第三話 世話になった恩返しに冒険者の職へと目指すロリコン大学生
この子たちのお世話になってから数日間。俺は前の世界よりも充分な程幸せな生活を送れてきた気がする。
まず、俺が使っている部屋は元々ルージュちゃんの父が使っている2階の部屋なのだが、その父は他の国へ出張する事が多く中々帰ってくる時期が少ないという訳でルージュちゃんの母から「好きに使っていいよのこと。」
中はどこもかしこも本だらけで正直邪魔くさい。
本は歴史や魔法の教科書といったところか、何故かこの世界の文字は何となく読めてしまう。異世界あるあるでいうところのチートといったところだろうか?
しかし、寝る分には問題ないしそれにせっかく部屋を貸してもらったのだから有り難く受け取る事にした。
それから俺はこの家の居候として、家の手伝いさんとして過ごす事にしたのだ。
そのおかげでフライネさんからはいつも感謝されているのである。
一方、ルージュちゃんは朝から晩まで魔法の学校に行っているためその間会えないのは心苦しいが、夜はみんなでご飯を食べるためルージュちゃんの食べっぷりを見ると可愛いすぎてご飯三杯いけるかもしれない。
しかし、風呂や布団は別々で少しガッカリしたがルージュちゃんのおそばにいられただけでも俺は幸せを感じるのである。
俺は例え異世界でも紳士として生きなければいけないプライドがある。だから、俺は親子さんや幼女の今後を考え襲うという下衆な事は決してしない。
そんなある日の事、フライネさんから僕にある提案を持ちかけてきた。
「冒険者ですか?」
「ここのところ、家の家事手伝いばかりだからそろそろ本格的に身体を動かしたいところでしょう?」
「そ…そうですね。確かにしばらくの間身体が鈍っている気がして困っていたところです。」
いきなり冒険者の話。もしかして、日頃ルージュちゃんと一緒にいたせいで俺のロリコンがバレて厄介払いされるのが目的か?
「しかし、何で急に冒険者の話を?」
「ほら、あなた記憶喪失したせいでこの世界の事を知らないっていうから家の手伝いよりも冒険者の方が幅の知識が広がると思って。」
「あ、そういう事だったんですね。」
セーフ、一応バレてない。
しかし、冒険者か。ちょっと興味あるかも。
「それで、冒険者になるにはどうすれば良いのですか?」
「まずは冒険者ギルドに行って受付で名前と生年月日の個人情報の入力をした後、試験に合格するのが必須条件ね。試験といってもそこまで難しくないから大丈夫だと思うけど。」
「なるほど、分かりました。それで、その冒険者ギルドはどこにあるのですか。」
「たしか、この街の南にあると思うけど。もし良かったら明日、私がそこに案内してあげてもいいけど。」
「是非、それでお願いします。」
何て即答で答えたけど、本当はルージュちゃんと一緒に行きたかったのだがそれを言うと怪しまれる可能性が高いから、ここは敢えて我慢するべきか。
しかし、冒険者か。確かに家事手伝いよりもその方が遥かにこの世界の事が知れそうかもしれない。
それに、いつまでもこの家で世話になりぱっなしにするわけにはいかないしな。
せめて冒険者で金を稼いでそろそろ恩返しをしなければならないかもな。
翌日、予定通り俺とフライネさんは冒険者ギルドに向かう事になった。
ルージュちゃんはというと、その日は学校があるため俺達とは別行動になっている。
「いやだ! 私もヨウイチ兄ちゃんと一緒に行きたい!」
「だめよ、ルージュ。あなたは立派な魔法使いになるため勉強をするのだから、そっちを優先しなさい。」
「ぶー!」
はぁ! 怒って頬を膨らませるルージュちゃん可愛い!
俺だってルージュちゃんと一緒に行きたい!
だけど、ルージュちゃんの将来のためなら仕方のない事。
だから俺はルージュちゃんに向かってこう言った。
「大丈夫、お兄ちゃんは直ぐに用事を済ませて帰ってくる。だから、ルージュちゃんはしっかりとお母さんの言う事を聞いて勉強に励むんだよ。」
「うん、分かった。」
ルージュちゃんは少し落ち込んでいた様子でそう言いながらトボトボと学校へ向かって行った。
少しキツく言い過ぎたかな? 俺なりに気遣いな感じだと思ったけど。
でも、そんな落ち込んでいるルージュちゃんも可愛いすぎる!
俺とフライネさんが冒険者ギルドに向かう途中、フライネさんからニッコリと笑ってこちらを見ていた。
「何ですか? じっと見て。」
幼女ならともかく、熟女に見られると正直気持ち悪い。
「家の子が随分あなたを慕っているなと思って。」
「確かにそうですね。」
「あの子、あなたと出会って以来凄く楽しそうだから羨ましい限りだよ。」
そう言われると出会った時から結構ルージュちゃんとそばにいる時期が多い気がする。
もしかして、俺とルージュちゃんっていけるのか?
…はは、まさかな。だって出会ってからまだ付き合いが短いし、お兄ちゃんって呼ばれているから多分恋人関係ではないと思う。
余り深追いしてはいけない。
「さ、ここが冒険者ギルドだよ。」
「へ~ここが。」
冒険者ギルドはゲームのように西洋風にレンガ造りで出来ていて、中は酒に入り浸れた鎧を着た強面の荒くれ者ばかりがいるイメージがあったけど、まさか本当にイメージ通りだったとは。
意外性がなくて逆に意外だった。
「じゃあ、私はこれで失礼するから後は頑張ってね。」
「はい、色々と…ありがとうございます。」
え、これ…本当に入らないと行けないの? 前にいる人達、今でも殺しそうな目つきしてるんだけど本当に大丈夫なのだろうか?
さっきはありがとうって言っちゃたけど、本当はまだ付いてきて欲しかったのに。
俺は今でも死ぬかもしれないという覚悟で心配しながら冒険者ギルドへと入る。