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94  創立100周年記念パーティー(22)

「パーティー!戻らなきゃ!!」


「「「えっ!?」」」


周りの全員が驚きの声を上げた。


「きっと、きのぴいも七海も心配してくれてるから、戻るっ!」

「美久ちゃん!大丈夫なのっ!?あのホテルだよ!?…えっと…怖くないの……?」


数時間前にパーティー会場のホテルで拉致されて、その場所に今から戻るという美久子に驚き、孝とゆり子は心配そうに美久子を見つめた。


「大丈夫。流青くんが傍にいてくれるから、もう怖くないよ」


美久子は顔を上げて流青の目をじっと見つめた。


今も自分の事を信頼してくれている美久子の目を見て、流青は心の中で感激のあまりに泣きそうになりながら、しっかりと頷いた。


「はい。今度こそ、必ず美久子さんをお守りします。

…どうか、お許し頂けませんでしょうか。お願いします」


流青は、孝とゆり子に頭を下げた。

美久子も一緒に頭を下げてお願いした。


孝とゆり子は顔を見合わせ少し困惑したが、やがて微笑んだ。


「…わかったよ、流青くん。美久子をしっかり頼むね…次は、無いからね」

「はい!」

「やったー!」


美久子は流青に抱きつき、喜んだ。

流青はしっかりと美久子を抱きしめた。


「ああっ!!だっ、だめだよっ!美久ちゃん!

過剰なスキンシップは、ダメーーっ!ちょっと!離れなさいっ」

「本当に仲良しね!流青くん、美久子をよろしくね!」

「ヨカッタネー、ミクチャン!ボクモ、パーティー、イクヨー!」

「ご両親様、再度申し上げます。この度は私共の落ち度の為、大変申し訳ありませんでした。今度こそお嬢様を必ずお守りいたします」

「皆さん、ありがとうございます!じゃ、戻ろう!急がないと!」




結局流青の父信彦の指示により、孝とゆり子もパーティー会場に連れて行かれ、健二が事前に手配していたホテルの美容室で美久子両親はあれよあれよといううちに全身パーティー仕様にされ、美久子も乱れたヘアメイクを直してもらった。


流青から贈ってもらったドレスは残念ながら汚れて少し破れていたため着られず、美久子がショックで静かに泣いていると、ネイビーの新しいドレスを持った湊人が美容室に入ってきた。


「や、やぎぐん」


傍の椅子にドレスを置いて、少し固い表情の湊人は鏡の前に座っている美久子に近づき、黙ったまま美久子を両手で抱きしめた。



『えっ!?』

 


美久子は驚きの余り声も出せずに固まった。



「み………うさみみちゃん…。無事で、よかった…」



耳の傍で聞こえる、心から安堵した湊人の声に、美久子は泣いていたことも忘れ呆然とした。


その声は、美久子が今まで聞いたことが無い湊人の声だった。




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