97 創立100周年記念パーティー(25)
パーティー会場に入ると、人、人、人でいっぱいで、凄い熱気だった。
アーチ型の高い天井には大きなシャンデリアが幾つものぶら下がっていて、一番奥のステージまでが恐ろしく遠い。
左右の壁側に長いビュッフェがあり、高いコック帽を被ったシェフ達が仕上げた料理をサーブしていた。
想像以上に多い招待客は素晴らしくお洒落で、男性はタキシードを着ている人も多く、女性はドレスに着物、中には舞妓さんもいた。
テレビで見たことがあるような芸能人や、政治家も多数いた。
美久子は目の前に広がる映画の様な世界に口を開けて固まった。
「ちょっと、美久!口開いてるよ!」
「…!ご、ごめんっ!これは現実!?めちゃくちゃキラキラ眩しいよ!何、この広さ!?体育館何個分!?」
生まれて初めての豪華パーティーに美久子は興奮しまくった。
恵と湊人は大笑いした。
「あっはっは!美久、ほんっとに可愛い!」
「うさみみちゃん、うれしい?」
「うん!なんかスゴイね!連れて来てもらってよかったー!」
「そう。……ドレス、凄く似合ってる。とっても可愛いよ」
「か、可愛い!?あ、ドレス!ありがと!八木くんが可愛いドレスを用意してくれたからここに来れたよ。本当にありがとう!」
美久子は湊人にぺこりとお辞儀をしてへにゃりと笑った。
「もう……ほんっとに可愛いんだから……」
「えっ?なに?聞こえない」
周りの賑やかな声と生演奏の音楽に、小さな湊人の呟きはかき消されてしまった。
「ううん!えっーと、乾のおじさんは……あー、まだまだ挨拶の列がすごいな!俺達は後で挨拶行こう。先に美味しいもの食べに行こっか!その辺に流ちゃんや健二もいるっしょ!」
美久子は流青を必死に探したが満員電車並みの余りの人の多さに全く見つけられない。
電話を掛けようとスマホを見たら圏外になっていて困った。
湊人はどさくさに紛れて美久子の手を取りビュッフェの方に行こうとしたが、恵がすっと間に入り阻止した。
「美久!ビュッフェ行こう!」
「ちっ」
「だね!お腹空いたし、行こー!攻めるぞお!」
美久子と恵はビュッフェに挑み、それぞれの皿に料理を盛って立食用のテーブルで食べた。
「美味しい!美味しすぎるー!なに、この柔らかいお肉…」
「はあっ。お腹空いてたから染みるわねー。このフォアグラ、焼き加減最高!」
「はい、ジンジャーエール!ちゃんとしっかり噛んで食べなよ!」
「ありがと!湊人、よく気が利くじゃないー」
「まあね。点数稼いどかないとねー」
美久子は全身で仔牛のステーキを堪能していて二人の話は全く聞いていなかった。
「そろそろ、七海出て来るわね」
「あっ!七海の出番?間に合ってよかったー!きのぴい、前行こう!一番前!」
「うん!行こう!」
必死に食べてお皿を空にした二人と湊人は、七海の踊りを見るためにステージの近くに移動した。