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73  創立100周年記念パーティー(1)

皆さま方、ごきげんよう。美久子です。

私は今、パーティー会場の前室のすみっこに座っています。


周りがものすごーくキラキラしていて、隣でうれしそうに微笑んでる美男子もキラッキラだ。

眩し過ぎてグラサンを掛けたいくらいだ。


「美久子。良く似合ってる。本当に可愛い」


本日、20回目くらいの可愛いを頂きました。

ツラい。流青くん、言い過ぎだ。

実は本当にそうなのか?と勘違いしちゃうので、そろそろお終いにして頂きたい。


「…ありがとう。さっきも言ってくれたし、もう十分だよ。恥ずかしいから可愛いはストップだよ。

流青くんも今日もとってもカッコいいよ。眩しくて見れないくらい」

「眩しい!?どうした!?眩暈かっ!?」


違います。あなたさま発です。


「ううん、大丈夫。緊張してるけど、すごい元気」

「そうか。よかった。ここはまだ前室だが、本番のパーティーは疲れるから、辛くなったら早めに言うんだぞ」

「うん。ありがと」


周りが、とくに若いお嬢さんが、笑顔で話す流青くんを食い入るように見ている。

その後必ず私が睨まれるけど。

そりゃ、見るよね。こんなに素敵なんだもん。

私ももっとガン見したいけど、きっと眩しさで目が潰れる。


今日の流青くんは、光沢感のある紺色のスリーピースに濃紺のネクタイ、胸のポケットに白のチーフを入れて、余りの格好良さに度肝を抜かれた。

どう見ても高2じゃないよ。プロだよ。

正にラノベ的イケメン御曹司で、役職はきっと専務だ!高2だけれども。


それに比べて…わたくし。

流青くんがどうしても行きたいところがあるからと誘われて、デートだ!と精一杯おしゃれをして待っていたら、

土曜日なのにお迎えに来てくださった笑顔の平松さんに、ここゴージャスホテルに連れて来られ、女性従業員さんにホテル内の美容室に案内されて全身仕上げられて今、ドレスを着てここに座っています。


光沢感のある紺色のAラインのミモレ丈ドレスで、後ろに共布の大きなリボンが付いていてとっても可愛い。

色的なものが、ものすごく流青くんと被ってる気がして仕方がない。

美容室の皆さまに頑張って頂いたお蔭で、私史上初、最高に素敵に仕上げて頂きました。プロはやっぱりすごい!

傾国の美男子流青くんの横に立っているのはツライけれども、他の誰かに譲るなんて、絶対に嫌だからがんばります。

受けて立つわよ!バッチ来い!美女ども!!


「美久子。ペアルックだな。やっぱりこれにして良かった」

「…っ!!」


ダメだ。美女どもより、流青くんの美貌と笑顔に完敗だ。

ペアルック…。色的なものが似てたのは、偶然じゃ無かったのね。


「美久子」

「なあに?」

「…今日は絶対に俺から離れるなよ。もし離れるとしても、木下や健二達の誰かと一緒にいるんだぞ。」

「うん!私もパーティーなんて初めてだから不安だし、流青くんか誰かと一緒にいるね。…流青くん」

「ん?なんだ?」

「…すっごく緊張するけど、流青くんと一緒にこんなに素敵なパーティーに参加出来るなんてすごくうれしい。連れて来てくれて本当にありがとう。綺麗なドレスもありがとうね。」


美久子は流青にお礼を言いながら、嬉しくてにっこり笑った。


「…っ!み、美久子。まだ本格的にパーティーが始まるまで時間がある。少し席を外そうか」

「美久ー!」

「きゃー!きのぴい!!」

「……。」


「きのぴい、めちゃくちゃ綺麗だっ!!

ワインレッドのロングドレスがこんなに似合う17歳はいないよー。女優だよ!」

「ほんと!?ありがとー!ちょっと、美久こそめちゃくちゃ可愛いじゃない!乾くん、さすがセンスが良いわね」

「…ああ」

「こんなに可愛くなっちゃったら、気を付けないと狙われちゃうかもよー」

「駄目だ。では、湊人に言って部屋を準備してもらうから美久子はそこへ行」

「そんなの駄目に決まってるじゃない。

大丈夫よ!私や健二も湊人もいるから安心して」

「……。」


「あ、さっき、健二が乾くんのこと探してたわよ。」

「…ああ。そうだな、そろそろ行って来る。

美久子、俺は少し挨拶に行って来るから、木下と一緒にいるんだぞ。

一人でうろうろしたら駄目だぞ」

「うん、わかった!きのぴいと一緒にいるね」

「よし。いい子だ」

「乾くん、もうお父さんだねー」


流青は美久子の頬を優しく手でなぞり、その場を離れて行った。

周りから女性の小さな悲鳴が上がった。


「…もう、流青くんは…ほんと困る」

「…アイツも、天然のタラシだったのね」




流青は健二と湊人と合流し、目的の場所へと急いだ。




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