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第六話 ついに悪魔と戦うロリコン大学生


 「こいつが、悪魔か…。」


 俺達の目の前に現れた悪魔は今にでも殺しそうな目つきでこちらを見ていた。


 金の長髪で青い目、少し尖った耳に鋭い爪そして、尖った歯を見せて少し微笑んでいるかのように見える。


 服装は少し派手なスーツを着ているが見た目からしてみれば結構若いイケメンで紳士そうな人のようだ。


 だが、そこから漂ってくる殺意のオーラは今にでも押しつぶされそうだった。

 

 さっきは『今度会ったら悪魔絶対殺す』とかあれ本気で思ってたけど、これは絶対倒せないわ。


 だとしたら、どうする。このまま戦ってルージュちゃんの逃げる時間を稼ぐか、そのまま全力走って逃げ出すかだ。


 相手と上手く交渉する手もあるが、多分無理だろ殺されるのがオチだ。


 助けを呼ぼうにも今は周りに気配を感じない。


 となると戦うか逃げるかの二択、そしてそのどちらかを選んだとしてもそう簡単に上手くいかない事は確か。


 まさか、異世界転生してまだ間もない時期なのに命を落とされるピンチがくるとは。


 「さて、そろそろ殺しに参りましょうか。」


 余り考えている時間はなさそうだな。となると、俺の選択は…。


 「ルージュちゃん、君は早くここから離れて逃げろ、俺がその隙に時間を稼ぐ。」


 「え、そんな⁉︎」


 俺はルージュちゃんを下ろし、腰の剣を抜いて悪魔に向け始める。


 やっぱり、かっこいい男はこうでなくちゃな!


 すると、ルージュちゃんは止めようと俺の服を引っ張り始める。


 「無理だよ、一緒に逃げよ! あの悪魔には絶対勝てっこない!」


 もしかして、俺を心配してくれているのか。ますます可愛いところを見せてくれる。


 だが、この子の言う通り無理な戦いかも知れない。だけど、


 「大丈夫、俺を信じろ!」


 俺は胸を張って言った。


 「でも、いくらヨウイチ兄ちゃんでも…。」


 「心配するな、俺は絶対こいつを倒す。だから、お前は一刻も早くここから逃げ出すんだ。」


 「ヨウイチ兄ちゃん…。」


 ますます心配してくれているルージュちゃんに俺は更なる安心を与えるために言葉をかけた。


 「約束しよう。俺は絶対、生きて君の元まで帰ってくる。だから、お前も生きて逃げ出せ!」


 俺がそう言うとルージュちゃんは何かを抑えるかのように唇を噛み、そのまま黙って走って行った。


 ありがとうルージュちゃん、俺の我がままに付き合ってくれて。


 これで、準備は整った。後は俺の今すべき事をやるだけだ!


 「そろそろ、茶番は終わりですか?」


 目の前にいる悪魔は既に準備万端かのような余裕っぷりな顔だった。


 「わざわざ俺達の茶番に付き合ってくれるとは、お前中々空気の読める悪魔だな。」


 俺の言葉を聞きその悪魔はニッコリと笑った。


 「えぇもちろん、最後のお別れの挨拶を邪魔をするのは野暮ですからね。」


 「はっ、まるで俺を簡単に殺せるかのような言い方だな。」


 「はい、正直勝てるとしか思えません。」


 っと笑顔を見せ即答する。


 「結構傷つくぜそれ。」


 だが、確かにその通りかもしれない。


 冒険者ギルドから合格祝いとしてもらった鉄の武器と鎧、そしてまだ戦闘経験が浅い俺ではこの悪魔に太刀打ちできる確率はゼロに近い。それに…。


 さっきから俺の手が無意識に震えている。


 武者震いではなく、初めての戦闘で殺されるという恐怖なのだろう。やつはそれを見抜いた上であんな余裕が出せるのだしているに違いない。

 

 全くいやらしいやつだ。


 今からでも逃げ出したい気分だが…。


 「だが、それでも俺はお前に必ず勝つ! あの子と約束したかな!」


 ここでルージュちゃんを裏切る訳にはいかないし、殺させる訳にはいかなかいからな。


 「ほう、その根拠のない自信…私が打ち砕いてあげましょう。」


 遂に始まる悪魔との直接対決。


 まずは、ギルドの試験と同じように隙を突いて叩き斬ってやる!


 そう思ったその時、


 フッ


 「何⁉︎ どこだ?」


 いきなり目の前から瞬間移動のように悪魔は姿を消す。


 慌ててふためいた俺は周辺を見渡して探すがどこにもいなかった。


 もしかして逃げた? いや、そんなはずは….。


 「どこを見ているのですか?」


 !!


 悪魔はいきなり俺の前に姿を現し思いっきり腹に蹴りを入れられた。


 「グハッ!」


 そして俺はそのまま数十メートルくらい離れた大きな木と背中にぶつけられた。


 「うっ、腹が…。」


 今の蹴りで肋骨を数本折られ、口から吐血し腹の痛みを必死に抑える。


 その時俺は思った。悪魔ってのはこんなに強くて恐ろしい奴だったのか、桁違いにも程があると。


 「おや、もう終わりですか? 張り合いがないですね。」


 悪魔は残念そうに言いながらゆっくりと俺に近づき始める。


 「クッ…。」


 俺は腹の痛みを抑えながらも必死に立ち上がり、ふらふらしながらも剣を向き始める。


 そして悪魔はそんな俺の無様な姿を見てケラケラと笑い始めた。


 「今のはほんの小手調べだというのに、他の冒険者達とは比べものになりませんね。」


 あれで本気じゃないのかよ、ますますいやらしい奴だ。


 しかし、ここで倒れる訳にはいかない。


 「うりゃーー!」


 俺はがむしゃらに悪魔に剣を振りかざすが簡単に避けられてしまった。


 そして今度は拳を振りかざされ俺の顔に直撃され地面に叩きつけられる。

 

 「ガハッ!」


 殴られた顔の部分は骨が響き歯も何本か折られてしまう。


 「おやおや、まさか貴方の実力がこの程度だったとはガッカリですね。」


 そう言って悪魔は楽しそうな笑みを浮かべ余裕っぷりを見せつけていた。


 悪魔と戦ってから僅か数分でこの大ダメージ。


 そして、あの悪魔は未だに無傷のまま。


 この勝負、余りにも部が悪すぎる。


 …死んだな俺。

 


 


 


 

 


 


 

 


 


 

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