77 創立100周年記念パーティー(5)
美久子が連れ去られる少し前。
流青が美久子たちと別れ、前室を出たその後、
美久子と恵は、前室でウェルカムドリンクのジュースを飲みながら楽しくおしゃべりをしていた。
「やっぱりゴージャスホテルのオレンジジュースは味が違うねー。オレンジが濃いよ、濃い!」
「あはは!美味しい?」
「おいしー!何杯でもいけちゃうね。
はっ!ダメだ、本番のパーティーでご馳走が食べられなくなっちゃう」
「あはは!今日のパーティー、乾くんとこのだから本当にすごいと思うよ!私もご馳走めっちゃ楽しみ」
「え?流青くんとこのパーティー?」
「え。知らないで来ちゃったの?
ていうか、ムリヤリ連れて来られたが正しいのよね、きっと。」
「全然知らない!どうしよう…きのぴい、今日は何のパーティー?
流青くんから誘われて、気が付いたらここに座ってたって感じだったから…」
「うわ!そうなの?無理矢理って、ラノベの御曹司がやりそうな手口だわねー」
「ほんと!多分、御曹司は若き専務!
あーでも、流青くんはリアル御曹司なんだよね…うわあ…。
あっ!今日七海は来るの?」
「うん、七海は今日は踊るんだって。急遽代役だって」
「すごい!もしかして日舞?」
「そう。美久、七海の舞は初めて見る?可愛いよー」
「うん!初めて!うわー、めっちゃ楽しみ!
今日無理矢理連れて来られてよかったー」
「あははっ!美久もほんとに可愛いわね。
そうだ!七海の楽屋、見に行こっか!」
「わ!行きたい!いいのかな?」
「大丈夫!まだ時間あるし、行こう!」
周りから目立つ二人は、ウキウキしながら七海の元へ行った。
二人の後ろを少し離れて付いていく数人の人物がいたが、美久子達は全く気が付かなかった。