93 創立100周年記念パーティー(21)
「本当に……申し訳ありませんでした」
流青は孝とゆり子に深く頭を下げて謝罪した。
なかなか頭を上げない流青に美久子は慌てて寄り添った。
「流青くん!やめて!私が、不注意だったからっ」
「美久子は悪くない!俺が…俺のせいです。全て…。美久子…さんを、守れませんでした」
じっと流青を見つめていた孝が声を掛けた。
「流青くん。もう、頭を上げてくれ」
ビクッと流青が反応した。
「…流青くん。お顔を上げて、こっちを見て」
ゆり子が優しい声で話し掛けた。
ゆっくりと顔を上げた流青は、悔しさを嚙みしめた表情で孝とゆり子を見た。
「…流青くん、娘を助けてくれてありがとう」
「っ!」
孝とゆり子が流青に頭を下げた。
「や、やめてください。お顔を上げてください。俺はっ…美久子さんをとても危険な目に合わせてしまいました…」
「……。君は美久子を助けて出してくれた。レオンさんや岩田部長に話しを聞いたよ」
流青達から少し離れたところに、レオン、健二、平松、岩田部長達が話しをしていた。
「娘は大変な目に合ったが…無事だった。君やたくさんの方々にお世話になって、本当に感謝の気持ちしかないよ。本当にありがとう」
「…っ。こちらこそ…です。本当に、申し訳ありませんでした」
流青は再度、深く頭を下げた。
レオン達が話しを終え、美久子達の方に近付いてきた。
「ミクチャン、リューセイ。オマワリサントノ、オハナシ、オワッタ?」
「はい。きのぴいのパパ、本当にありがとうございました」
「ヨカッタネ!リューセイオウジサマ、クルノガ、モウチョットオソカッタラ、ボクガ、ナイトニナッテ、ヒメヲ、タスケダソウカト、オモッタヨ!」
ハハハ!とレオンが豪快に笑うと、皆もつられて笑顔になった。
「レオンさん、岩田部長、常盤くん、常盤警備システムの皆さん、平松さん、娘を助けてくださって、本当に…本当にありがとうございました」
孝とゆり子が頭を下げ、美久子も一緒に頭を下げた。
「ブジデヨカッタネ!メグミチャンモ、シンパイシテタヨ」
「ああっ!きのぴい!七海も!パーティー、忘れてた…」