90 創立100周年記念パーティー(18)
やばいっ!キスされるっ!!
美久子が思いっ切り顔を背けて目を瞑ったその瞬間、
ドアが開いた。
「てめえっ!殺すっ!!!!」
バンッ!!!!
ドゴッ!!!!
ドサッ!!!!
ガツッ!!!!
「流青さん!その辺りで!本当に死にますよ!」
「流青くんっ!やめてっ!!」
「っ!!」
ウィリーをまだ殴ろうとして右拳を上げていた流青は、美久子の声で我に返った。
拳を上げたまま後ろを振り返り、怯えながら流青を見つめる美久子と目が合う。
「っ!美久子っ!!」
美久子に急いで近付き、思い切り抱き締めた。
「美久子…ごめん、遅くなって、ごめん。大丈夫か?」
「うん…うん…流青くん、こ、怖かった…怖かったの…」
流青に抱き締められ安堵した美久子は流青に抱きつき、堰を切ったように泣き出した。
「美久子…ごめんな。本当にごめんな」
ずっと泣き続ける美久子を抱き締めながら、流青はウィリーを睨み付けながら岩田部長に話し掛けた。
「…岩田部長、すみませんが、コイツをお願いします」
「承知しました」
「Hey! Ryusei! Coming late! 」
その時、のんきな声できのぴいパパが部屋に入って来た。
ウィリーはきのぴいパパを見て、目を見開く。
「You are! Just before!」
「What did you do to my daughter's best friend? 」
「AGAGAGAGA!!!!」
きのぴいパパは右手でウィリーの髪を掴み上げ、左親指と人差し指でこめかみを挟んだ。
所謂アイアン・クローだ。顔面鷲掴みだ。
激痛にウィリーは悲鳴を上げた。
「Please stop there. He really dies...」
「Hmm…」
岩田部長に止められ、納得がいかない様子で左手の力を緩めたきのぴいパパは、その手でウィリーの頭を一発殴った。
「!!!」
ウィリーはぐったりした。
その時、数人の警察官が部屋に入って来た。
「警察だ!宇佐美美久子さん!はっ…??」
「わ、わだじ、でず……」
流青に抱き締められ泣きながら、美久子は少し手を上げて鼻声で返事をした。
「ご、ごごにいる、方だぢ、に、助げで、もらいまじだ。ぐすっ」
「あ……」
「悪いやづは、あの、金髪ヤローでず……ヒック」
美久子は、ウィリーを指差した。
ウィリーは既に岩田部長に細い縄でぐるぐる巻きにされて、更にぐったりしていた。
「オマワリサン、コノヘヤ、ビデオカメラアリマス。
ハンコウノ、ショーコ、プレゼント、シマスネ」
巨大外国人のきのぴいパパに話し掛けられた警察官は一瞬ギョッとしたが、お願いしますと頷き何処かに連絡していた。
ウィリーは沢山の警察官に囲まれて、外に連れ出された。
★「Hey! Ryusei! Coming late! 」
(おい!流青!来るのが遅い!)
★「You are! Just before!」
(お前は!さっきの!)
★「What did you do to my daughter's best friend? 」
(俺の娘の親友に何をしようとした?)
★「Please stop there. He really dies...」
(おやめください。 彼は本当に死にます...)