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74  創立100周年記念パーティー(2) ◇

「正彦、やっぱり乾家は凄いな!今日のパーティーの招待客は何人くらいなんだ?」

「800人くらいとは聞いてるが、実際はどうなんだろうな」

「凄い人数だな!」

「正彦おじ様、本日はおめでとうございます。

今日はお招き頂いてとっても嬉しいです!」

「来てくれてありがとう。今日のパーティーは百合奈ちゃんには少し物足りないかな?今日は年齢層も高いしね!」

「いえ、そんな…。今日は流くんも、もちろん参加ですよね?」

「ああ、流青からここに瀬田川と百合奈ちゃんと一緒に来るように言われたんだが…」

「えっ!そうだったんですか!?何だろう!」



百合奈と父親は目を合わせて頷き、小さく微笑んだ。

もしかしたら朗報かもしれないと期待に胸を弾ませながら。




「正彦伯父さん、お待たせしました」



正彦達が待っていたホテルの会議室に、流青、健二、湊人、学院の岩田警備部長と流青の父の信彦が入ってきた。

突然の物々しい雰囲気に圧倒され、正彦と瀬田川は唖然とした。



「あっ!流くん!信彦おじ様も!」



流青の姿を見て喜ぶ百合奈だけは、

この異様な雰囲気を分かっていなかった。



「な、なんだ?どうした?こんな大勢で…信彦、お前まで」

「正彦兄さん、突然すまない。至急、話しておきたい事があって集まってもらったんだ。」

「後一時間もせずにパーティーも始まるのに…」

「大丈夫です。そんなにお時間は頂きません」



怒気を内に隠したいつもの表情の流青が、正彦に説明する。



「早速ですが、まずはこちらをお聞きください」



健二と湊人が会議室の音響機器を操作して、

先日の瀬田川親子の音声を流した。



「何だ…これは」

「なっ!何だっ!」

「えっ!なにっ!どういう事っ!?」



正彦が驚き、瀬田川親子は狼狽した。


全てを聞き終わり、室内が一瞬静まった。



「……瀬田川。これはどういう事だ」

「えっ!お、俺は何も知らん!」

「この声、どう聞いてもお前と百合奈ちゃんじゃないか。

…話の内容、俺の名前までしっかり聞こえたぞ。どういう事か説明しろ」

「ちっ、違うっ!誤解だ!」

「何が誤解なんだっ!!」



バンッと、強く机を叩きながら正彦は怒りの表情で瀬田川を睨んだ。



「…お前、正気か?お前らの欲のために、一人の女の子に対してよくも、こんな…」

「ち、違うんだ、正彦、待ってくれ!」

「ふざけるなっ!!」

「「ひっ!」」


「正彦兄さん、これを見てくれ」



信彦に促され、流青が正彦と瀬田川に書類を渡した。



「これは…」

「な、何だこれは…何故うちのがここにあるんだ」



書類は瀬田川病院の決算書だった。

信彦が低くゆっくりとした声で説明した。



「瀬田川院長、かなり以前から粉飾決算を続けて来られましたね。

これ程の赤字がバレると銀行から相手にされなくなる。

病院スタッフの月々の給料や賞与、大型設備投資の資金、更に瀬田川院長個人の不動産運用の資金まで銀行に頼っていては、赤字には出来ませんよね。

黒字にするのに必死になりますね。

貸し渋られたら終わりですから」

「…ぐっ!」

「このままだと、次回の決算から完全に帳簿の操作にも無理が来るでしょう。銀行にバレるのも時間の問題です。

院長が思っておられる数年後どころか、今年持ち堪えられるかどうかですね」

「そ、そんな…!な、何故わかったんだ」

「そちらの経理課長さんはまともな方でした。

このままだと潰れてしまう、どうにかして欲しいと逆に頼まれました」

「アイツっ!」

「黙れっ!!!」



普段、とても温厚な信彦が激高した。

流青も健二も湊人も内心震え上がった。



「ふざけた経営をしたお前が言うな!

真面目なスタッフを全て路頭に迷わす気かっ!」



弁解も何も出来ない事実に、瀬田川は黙って俯いた。



「…正彦兄さん、もう一つ良いかな。湊人くん、頼む」

「はい」



湊人は新たな書類を正彦と瀬田川に渡した。












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