86 創立100周年記念パーティー(14)
余りの状況の上に、余りにも巨大な外国人がいきなり現れたため、美久子は大パニックに陥った。
「うっ!うううーーっ!ううーーっ!!(こっ!怖いーーっ!いやーーっ!!)」
「ミ、ミクチャン!ダイジョーブダヨ!ボクハ、ミカタダヨ!」
パニックで暴れる美久子の前に、巨大外国人がしゃがみ込み、カタコト日本語で喋った。
「ううーーっ!……?(いやーーっ!……んっ?あれ?今、私の名前よんだ……?)」
「ミクチャン、ボクハ、メグミチャンノ、パパデスヨ」
「……?ううーーっ!!(ああーーっ!!)」
きのぴいのパパだっ!!
この前写真を見せてもらった、あの異世界の戦う皇帝だー!!
ここがちょっと薄暗くて、ハッキリとは見えにくいけど、間違いない!
薄茶色の髪の毛と目の色が、きのぴいと同じだー!
やっぱりめちゃくちゃかっこいい……。
そしてデカい。鎧みたいな筋肉だ。さすが皇帝だ!
「ううううううっ!(きのぴいパパっ!)」
美久子は涙目になって、きのぴいパパを見た。
「シッ!シズカニ、シマショウネ。テキガ、マタ、モドッテクルカラネ」
「!」
「ミクチャン、モウダイジョウブ、アンシンシテネ。チョットマッテネ」
きのぴいパパはズボンのポケットから小さな折り畳みナイフを出した。
「うっ!(ひっ!)」
「ダイジョーブダヨ。シバッテイルノ、キルネ」
きのぴいパパはバチンと大袈裟なウィンクをして、美久子のマスクを外し、口を縛っていた布をナイフで切った。
「はぁーーーっ!苦しかったっ」
「シッ!」
「!」
美久子は無言で首をコクコクして頷いた。
手首、脚の拘束も解いたきのぴいパパは、もう一度美久子にマスクを着けた。
「ミクチャン、テキハ、マタ、ココニカエッテクル。
チョクセツ、ツカマエルカラ、マダ、シバラレテイルヨウニ、シテテネ」
「?」
ちょっと意味がわからない美久子が黙ってきのぴいのパパを見つめていると、きのぴいパパがニヤリと悪い顔をした。
「ゲンコーハン。タイホ」
「あっ!」
なるほど。
確実にしょっ引くには、それだな!
「モウスグ、ミクチャンノ、オウジサマ、クルカラネ。アンシンシテネ」
「!」
きっと、流青くんがこっちに向かってくれてるんだ!
私の居場所、絶対にわかるはずだもん!
発信機&追跡アプリで。
きのぴいと『追跡アプリって変態かよ』って言ってウンザリしたけど、追跡してもらっててよかったー!
コクコクと頷き、ソファーに座った美久子は、きのぴいパパに手脚に拘束されていたヒモを形だけ、もう一度巻いてもらった。
今度は簡単に自分で取れる。
安心感が全然違う。
「ボクハ、スグ、チカクニ、イルカラネ。アンシンシテネ」
きのぴいと同じ綺麗な薄茶色の目が、優しく美久子を見つめた。
バンッ!
その瞬間、ドアが開いた。
入って来たのは、金髪男のウィリーだった。