪魔は口を開きルージュちゃんを食べ始めようとする。


 その口は人の頭を呑み込むほど大きく、歯がギザギザでその長い舌でルージュちゃんの頬を舐めました。 


 ルージュちゃんはその恐怖の余り思わず絶句し目を瞑った。


 「やめろ、やめろ、やめろ、やめろおおおおおおおおー!」


 それを止めようと俺は必死の抵抗で叫び続けたその時、


 プツンっ!


 余りの怒りに俺の奥底に宿る糸のようなものが切れ始める。


 


 


 


 

 

 

 


 


 

 


 


 


 

 


 


 


 


 

 

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