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第四話 冒険者ギルドで試験合格を目指すロリコン大学生


 恐る恐る冒険者ギルドに入りさっさと手続き済ませようと受付へと向かう。


 「いらっしゃいませ。今日はどういったご用件でしょうか?」


 受け付けの人だけはイメージ通りの女の人でまともそうだから凄く安心した気がする。


 「えっと、冒険者になりたいのですけど。」


 「はい、それではこの書類に必要な事項を記入して下さい。」


 「分かりました。」


 受付の人から早速その書類を渡された後、なるべく周りの荒くれ者に絡まれないよう地味な席へと座る。


 その書類を見てみるとまるで履歴書のような形式だった。


 名前や生年月日はもちろん、住所や経歴等の空欄もある。意外と冒険者ギルドはちゃんとしてるんだな。


 俺はできるだけ書けるとこだけ書いてみる。


 名前はいつも通り、生年月日は前の世界と同じで良いのだろうか? 

 

 住所はさっきフライネさんからもらったメモで何とかなるとして、動機は『今お世話になっている方々に恩返ししたいから』と結構真面目な感じで。


 さて、問題は経歴だな。俺は異世界転生してからまだ1か月も経っていない常識知らずの人だ。前の世界では高校卒業とか書けるのにこの世界じゃ絶対にそんなのは通用しないだろう。


 かといって経歴なしの場合だと試験に受けられない可能性がある。


 一体どうすれば。


 悩みに悩んだ結果、俺は結局経歴は空欄のままで受け付けに提出した。


 「それではこの書類をお預かりしますので、少々お待ち下さい。」


 「はい、お願いします。」


 この書類の記入で本当に良かったのだろうか。もしかしたら、多分書類審査で落ちるかも知れない。

 

 落ちたら後でお土産でも買って帰るか。


 心配してから、数分後俺は受付の人に呼ばれてしまう。こんなに緊張したのは大学の入試以来だろうか。


 「タナベ ヨウイチさんですか?」


 「はい、そうですけど。」


 「では、先程の書類審査が通りましたので受験番号カードとギルド武器をお渡しします。番号が呼ばれるまでお待ち下さい。」


 「え? あ、ありがとうございます。」


 あっさり通ったな。やっぱりこのギルドのシステムは適当なのだろうか。


 ちなみにさっき言っていた受付の人が言っていたギルド武器とは書類に記載されていた『あなたの得意な武器は』と書いており、それに記入する事でギルドから試験用の武器を無料で提供してくれるらしい。


 恐らくこの試験はモンスターと戦ってどれぐらいの実力を持っているかという内容なのだろう。


 俺は一応剣で記入する事にした。何故なら、俺は高校時代剣道部で全国大会ベスト4に入る程の実力者で大学でも結構良い成績をもらえたからだ。


 武器の他にも鎧を貰えて着てみると思ったより重くはないし、剣も多少重いが振る分には問題はなかった。


 そして、試験に早々と呼びだされ俺は試験官らしき人について行き試験場に辿り着く。


 試験場では俺の他にも試験を受ける人は俺含めて5人ぐらいいたのだが、その殆どがチンピラのような人ばかりで真面目そうな人は俺ぐらいなものだ。


 だからといって試験が簡単とは限らない。もしかしたら、結構手こずるようなモンスターかもしれない。いずれにしても油断は禁物だ。


 試験官らしき人が俺らの前に立ち、めんどくさそうに試験の内容を説明し始める。


 「それでは、間もなく試験を開始します。内容は1人ずつこちらから用意したモンスターと戦ってもらい、その実力さを我々が測ります。では、受験番号01番さん前へ。」


 「あ、はい!」


 いきなり俺か、ちょっと緊張するな。


 そう思いながら俺は腰にある剣を抜き準備を始める。


 さて、一体どんなモンスターが待ち受けているのかな。


 すると、俺の前に現れたのはゲームによくいるスライムとキノコのお化けらしきモンスターだった。


 俺は思わず「え~」っと言ってしまう程。


 そして、試験官は開始の合図を出し始める。

 

 「それでは始めてください。」


 落ち着け、相手がいくら弱そうに見えても油断をしてはいけない。もしかしたら、ああ見えて物凄く強いのかもしれない。


 だとしたら、本物の剣を振る素人の俺にとって油断大敵なのかもしれない。ここはとりあえず隙を突いて斬りかかるか。


 そして、モンスターの攻撃を避け後ろから斬りつけたところ二匹とも一撃で死滅した。


 「え~。」


 「はいそこまで、お疲れさまでした。では、受験番号02番前へ。」


 「うぃ~っす。」


 数分後


 「はい、これで皆さんの試験は終了です。後に結果をお渡ししますので暫くの間ギルド内でお待ち下さい。」


 あっさりと試験が終わり俺はギルド内で待つ事にした。そして、結果は合格し受付から冒険者カードを渡され俺は正式に冒険者となったのだ。


 まともな人が1人もいない、経歴なしでも審査は通る、試験官はやる気はないし、モンスターは最弱、それでもあっさり合格する。


 本当にこのギルドは大丈夫なのだろうか?


 まあ、そんな事考えてもしょうがないと思った俺は一応冒険者にはなれた事をフライネさん達に伝えに帰って行く。


 この世界での冒険者の仕事はギルドから送られてきた仕事の依頼を選ぶ事ができ、それをクリアした者に報酬が渡るという正しくゲームとほぼ同じシステムだ。


 ちなみにこのギルドにはランクがあり、S,A,B,C,Dという順序となっておりそのランクによって仕事の幅が増えるという。今の俺が持っている冒険者カードはランクDと示されている。ランクアップするには数々の依頼をこなすしかないらしい。ますますゲームっぽいな。


 「さて、明日から早速依頼をバンバンこなして少しでもルージュちゃん達に恩を返すとしますか。」


 そう言って俺は家の前まで後少しのところ、何やらフライネさんが家の前で慌てている姿が見えた。


 「あの、一体どうしたんですか?」


 俺はフライネさんを尋ねると彼女は今でも泣きそうな顔で俺にすがりつきこう言った。


 「うちの子が聖女様の森へ行ったきりまだ帰ってきてないの!」


 「は?」


 


 

 


 



 


 


 

 

 


 

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