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85  創立100周年記念パーティー(13)

美久子を乗せた車は、ホテルを出た後どこかの繁華街に着いた。



美久子はシュウと呼ばれた日本人っぽい男に大きいキャップを被せられ、

口を縛られたままの顔にはかなり大きめのマスクを着けられた。

車から降ろされ、また車椅子に乗せられてビルの中に連れて行かれた。

その間、ウィリーと呼ばれた金髪男がやけに優しく、

エスコート紛いの気取った仕草に吐き気がしそうなくらい嫌悪した。



シュウに手で目隠しをされたままエレベーターに乗って降ろされ、

そこからはシュウとウィリーに両脇を挟まれたまま歩かされた。


着いた場所は外国人が沢山いるクラブみたいな所だった。

店の中は暗く大きな音量の音楽が流れていて、

沢山の外国人が酒を飲んで喋ったり踊ったりしていた。

美久子は助けを求めることも出来ず、店の奥に連れて行かれ個室みたいな場所に放り込まれた。


「うっ!」

「ここでチョットしずかにしていてねぇ。おとなしくしてたらいいからねぇ」


美久子はソファーに倒れるように放り込まれて、シュウを思いっ切り睨みながら脚をバタバタさせて起き上がろうとした。


「わぁ。こわい顔もかわいいねぇ。アシもしばるよお」

「!!」


膝裏辺りで両脚を縛られてしまい、身動きが取れなくなってしまった。



やばいっ!動けないっ!苦しい!怖いっ!



「くくっ。You look like a green caterpillar!それでもかわいいよぉ」

「……」

「じゃ、また見にくるねぇ」



シュウとウィリーは部屋を出て行った。

一人になった美久子は恐怖で涙が出てきた。



どうしよう……怖いよ……流青くん…

助けに来てくれるかな…

こんなビルの中じゃ無理かな…

もう、だめかな…



……だめだ。



私、生きなきゃ。絶対に。

前世で先に逝ってしまって、亮介を悲しませてしまった。

現世の流青くんをまた悲しませるのは、絶対に嫌だっ!



「うううーーーっ!」


美久子は体を精一杯動かして起き上がろうとした。

勢いがつき、ゴロンと一回転して床に落ちた。



ガツッ!



「うっうーーう!!(痛ったーーい!!)」



思いっ切り右肩を床に打ち付けて悶絶した。



い、いだい。

……でも、これくらいなんだっ!

前世の借金返済地獄&亮介との別れに比べたら、余裕でガマンできるっ!



痛さに耐え、何とか起き上がろうともがいた。

固い床は柔らかいソファーと違い、少し起き上がり易かった。

時間は掛かったが何とか床に座れた。


息が整うまで暫くじっとした。

少し落ち着いてきたので、手脚を動かしていると結ばれているひものような物が若干緩んだ。



よしっ!もう少しでいけるかも!



必死で動かしてみたが、これ以上はなかなか緩まなかった。



もうっ!!ひもっ!ゆるんでー!!



涙目になりながら必死にもがいていると、  

小さな音でドアがノックされ、誰かが入って来た。


驚いて見ると、

見たことも無い大きな外国人の男の人が、

飲み物を乗せたお盆を持って立っていた。



「ううぅうーーっ!!!(うぎゃあーーっ!!!)」



★You look like a green caterpillar! (キミ、イモ虫みたいだね!)

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